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ルネサス エレクトロニクス株式会社 (Renesas Electronics Corporation)

ロボット制御の複雑化を解決する

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Author photo of Koichiro Sugata.
Koichiro Sugata
Principal Engineer, Product Marketing
公開日:2026年11月5日

ロボットの高機能化小型化をどう両立するか

製造現場では、生産性の向上や柔軟なライン構築に向けて、ロボットやPLC、モーションコントローラに、サーボドライブまでさらなる高性能化・高機能化が求められています。近年は、人と同じ空間で作業する協働ロボット(Cobot)や小型産業ロボットの普及が進み、ロボットコントローラやサーボドライブの小型化・軽量化への要求が高まり、システムの高機能化と小型化の両立が大きな課題となっています。

産業用ロボットでは複数軸の高速かつ高精度な同期制御に加え、上位コントローラと接続するための産業用Ethernet、機能安全への対応なども求められています。こうした要求に応えるため、従来のシステムでは、モーション制御用の高性能プロセッサ(MPU)に加え、各軸に配置されたモータ制御用マイコン(MCU)、さらには、外部機器と接続するための通信ASICにいたるまで、複数のデバイスを組み合わせる構成が一般的でした。しかし、機能を実現するためにデバイスを追加すると、実装面積が増加し小型化が難しくなります。特に協働ロボットでは、制御回路をよりコンパクトにすることが鍵となります。

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.従来のロボットの制御ブロック図

図1. 従来のロボットの制御ブロック図

ロボット制御に必要な処理を1チップに統合

ロボットを制御する際、位置・速度・トルクの制御を同時に実施することができることが重要です。これらを実現するため、マイクロプロセッサ(MPU)RZ/T2Nには、高いアプリケーション処理性能を持つArm® Cortex®-A55 CPUコアを2つと、高いリアルタイム性と決定性を備えたArm Cortex-R52 CPUコアを2つ搭載しました。

Arm Cortex-A55コアはLinuxを活用したアプリケーション処理やネットワーク処理を実行し、Arm Cortex-R52コアはモータ制御や機能安全など、時間制約の厳しいリアルタイム処理を担当します。用途に応じて最適なCPUコアを使い分けることで、高性能なアプリケーション処理と高精度なリアルタイム制御処理を両立できます。

また、RZ/T2Nは、CPUに直結され高速にアクセスが可能な密結合メモリ(TCM*1)と、大容量のDDRメモリを接続するためのDDRインターフェースを備えています。Linuxアプリケーションなどの大容量のプログラムはDDRメモリに配置し、モータ制御や機能安全など高いリアルタイム性が求められるプログラムはTCMに配置するなど、それぞれの用途に最適なメモリの使用方法を実現できます

これらの機能や特長により、従来は複数のデバイスで分担していたアプリケーション処理、リアルタイム制御処理、ネットワーク処理を、よりシンプルな1チップ構成に集約できます。

*1: TCM - Tightly Coupled Memory

最大4軸のモータ制御と多軸同期を支える産業Ethernet

RZ/T2Nは、最大4軸のモータ制御に必要な周辺機能を内蔵しています。具体的には、4軸分のPWM出力を生成するタイマ機能、電流計測用のΔΣインターフェース、位置・速度検出用のエンコーダインターフェースを備えています。エンコーダインターフェースは1軸あたり2チャネルを利用でき、A-format、BiSS®-C、BiSS-Line、EnDat® 2.2、EnDat 3.0、HIPERFACE® DSLなどの複数のプロトコルに対応しています。チャネルごとに異なるプロトコルを使用でき、搭載するモータやエンコーダの選択肢を広げ、多様なロボットの構成に柔軟に対応できます。

また、高度な産業機器には機器間を確実かつ高精度に接続する産業Ethernetも欠かせません。近年では、ロボット内部のモータやI/Oを高速かつ高精度に同期させるためにも、産業用Ethernetが活用されています。RZ/T2Nは5つのEthernetポートを持つEthernetサブシステムを備え、EtherCAT®、PROFINET® RT/IRT、EtherNet/IP™、OPC UA®など、主要な産業Ethernetに対応します。さらに、TSN*2機能をハードウェアでサポートしており、ネットワークに接続されている機器間を同期して動作させる分散同期制御システムの実現が可能です。

*2: TSN - Time-Sensitive Networking

高い安全要求に応える機能安全ソリューション

産業用ロボットでは、制御性能や生産効率だけでなく、人や設備を保護するための機能安全も重要な要件となります。特に、自律化が進み、ますます使用用途が広がっているロボットシステムでは、異常検知や安全停止などの安全関連機能に対して高い信頼性が求められます。 RZ/T2Nに搭載されたCortex-R52は、高いリアルタイム性と決定性を備えており、モータ制御だけでなく安全関連の処理にも適しています。

同じCortex-R52をもつRZ/T2MやRZ/T2Lとルネサスが提供する機能安全ソフトウェアソリューションを組み合わせることで、2つのRZ MPUが独立して安全処理を実行しながら相互監視を行う機能安全アーキテクチャを構築できます。この構成により、単一故障が発生しても安全機能を維持できる、HFT*3=1を実現できます。ルネサスは様々な機能安全ソリューションを提供しており、高い安全要求を持つロボットシステムや産業機器において、IEC 61508 SIL3レベルの安全システムの構築を支援しています。例えば、FSoE*4やPROFIsafeなどのセーフティネットワークプロトコルなども、第三者認証機関であるTUVで認証されたソリューションを無償で提供しております。

*3: HFT - Hardware Fault Tolerance;ハードウェア障害許容度
*4: FSoE - Fail Safe over EtherCAT

RZ/T2Nでロボットシステムをよりシンプルに、より柔軟に

協働ロボットや小型産業ロボットでは、高性能な制御機能、産業用Ethernet通信、機能安全といった高度な機能を実現しながら、機器の小型化も求められています。以下の図のように、RZ/T2Nは、ロボット制御に必要なアプリケーション処理、最大4軸のモータ制御処理、産業用Ethernet通信処理を1チップで実現することで、システムの小型化と高性能化を両立します。さらに、EtherCATに対応した製品を使用する事で、モータやIOなどを追加し、柔軟にシステムを拡張する事も可能です。

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RZ/T2Nを使ったロボットの制御

図2. RZ/T2Nを使ったロボットの制御

制御性能、ネットワーク性能、安全性をバランスよく備えながら、小型化が求められる次世代ロボットシステムが必要な機能は、RZ/T2Nが備えています。さらに、同じのアーキテクチャを採用するリアルタイム制御に優れたRZ/Tシリーズのハイエンド製品や、産業通信向けRZ/Nシリーズと組み合わせることで、機能安全や要求性能、軸数に応じたスケーラブルなロボットプラットフォームも構築できます。

RZ/T2Nについての詳細はこちら。