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ルネサス エレクトロニクス株式会社 (Renesas Electronics Corporation) - 6月はプライド月間として、LGBTQ+の権利や文化、コミュニティについて啓発する世界的な活動月間です

ソリューションスイートコンセプト: AIが切り開く次世代スマートeバイクと都市モビリティ

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Omar Shrit
Omar Shrit
Product Marketing, AI Core Technology
公開日:2026年4月22日

電動アシスト自転車(eバイク)は、持続可能で柔軟な移動手段として都市型モビリティを急速に変革しています。 自動車への依存を低減し、交通渋滞の緩和に貢献する一方で、eバイクの高度化と普及が進むにつれ、安全性、信頼性、そしてインテリジェントなライディング支援に対する要求は年々高まっています。

一方で、従来の自転車(機械式および電動式のいずれも)は、依然としてライダーの経験や定期点検に大きく依存しています。 多くの機械的トラブルは水面下で徐々に進行し、性能低下や故障が発生するまで兆候が検知されないケースも少なくありません。 このような事後対応型の保守は、予期せぬ故障、修理コストの増加、さらには安全リスクの拡大につながります。

ルネサスは、これらの課題に対し、組み込みエッジAIを活用したスマートeバイクのコンセプト(ソリューション・スイート・コンセプト)を提案します。本コンセプトでは、予知保全、インテリジェントな走行支援、周囲環境認識、最適化されたバッテリー管理を、すべて自転車上でリアルタイムに実現します。

組み込みエッジAIによる予知保全とインテリジェントライディング

スマートeバイクは、RA8D1マイコンを搭載した Renesas AIK RA8D1 AI開発キットを中核としています。RA8D1は、リアルタイムAI処理向けに設計された高性能 Arm® Cortex® M85 MCUであり、組み込み環境での高度な推論処理を可能にします。 RenesasのReality AI Tools®を用いることで、開発者はクラウド接続に依存することなく、MCU上で完全に動作する高効率なAIモデルを構築・展開できます。

このアーキテクチャにより、低消費電力・低システムコストを維持しながら、安全性と走行効率を両立した次世代のeバイク体験を実現します。

AIを組み込んだスマートeバイクは、以下の2つの技術的な柱を中心に、走行体験を高度化します。

  • AIによる状態監視(コンディションモニタリング)
  • より滑らかで安全な走行を実現するユーザー体験の向上

ルネサスのEバイクコンセプト

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Image of an e-bike.
  • 連鎖劣化検出
  • ギア異常検出
  • ベアリング破損検知による損傷が生じます
  • フレーム構造化監視
  • 負荷分散検出
  • 表面検知
  • 安全な走行のための物体検出
  • 音の空間認識で見る

エッジAIによるコンディションモニタリング

自転車はどのような形態(従来型、電動アシスト)であっても、チェーン、ギア、ベアリング、フレーム接合部といった複数の重要部品から構成される高精度な機械システムです。これらの部品は、機械的ストレス、使用環境、走行条件の影響を受け、時間の経過とともに劣化していきます。

従来の保守手法は、定期点検や走行距離に基づくメンテナンスが中心であり、必ずしも実際の部品状態を正確に反映したものではありません。 その結果、故障発生後に対応する事後的な保守となり、突発的なトラブルのリスクが高まります。

AIK RA8D1と加速度センサを自転車本体に直接組み込むことで、リアルタイムなAI駆動コンディションモニタリングが可能になります。 本システムは、振動特性や動作パターンを継続的に解析し、機械的劣化の初期兆候を早期に検出します。これにより、問題が顕在化する前に適切な対応を行うことができ、信頼性と安全性の向上に貢献します。

主な予知保全機能には、以下を含みます:

  • チェーン劣化の検出(Chain Deterioration Detection) - 駆動系の振動パターンを継続的に監視することで、正常状態からの逸脱を検出します。 これにより、性能低下が顕在化する前の過度なチェーン摩耗や潤滑不良を早期に把握できます。
  • ギア異常検出(Gear Anomaly Detection) - 摩耗や損傷を受けたギア歯、あるいはディレイラーのズレによって発生する異常な振動パターンをAIモデルが識別し、予防的な介入を可能にします。
  • ベアリング故障検出(Bearing Failure Detection) - ベアリングの劣化に伴って発生する高周波振動成分を検出することで、 異音や重大な機械的損傷が発生するはるか前の段階で問題を特定できます。
  • フレーム構造モニタリング(Frame Structure Monitoring) - フレームの緩みや構造的変化も振動解析によって検出可能であり、ライダーの安全性向上と長期的な耐久性確保に貢献します。

