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ルネサス エレクトロニクス株式会社 (Renesas Electronics Corporation)

AIによる高精度煙検知:誤報を低減し、システムコストを削減

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Nalin Balan
Nalin Balan
AIコアテクノロジー事業開発ディレクター
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Junyi Li
Junyi Li
組み込みプロセッシング製品マーケティング担当シニアスタッフエンジニア
公開日:2026年7月24日

地域社会の発展や安全性への要求の高まりに伴い、高信頼な火災検知システムの重要性はますます高まっています。 商業施設から一般住宅まで、煙感知器は人命と財産を守るうえで欠かせない役割を果たしています。

また、煙検知技術の進化に伴い、実環境での性能に対する期待も高まっています。 最新の煙感知器には、火災の初期兆候を確実に検知する高い感度と、長期間安定して動作する効率性の両立が求められています。

こうした課題に対応するため、ルネサスは、低消費電力ハードウェアとインテリジェントな信号処理を組み合わせたアプローチを採用しています。例えば、Reality AI Tools®で生成したTinyMLモデルとRL78/G22 MCUを併用する方法です。 これらを組み合わせることで、煙のパターンをより正確に認識し、異常を特定できるようになります。これにより、安全性と応答性に優れた設計を実現するとともに、製品開発やシステム統合の効率化にも貢献します。

煙感知器ソリューション

煙検知技術で一般的に使用される検知方式には、光電式、イオン化式、デュアルセンサ方式があります。 ルネサスのソリューションでは、火災初期のくすぶり火災の検知に優れた光電式方式を採用しています。

近年のUL規格改訂では、ポリウレタン火災試験および調理煙試験が追加され、煙感知器にはさらに高い検知精度が求められるようになりました。 これらの要件に対応するため、本ソリューションでは2波長LEDセンシングアーキテクチャを採用しています。 異なる波長のLED光は、煙粒子のサイズによって異なる散乱特性を示します。 その結果、フォトダイオードで検出される光学信号の強度も変化します。 この特性を利用することで、実際の火災による煙と調理煙をより高精度に識別できます。

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Graphic showing how to accurately distinguish between regular smoke and cooking smoke.
図1. 火災煙と調理煙を高精度に識別する方法

このセンシングアーキテクチャを効率的に実装するため、本ソリューションはRL78/G22 MCUとAFE(アナログフロントエンド)ICを中心とした統合ハードウェア構成を採用しています。 業務用煙感知器向けに設計されており、24V~40V電源で動作します。 さらに、電流制限回路(160µA以下)と外部通知信号回路を備え、以下のメリットを提供します:

  • 低消費電力システム:RL78/G22 MCUは、高性能と業界トップクラスの低消費電力を両立しています。 待機時には内蔵のSNOOZEモード・シーケンサー(SMS)¹を活用することで、システム全体の消費電力を低減し、待機時消費電流を最大20%削減できます。
  • シンプルでコンパクトな設計:MCUとAFEを組み合わせることで外付け部品数を削減し、PCB実装面積の縮小と設計の簡素化を実現します。
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Graphic showing the configuration for a smart smoke detector.
図2. AI搭載煙感知器の構成

単一のインテリジェントセンサで実現するAIセンシング

従来は、2つのLEDを使用して散乱光を検出・デジタル化し、アルゴリズムによって煙の種類を分類する方式が一般的でした。 この方式は有効ですが、煙感知器ごとのコスト増加とシステムの複雑化につながります。 そこでルネサスは、根本的な視点からアプローチを見直しました。 そこでルネサスは、「2つの光源をどのように制御するか」ではなく、「単一の赤外線LEDだけで、煙感知器に必要な情報を十分に取得できないだろうか」 という発想からアプローチしました。

エッジAIを活用することで、従来のしきい値判定を超えた高度な解析が可能になります。当社のAIモデルは単なる散乱光強度の変化を見るのではなく、信号の時系列パターンを解析します。 ルネサスは、リファレンスデザインを用いてUL規格で定義されたさまざまな試験シナリオのデータを収集しました。 対象には、くすぶり木材火災、ポリウレタン火災、さらに調理煙などの代表的な誤報要因(有名な「ハンバーガーテスト」を含む)が含まれます。 これらのデータを利用して、RL78/G22 MCU上で直接動作する機械学習モデルを学習させました。その結果、システムは各イベントに固有の信号パターンを識別できるようになりました。

このアプローチにより、煙感知器は単なる光強度変化への反応ではなく、検知した信号パターンを解析してその特徴を解釈できるようになります。その結果、低コストな単一赤外LEDのみを用いて、実際の火災と誤報を非常に高い精度で識別できます。

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Chart showing LED current value detected by photodiode.
図3. フォトダイオードで検出したLED電流値
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Screenshot of alarm detection validation metrics in Reality AI Tools.
図4. Reality AI Toolsにおける警報検知の評価指標

より高度な火災安全システムへ

火災安全システムの未来は、単に規格へ適合することではありません。よりスマートで、高信頼かつ高効率なデバイスを実現することです。 ルネサスは、業界トップクラスの低消費電力性能を実現するMCUと機械学習による高度な解析能力を組み合わせることで、新しいUL規格が抱える課題を、コストや性能を犠牲にすることなく解決します。これにより、お客様は次世代煙感知器の開発と差別化に注力できます。

次のステップ

¹ SNOOZEモード・シーケンサー(SMS):CPUを介さずに処理を実行できる機能。
²『RL78/G22多波長煙感知器リファレンスデザイン』アプリケーションノートのデータに基づく。

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