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ルネサス エレクトロニクス株式会社 (Renesas Electronics Corporation)

ステークホルダーの皆様へ

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Hidetoshi Shibata

“ルネサスは、「2035 Aspiration」、さらに当社のパーパスである「To Make Our Lives Easier」を実現すべく、これからも人々の暮らしを楽(ラク)にする製品やソリューションを提供してまいります。そして、同時に、地球社会の一員として環境に配慮し、企業活動を通じて持続可能な社会へ貢献することにより、一層の企業価値向上に努めていきます。”

当期を振り返って

当期(2025年1月1日から2025年12月31日まで)は、世界経済において地政学リスクの高まりが続き、経営環境の不透明感が一段と強まった一年でした。

半導体市場では、AI向けデータセンター製品の需要が加速的に拡大し始めました。AI関連は今後も成長が続くと見込まれ、当社としてもこの潮流を確実に捉えていく考えです。一方、その他の分野では最終需要は一進一退の状況が続きました。産業向けでは、低調な需要とそれに伴う在庫調整の長期化により、調整局面が想定以上に長引きましたが、当期後半にかけては回復基調に移行しました。自動車分野では、自動化・電動化による構造的な成長の勢いが以前に比べてスローダウンしました。加えて、中国勢の急速な台頭を受け、伝統的OEM各社で戦略の見直しが進んだことで、新しいプラットフォームへの移行が先送りされ、需要は軟調に推移しました。中国市場ではAI・EV・ロボティクスを心に堅調な需要が続き、その存在感が一段と高まりました。

このような環境下においても、当社は規律ある事業運営を堅持してきました。長引く調整局面を次の成長に向けた準備期間と捉えています。外部環境に左右されない長期的な成長の実現に向け、基本に立ち返り、成長領域への投資を加速しています。

当社を取り巻く事業環境を踏まえ、2025年を持続的かつ飛躍的な成長を遂げるための「Pivot」の年と位置づけました。昨年6月には、「2030 Aspiration」の達成期限を2035年へ改め、Non-GAAP営業利益率の目標も30%から25〜30%へと、幅を持たせた運営に見直しました。これにより、組織面・財務面の双方で基盤強化に必要な余地を確保し、長期的な成長に向けた取り組みを進めています。

また、事業環境の変化に柔軟に対応し、継続的にイノベーションを生み出していくため、事業戦略の基本に立ち返る「Back to Basics」を強力に推進しています。重点施策として、生産性の向上、Purposeful(パーパスフル)投資、UX・デジタライゼーション戦略の加速の3点に注力しました。その結果、当期の売上収益および営業利益は前期をわずかに下回ったものの、売上総利益は小幅ながらも増加し、全体として一定の利益水準を維持しました。株主還元については、従前と同額の1株当たり28円の期末配当を上程しました。今後も可能な限り安定的な還元を継続していきます。

当期の主な取り組みと今後の注力領域

  • 生産性の向上

グループ全体で業務課題を抽出し、改善を進めることで、生産性の向上と付加価値創出を図りました。 また、従業員間のコラボレーションを促進するため、「Back to Office」の方針を決定し、日本での先 行導入を経て、本年1月からグローバルで運用を開始しています。

  • パーパスフル投資

中長期的な成長を見据え、事業の優先順位を一段と明確化し、戦略領域への重点的な資源配分を進め ました。当社のコアである組み込み半導体ソリューション、UX・デジタライゼーションに加え、当社の 技術ロードマップを牽引し、大きな付加価値をもたらす「Vertical事業」を重点領域として位置づけています。

さらに、Software-Defined Vehicle、AIインフラおよびコンピュート、Intelligence at the Edge の3つを成長のベクトルと位置づけるSecular Growth分野への投資に一層焦点を絞り、競争力と収益性の向上を目指しています。

その一環として、本年2月にタイミング事業を米国のSiTime社へ30億米ドル(約4,680億円)で譲渡する契約を締結しました。これは、自社で技術投資を継続するよりも、同分野で先行するSiTime社に統合することが最善と判断したためです。併せて、当社の組み込み半導体技術とSiTime社のMEMSタイミング技術を融合したソリューションの共同開発に向けたパートナーシップを検討するための覚書を締結しました。これにより、性能、エネルギー効率、小型化が特に求められるAIデータセンター、ロボットなどの産業機器、自動車のADASシステム、ウェアラブル機器といった分野において、新たな可能性を切り開くことを目指します。譲渡益については、成長投資と株主還元の双方またはいずれかへ充当する予定です。

