- GaNベースの半波整流LLC(Half-Wave LLC: HWLLC)コンバータトポロジを採用
- 電動工具やe-Bike、モバイル機器向けの高速充電器や、高出力が必要なAC/DC電源に、電力密度とピーク効率の新たな指標を確立
ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)は、このたび、AC/DC電源向けソリューションを拡充し、IoT、産業、インフラ向けに500Wの電力供給が可能なGaNベースの半波整流LLC(Half-Wave LLC: HWLLC)ソリューションを新たに開発しました。新たなHWLLCコンバータトポロジは、超高効率でコンパクトな電源アーキテクチャを100Wクラスの設計から500Wまで拡張可能です。従来のトポロジにおけるサイズ、発熱、効率の課題を克服しながら、電動工具やe-Bike、モバイル機器向けの次世代高速充電器や、高出力が必要な電子機器のAC/DC電源を実現します。
今回、本ソリューションを実現するために、ルネサス独自のゼロスタンバイパワー(Zero Standby Power: ZSP)技術の基盤となる新製品4種を発売しました。中核となるのは、HWLLCとインターリーブPFC(Power Factor Correction)を統合したコンボコントローラ「RRW11011」で、高い電力密h度と高効率を両立しています。位相シフト制御を搭載したPFC機能により、リップル電流を打ち消し、部品サイズとコストを削減すると同時に、電流バランスの最適化と高い信頼性を確保します。さらに、ハーフブリッジGaNゲートドライバ「RRW40120」およびインテリジェントな同期整流コントローラ「RRW43110」を開発しました。これらは、HWLLCとPFCをベースとする電源設計に共通して使用でき、組み合わせて使用することで500Wまで拡張可能となります。
このトポロジを活用したソリューションとして、最大240WのUSB給電を実現するUSB Power Delivery(PD) Extended Power Range(EPR)規格に対応するリファレンスデザインを提供します。今回新たに、USB PDコントローラ「RRW30120」を開発し、組み合わせることで、動作温度を低減しながら、USB PD EPRや他の充電システムで求められる5V~48Vの広い出力電圧範囲を実現します。この240W USB PD EPR充電器ソリューションでは、業界最高クラスの電力密度(3W/cm3)と96.5%のピーク効率を達成しました。
HWLLCは、500Wまで対応する広い電力範囲により、大型テレビやモニターに加え、掃除機、電動工具、照明機器、医療機器といった高出力電源を必要とする機器まで、対応可能なAC/DC電源および充電機器関連市場を拡大します。新しいHWLLCベースのAC/DCトポロジは、100Wクラスを超えるUSB‑C充電器の設計を可能にし、最大240WのUSB PD EPRに対応することで、これまで専用充電器が必要だったスマートフォン、ノートPC、ゲーム機向け充電器の小型化・共通化を後押しします。ルネサスのコンパクトかつ高出力な高速充電技術は、Belkin社のGaNベース充電器にも採用されました。Belkin社のZ-Chargerは、ルネサスの先進的なSuperGaN® D-mode GaN技術を用いた革新的なZSPチップを搭載しています。
Belkin Asia社のジェネラルマネージャーであるJenny Ng氏は、次のように述べています。「BelkinのZ-Chargerは、急速充電における極めて低いスタンバイパワーという新時代に向けた大きな一歩です。」
効率と電力密度の向上に必要不可欠なGaN
GaN技術は、ルネサスの次世代AC/DC設計において効率と電力密度を向上させ、高速スイッチング性能により、磁気部品の小型化、損失の低減、熱の抑制を可能にします。ルネサスのSuperGaN技術は、高耐圧のD-mode GaNと低耐圧のSi MOSFETを接続したカスコード構造を採用しています。しきい値電圧が高いため堅牢性が高く、標準的なシリコンゲートドライバで動作可能です。これによりユーザは、コンパクトかつ高効率な電源を、より迅速かつ高い信頼性で設計、検証、製造することができます。
ルネサスのGaNビジネス部門担当ヴァイスプレジデントであるRohan Samsiは、次のように述べています。「ルネサスのHWLLCを中心にした電源ソリューションは、インターリーブ方式PFCと共振型電力変換を一体化し、超小型かつ広範囲なAC/DC電力変換を、高効率、低スタンバイパワーで、信頼性の高い設計サポートとともに提供します。4種の先進的なコントローラICを戦略的に開発することで、私たちは電力密度の向上、熱特性の改善、EMI/ノイズ低減、および動作効率向上を実現する最適なソリューションを構築しました。」
従来のLLC方式と比べて、トランスの巻線を削減し、部品点数を低減することで、ルネサスのHWLLCソリューションは設計の複雑さを大幅に軽減するとともに、磁気部品の小型化を可能にします。これにより、異なるワット数、出力電圧、フォームファクタの製品ファミリ間での設計再利用が可能となり、信頼性の向上とBOM管理の簡素化にも貢献します。高集積化された広い入力/出力電圧に対応するHWLLCソリューションは、より小型で発熱の少ない、各種規格に容易に対応可能な製品開発を支援するとともに、卓越した無負荷/スタンバイ時の低消費電力を実現し、より高いエネルギー効率を可能にします。
ルネサスは、2026年3月22日~26日に米国テキサス州サンアントニオで開催されるApplied Power Electronics Conference(APEC)のブース(1219)で、HWLLCソリューションを展示する予定です。
HWLLCソリューションを実現する新デバイス4種「RRW11011」「RRW40120」「RRW43110」「RRW30120」は、評価ボードともに発売されます。評価ボード「EBC10293」は、240W USB PD EPR充電器のリファレンスデザインとして、一体型PFC、高効率なAC/DC電力変換、およびUSB PD制御を統合し、コンパクトかつ高電力密度の設計を実現しています。
ウィニング・コンビネーション
ルネサスは、新製品を使用した「240W AC/DC電源」および「300W照明電源プラットフォーム」ソリューションの他、幅広いウィニング・コンビネーションを提供しています。ルネサスのウィニング・コンビネーションは、ルネサス製品を最適に組み合わせ、エンジニアによる設計検証を行っているため、ユーザの設計リスクを低減し、市場投入までの時間を短縮します。他にも、さまざまなアプリケーション向けに400種類以上のウィニング・コンビネーションを提供しています。詳しくは、こちらをご覧ください。www.renesas.com/win
ルネサスのパワー製品について
ルネサスは、年間40億個以上のパワー製品を出荷しており、品質、信頼性、革新性などでパワーエレクトロニクス分野をリードしています。車載、IoT、インフラ、産業分野向けに、パワーマネジメントIC、ディスクリート製品、ワイドバンドギャップGaN製品、コンピューティングパワー製品などを提供しています。これらを当社のマイコンやMPU、SoC、アナログ製品などと組み合わせ、エンジニアよる設計検証を行った何百種類ものウィニング・コンビネーションや、PowerCompass™、PowerNavigator™などの革新的な設計ツールを通じて設計の簡素化と開発期間を短縮します。詳しくは、こちらをご覧ください。renesas.com/power
以 上
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