光MOS FETは、駆動側に発光ダイオード、接点にMOS FETを採用した完全固体リレーです。 従来の機械式リレーに比べて小型、軽量であるだけでなく、駆動が容易で高速、しかもノイズが出難い理想的なリレーです。

ここでは、その構造と特長とをご紹介します。

1.光MOS FETの構造

光MOS FETは、次図のように発光ダイオード(LED:Light emitting diode)の入力部と、それに向き合う光発電素子(PVD:Photo-voltaic diode)、そして接点となるMOS FETとからなります。

図1 内部透視図

図1 内部透視図(着色は図解のためで、実際の色とは無関係です。)

 

入力の発光ダイオード(LED)は、順電流を流すことによって赤外光を発します。

すると、その光に照らされて光発電素子(PVD)に電圧が発生します。

この電圧がMOS FETのゲートに加わるとMOS FETはそのドレイン電流を断続動作します。MOS FETは2つあり、逆直列に接続されているので、交流も断続できます。

このとき、MOS FETにはノーマリオフタイプ(エンハンスメント型)とノーマリオンタイプ(ディプリーション型)とがありますから、前者には正のゲート電圧を与える構造 にすることによってA接点(メーク接点)型、後者には負のゲート電圧を与える構造にすることによってB接点(ブレーク接点)型のリレーとすることができま す。

また、当社光MOS FETは、LEDの発光がなくなったとき、MOS FETのゲート電荷を高速で放電する当社独特の駆動制御回路を持ち、滑らかで高速なスイッチング動作を実現しています。

このような構造のため、入出力間は電気的に完全に絶縁され、いっぽう出力側接点は、順逆双方向に、直線性の良い導通特性と高い遮断性とを実現しています。

また、当社の光MOS FETは、次図のようにLEDと受光素子との間を光透過性の高い高絶縁樹脂で絶縁し、その外側を高遮光性の黒色樹脂でおおった二重構造になっていますから、周囲の明暗にかかわらず確実で安定な動作をします。

図2 封止構造

図2 封止構造

封止構造には、基本的構造の標準タイプ(左図)と、絶縁距離を長くした高絶縁タイプ(右図)との2種類があります。

2.光MOS FETの特長

光MOS FETは、上記のように半導体による完全固体であり、従来の機械式リレーやフォトカプラに比べて次のような特長を持っています。

小型・軽量

SOP(Small Outline Package)や超小型フラットリードタイプなど、機械式リレーには存在しない超小型品が続々と開発、発売されていますから、ノートPCや携帯情報端 末、様々なアダプタカードなどの小型化・軽量化が重要な機器や、高密度実装をする半導体検査機などに最適です。

図3 外観写真(マス目はおよそ1cm□です)

図3 外観写真(マス目はおよそ1cm□です)

耐衝撃性・耐振性に優れる

物理的な振動や衝撃の影響を受ける金属接点や可動部がありませんから、特にポータブルオーディオ、ノートPCなどの携帯情報端末、工作機、自動検査機などの耐衝撃性・耐振性を要求される機器に最適です。

動作音・ノイズが発生しない

機械式リレーのような動作音を発生しませんから、オフィスや工場、家庭などのあらゆる場所で、低騒音化に非常に効果的です。

また、機械式リレーで発生する接点火花などの現象もないため、周囲のAV機器などに電波妨害を与えることもありませんし、電子部品の検査などで、被検査部品に余分なストレスを与える心配もありません。

動作が高速

光と電子で動作するため、動作速度は機械式リレーに比べて10倍以上高速ですから、高速動作が必要な半導体検査機などに最適です。

誤動作しにくい

光MOS FETは、機械式リレーで発生するチャタリングがなく、一般的なフォトカプラよりも入出力間電位差変動の耐量が大きいので、それらが原因の誤動作はほとんど発生することがありません。

高絶縁で高信頼性

光MOS FETは入出力間が光結合ですから、電気的には完全に絶縁されています。

また、光MOS FETは、リレーでありながらマイクロプロセサやメモリと同様に完全半導体デバイスですから、スイッチング動作に伴う機械的摩耗や接点劣化がありません。

このため、半導体検査機などのように、高速スイッチングを連続する用途に最適です。

高感度で低消費電力

入力側の駆動電流は一般的に数mA程度と非常にわずかで、コイルのような逆起電力を持ちませんから、CMOS論理素子で直接駆動することもできます。

そのため、回路設計がとても容易で、しかも低消費電力のため、バッテリー電源のノートPCや携帯情報端末、さらに多数使用する半導体検査機などの低発熱、省電力化に最適です。

フォトカプラに比べて高電圧、大電流、交流も制御可能

受光素子と接点素子とが同じチップ上に集積されるフォトカプラに比べて、光MOS FETは接点用のMOS FETと受光素子とは別チップで作られていますから、MOS FETの選択しだいで、高電圧や大電流を制御できるものを作ることが容易です。

また、接点は2つのMOS FETが逆直列接続されているので、直流だけでなく、交流も断続できます。

高リニアリティで、温度変動が小さい

出力側接点に使用しているMOS FETは順逆どちらにもリニアリティ(直線性)が良好ですから、微小なアナログ信号の制御にも最適です。

また、ノートPCやPDAなどで要求される広い温度範囲で出力側のオン抵抗値の変動が少なく、安定した特性が得られます。

図4 特性例

図4 特性例

このような数々の特長から、当社では、微小信号から大電流の制御まで広い範囲のラインナップを取り揃えています。

目的の用途に最適な品種を選んでお使いください。