ルネサスが実現するスマートバイク・モニタリング

コンディションモニタリング向けに高精度なAIモデルを開発するには、正常動作時のデータとさまざまな機械的異常状態のデータの両方を網羅したデータセットが不可欠です。

この目的のため、AIK-RA8D1 (AI開発キット)と、Pmod™モジュール経由で接続した外付け加速度センサを組み合わせて使用します。 加速度センサと開発キットは自転車本体に直接搭載され、実走行環境における振動および動作データを取得できる構成となっています。これにより、路面状況や走行負荷を含む実環境条件下でのデータ収集が可能になります。

データセットの収集には、Data Storage Toolsを使用します。本ツールは、Renesas e² studio 内のプラグイン版として、またはサードパーティIDEユーザー向けのスタンドアロン版として提供されています。 加速度センサから取得した生データをストリーミングで取り込み、保存・ラベリング・AIモデル学習に利用することで、実データに基づく高信頼なコンディションモニタリングモデルの構築を支援します。

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Photos of the AIK RA8D1 AI Development Kit mounted on a bike for monitoring.
Figure 1. Training Set-up

AIモデルの開発およびデプロイ

データセットのラベリング完了後、Renesas Reality AI™ Tools にアップロードすることで、クラウド上の AutoML 機能を用いて複数のAIモデルを学習・評価します。 これにより、用途に最適なモデルを効率的に選定でき、最終的に RA8D1 MCU向けに最適化されたモデルが生成されます。

選択されたAIモデルは、以下の 7つの異なるシステム状態を識別可能です:

  • Eバイク状態(E Bike Status) - 停止状態およびアイドル状態を検出
  • チェーン動作(Chain Operation) - 正常な正転および逆転動作を識別
  • ギア異常(Gear Anomalies) - ディレイラー位置に起因する2種類の異常状態を検出
  • リアホイール構造(Rear Wheel Structure) - リアホイールの緩みや構造的異常の兆候を検出

最適化されたモデルは、99.63%の認識精度を達成しながら、必要メモリはわずか 5KBに抑えられています。これにより、外部アクセラレータやクラウド処理に依存することなく、RA8D1 MCU上で直接実行が可能となり、低消費電力かつリアルタイムなコンディションモニタリングを実現します。

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Image showing the flow of AI model development and deployment.
Figure 2. Model Development to Deployment Flow

デプロイ後は、e² studio 開発環境に統合された AI Live Monitor ツールを使用することで、推論結果をリアルタイムに可視化および検証ができます。

AIによって高度化されたライディングインテリジェンス

コンディションモニタリングにとどまらず、AIK RA8D1はインテリジェントなeバイク用コンピュータとして機能し、モーター、バッテリー、各種センサからのデータを集約・解析する中枢ハブとして動作も可能です。追加のセンシングハードウェアを用いる場合と用いない場合の両方に対応し、システム全体の状態把握と高度な制御を可能にします。

AIによって強化されたライディング機能の例には、以下などがあります:

  • 荷重分布検出(Load Distribution Detection) - 振動および動作信号を解析することで、ライダーおよび積載物の重量分布を推定します。 この情報を活用し、快適性とペダリング効率を向上させるためのサドル位置の推奨、または自動調整が可能になります。
  • 路面検出(Surface Detection) - AIモデルがアスファルト、砂利道、不整地などの路面種類を識別します。 検出した路面状況に応じて、モーターのトルク特性や出力制御を動的に調整し、安定性とエネルギー効率を向上させます。
  • 安全性向上のための物体検出(Object Detection for Safer Riding) - ビジョンセンサと組み合わせることで、周囲の車両や障害物を検出し、死角から接近する車両を検知した際に警告を発することが可能です。
  • 音による空間認識(“See with Sound” Spatial Awareness) - マイクアレイを用いて周囲を走行する車両の方向を推定し、ライダーに空間的な認識情報を提供します。これにより、常に視覚に依存することなく周辺状況を把握できます。

次世代スマートモビリティの実現に向けて

AI駆動型スマートeバイクのコンセプトは、組み込みエッジAIがパーソナルモビリティおよびシェアードモビリティをどのように変革できるかを具体的に示しています。 予知保全や周囲環境認識といった機能を自転車本体に直接統合することで、メーカーはより高い安全性、信頼性、そして運用効率を備えたモビリティソリューションを提供できます。

ルネサスのAI技術は、リアルタイム組み込み処理に最適化されたスケーラブルなエッジAIプラットフォームを基盤としており、インテリジェントなモビリティシステムの構築を強力に支援します。これにより、クラウド依存を最小限に抑えつつ、低消費電力・低レイテンシ・高信頼性を両立した次世代スマートモビリティの実現が可能になります。

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