  • UX・デジタライゼーション戦略の加速

UXにおいては、お客様の開発を「ラクにする」ための基盤整備を進めるとともに、より早期にニーズを把握することで技術採用の促進につなげています。新製品の市場投入に向けては、ハードウェアだけでなく、アプリケーションノート、マニュアル、ソフトウェアなど、お客様が「ラクに」製品を使うために必要な要素を揃えた「完全な製品(Whole Product)」として提供する体制の整備を進めています。

また、MathWorks社の開発ツールとの連携により、実機を用いる前の段階で当社マイコンの動作検証が可能となり、立ち上げ時間の短縮につながっています。これにより、ユーザーは開発スピードを加速させるとともに、品質向上に向けた取り組みにより注力することが可能となります。

デジタライゼーションの取り組みとしては、まず、Altium社が電子機器設計からライフサイクル管理までを一貫して支援するプラットフォームの提供を開始しました。これにより、Altium社は従来の「ECADソフトウェア企業」から電子機器開発プロセス全体を支える「プラットフォーム企業」へと転換しています。さらに、Part Analytics社とDuro Labs社の買収を通じて、同プラットフォームを強化しました。このAltium社のプラットフォームを基盤として、当社は半導体選定からシステムライフサイクル管理までの電子機器開発を効率化する業界初のプラットフォーム「Renesas 365 Powered by Altium」を発表し、本年3月にドイツで予定される展示会での一般リリースに向け準備を進めています。

その他の取り組みとして、「India-for-India」の方針のもと、インド政府と組み込み半導体分野におけるスタートアップ企業および教育機関の支援に関する基本合意を締結し、次世代エンジニアの育成を加速しています。また、2024年3月にCG Power and Industrial Solutions社およびStars Microelectronics社と設立した合弁会社を通じ、インド・グジャラート州における半導体の組立・テストを担うOSAT工場の構築・運営を進めています。同工場ではパイロットラインがすでに完成しており、2026年末までに量産開始を予定しています。また、量産工場の建設も順調に進捗しています。インドの人員は1,000人規模へ拡大し、ベンガルールやノイダの研究開発拠点も強化しました。中国と並ぶ成長市場として、今後もインドでの事業拡大を進めていきます。

製品については、Secular Growth分野に軸足を置いた製品開発および採用拡大を進めました。主な採用事例として、ADAS向けSoC「R-Car V4H」が、昨年12月にトヨタ社が発売した新型RAV4のデンソー製TSS制御ユニットに採用され、当社のマイコンやパワーデバイスなど多様な製品と合わせて搭載されています。今後も、インテリジェントな車載技術を通じて、Software-Defined Vehicleの発展を支えていきます。

AIインフラ向けには、AIサーバや充電システムに最適な650V GaNパワー半導体を当社として初めて投入し、2024年6月に買収したTransphorm社のSuperGaN技術を活用することで、従来のSiやSiCを超える低損失・高効率な電力変換を実現しました。

また、エッジAI向けには、22nm NVM技術を搭載した32ビットマイコン「RA8シリーズ」を発表し、「マイコンでAI」を実現するAIアクセラレータ内蔵の「RA8P1」など4製品を展開しました。これらの製品により、産業機器やIoTアプリケーションにおいてフィジカルAIの実装を支えるIntelligence at the Edgeを一層推進しています。

「Pivot」と「Back to Basics」のもと、当期はさまざまな成果を上げることができましたが、私たち の挑戦はまだ途上にあります。短期的にはAI分野を中心とした需要拡大・回復が見込まれる一方、事業環境の変化は依然として激しく、先行きの見通しは容易ではありません。しかし、環境の変化に左右されることなく、「Back to Basics」を徹底し、事業基盤の強化とSecular Growth分野への投資を引き続き加速していきます。

「2035 Aspiration」、そして当社のパーパスである「To Make Our Lives Easier」の実現に向け、成長を続けるルネサスにご期待ください。

 

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image: autograph by Hidetoshi Shibata

柴田 英利
代表執行役社長 兼 CEO
ルネサス エレクトロニクス株式会社

2024年度 統合報告書をダウンロード(英文、PDF)

マルチステークホルダー方針

当社は、企業経営において、株主にとどまらず、従業員、取引先、顧客、債権者、地域社会をはじめとする多様なステークホルダーとの価値協創が重要となっていることを踏まえ、マルチステークホルダーとの適切な協働に取り組んでまいります。

方針や具体的な取り組みについては、以下のPDFファイルを参照ください。

picture_as_pdf マルチステークホルダー方針 (107KB)