地球低軌道の小型衛星向けに、卓越した耐放射線性能を持つデジタル・アイソレータを発売

~耐放射線機能を持つISL71610MとISL71710Mにより、絶縁電源とシリアル・インタフェースに対する最高レベルの絶縁保護が容易に実現~

2019年01月29日

ルネサス エレクトロニクス株式会社

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、このたび、2種類のプラスチックパッケージの耐放射線デジタル・アイソレータを発表しました。この新製品は、地球低軌道(low Earth orbit :LEO)の小型衛星(SmallSat)で使用される絶縁電源と、シリアル・インタフェースにおいて、高電圧スパイクからの絶縁保護は最高レベル(2,500VRMS)です。現在、民間の「New Space」企業が何千機もの小型衛星の打ち上げを計画しており、これにより複数のLEOスペースプレーンで稼働する巨大なコンステレーションが形成されつつあります。小型衛星によるメガ・コンステレーションにより、ユビキタスなブロードバンドIoT通信が地球のどこにいても可能となり、陸・海・空のアセット追跡のための高解像度画像撮影による地球観測が実現します。

 パッシブ入力用ISL71610Mとアクティブ入力用ISL71710Mは、絶縁電圧、データレート、コモンモード過渡耐性(CMTI) 、伝播遅延、自己消費電力、ダイナミック電流などの主要な電気的仕様で卓越した性能を持ちます。ルネサスの巨大磁気抵抗(GMR)デジタル・アイソレータは、トータルドーズ(TID:Total Ionizing Dose)放射線により、感度の落ちる光学部品を使用したオプトカプラの置き換えに最適です。2種のGMRアイソレータは、エッジと双極放射からの放射による電磁干渉(EMI)の影響があるトランスベースのデジタル・アイソレータにも性能で優ります。ルネサスのGMRデジタル・アイソレータは、最大30krads(Si)の総イオン線量(TID)で特性化試験を実施しており、またシングル・イベント効果(SEE)については43MeV•cm2/mgの線エネルギー付与(LET)の下で試験しています。

 ISL71610MとISL71710Mはその絶縁設計により、85℃において瞬時絶縁耐圧2.5kVRMSと600VRMSの継続動作電圧を提供します。発信側と受信側を電気的に絶縁する必要があるシリアル通信サブシステムでは、それぞれISL71610Mは最大100 Mbps、ISL71710Mは150 Mbpsでの通信速度を実現。どちらもNew Space産業において最大級のデータレートを提供するもので、RS-422、RS-485、CANバスにも最適です。ISL71610MとISL71710Mの自己消費電流は極めて少なく、ISL71710Mのダイナミック電流はClass Vアイソレータの4分の1近くまで抑えられています。

 ルネサスのインダストリアルA&P事業部長のPhilip Chesleyは次のように述べています。「ISL71601MとISL71710Mはどちらも本質的に放射線の影響を受けないGMR誘導構造を利用し、ルネサスの60年間に上る宇宙関連製品開発の経験に基づいて開発されたものです。GMRにより、ルネサスの宇宙グレードのアイソレータは、オプティカルベースの設計よりも望ましいものとなり、ルネサスの耐放射線プラスチックフローによりClass Vアイソレータに比べ、低コストで耐放射線性能を発揮します。」

 

ISL71610MとISL71710Mの主な特長

  • 3Vから5.5Vの電源電圧範囲
  • 絶縁電圧2.5kVRMS(1分間)、600VRMS(連続)
  • データレートは最大100Mbps(ISL71610M)、150Mbps(ISL71710M)
  • コモンモード過渡耐性(CMTI)20kV/µs(ISL71610M)、50kV/µs(ISL71710M)
  • 伝播遅延8ns(ISL71610M)、10ns(ISL71710M)
  • 自己消費電流1.3mA(ISL71610M)、1.8mA(ISL71710M)
  • 軍用全温度範囲で動作
    • -TA = -55°C~+125°C
    • -TJ = -55°C~+150°C
  • 低線量(LDR)下での放射線特性化(0.01rad(Si)/s):30krad(Si)
  • SEE特性化:No SEB/SEL、VDD = 7V LET = 43MeV•cm2/mg

 

絶縁100Vハーフブリッジ電源リファレンスデザイン

 ISL71610Mのパッシブ入力デジタル・アイソレータは、ルネサスの耐放射線強化ハーフブリッジ電源ステージのリファレンスデザインに使用されています。本リファレンスデザインのISL73040SEH4Z評価ボードは、衛星のソーラーパネルから100Vの電源を取得し、降圧レール電圧(28V、12V、5V、3.3V)を最大94%の高い効率で生成できるハーフブリッジ電源ステージです。ISL73040SEHEV4Zユーザマニュアルには、ISL71610M、ISL73040SEHローサイド窒化ガリウム(GaN)ドライバ、およびISL73024SEH 200V GaN FETを使用しての絶縁付きのハーフブリッジ電源ステージの構築方法が説明されています。ユーザマニュアルには、材料表(BOM)と、アイソレータへの電源供給方法、デッドタイムのコントロール方法に加え、GaN FETゲートでのオーバーシュートとリンギングの発生を最小化するためのレイアウトガイドラインも掲載しています。

 

絶縁CANバスアプリケーション

 ISL71710Mは、CANバスコントローラとISL71026M耐放射線CANバストランシーバまたはISL72026SEH耐放射線強化CANバストランシーバの間のフォールトトレラントなシリアル通信絶縁として、シングルエンドのCANバス入力信号と組み合わせて使用することができます。この用途は、ISL71710をHS-26C31耐放射線強化RS-422トランスミッターおよびHS-26C32耐放射線強化RS-422レシーバと組み合わせることでRS-422への拡張が可能です。

 

供給

 耐放射線デジタル・アイソレータISL71610MおよびISL71710Mは、8リード5mm x 4mm SOICパッケージで発売を開始しました。

 

ISL71610Mの詳細についてはwww.renesas.com/products/ISL71610Mをご覧ください。
ISL71710Mの詳細についてはwww.renesas.com/products/ISL71710Mをご覧ください。

 

(注) ルネサスはブランド方針として、軍事・航空宇宙分野向けの製品は、製品ブランドとしてインターシルブランドを継続します。

 

以 上

 

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