ルネサスはこの1年、サプライチェーン全体において、原材料などの資源の有効活用を進めるため、環境・サステナビリティに関する取り組みを継続してきました。具体的には、2040年のカーボンニュートラル実現に向けて、水資源の保全、リサイクルと再利用、温室効果ガス排出量の削減、再生可能エネルギーの活用拡大に取り組んできました。
2025年度統合報告書で詳述しているとおり、総エネルギー使用量は前年比で1.1%減少しました。さらに、水使用量は約8%減少し、廃棄物のリサイクル率は全世界で90%超を達成しました。コンプライアンス面では、ルネサスの全サプライヤーの92%がルネサスサプライヤー行動規範(SCoC)の遵守に同意しました。また、監査・サステナビリティ委員会(ASC)に定期報告を行うサステナビリティ部門(SU)の設置により、方針の監督と現場での実行を確実に結びつける体制を強化しました。



2025年度統合報告書の発行にあたり、環境保全およびサステナビリティの実行を担う2名の幹部、執行役員 兼 オペレーションヘッドの片岡 健と、シニアディレクター 兼 サステナビリティヘッドであるAriuka Bayarsaikhanに、この1年間の主な成果を振り返ってもらいました。
聞き手:2025年の取り組みを振り返って、特に手応えを感じていることを教えてください。
片岡:廃棄物や排出量の削減、気候変動リスクへの対応を進めることは、製品を安心してお使いいただける環境づくりに貢献すると考えています。また、従業員が安心して意欲的に働ける環境を整えることにもつながると考えています。こうした取り組みを通じて、当社のパーパスである「To Make Our Lives Easier(人々の暮らしを楽(ラク)にする)」を具体的な形として実現しています。

Bayarsaikhan:そうした流れの中で、ルネサスのサステナビリティへの取り組みは、主に方針を策定する段階から、実行と管理に重点を置く段階へと進化しました。地政学リスクの高まりや規制動向の変化、さらに顧客や投資家からの要請を踏まえると、サステナビリティはもはや事業運営に不可欠な要素となっています。こうした背景から、ルネサスは経営層と現場の両レベルで、実行と管理に積極的に取り組むようになりました。
聞き手:こうした経営全体での取り組みは、どのような具体的成果につながっていますか。
片岡:私は実行を担う責任者として、サステナビリティ運営チーム(SOT)で合意した全社方針を具体的な現場施策に落とし込み、各拠点やサプライヤーで着実に実行されるよう管理しています。2025年度には、主に再生可能エネルギーの導入や業務効率の改善が進んだおかげで、2021年度比でスコープ1および2のCO₂排出量を75.8%削減し、スコープ3の排出量も62.4%削減することができました。
また、スコープ1に含まれるパーフルオロカーボンガス(PFC)排出量の削減に向けて、環境負荷の低いガスへの切り替え、プロセスの最適化、除害装置の導入・更新についても継続的に取り組んでいます。スコープ2については、排出量の80%超を電力が占めているため、コンプレッサ、ボイラー、ドライポンプの更新など、エネルギー効率化に向けた投資を継続しました。


Bayarsaikhan:先ほどのお話にもあったとおり、ルネサスは2040年のカーボンニュートラル実現という目標に沿って、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。生産拠点では、高効率機器の導入やプロセス改善などの施策を、計画に沿って進めてきました。数値目標の達成だけを目的とするのではなく、生産ラインや品質への影響を慎重に見極めながら、サステナビリティの取り組みを着実に前進させることを重視しています。2025年度の最も重要な成果は、現状を迅速に把握し、次に取るべき施策を検討する体制を整えられたことだと私は考えています。
聞き手:ルネサスはサプライチェーン全体で、脱炭素化と規制対応をどう進めてきたのでしょうか。また、GHG排出量の削減目標達成に向けて、再生可能エネルギーはどう役立っていますか。
片岡: 脱炭素化と材料・化学物質管理については、PRTR、VOC、RoHS、REACHなどの環境関連規制への対応を、当社の設計、調達、変更管理の各プロセスに組み込んでいます。これにより、品質を損なうことなく、規制に確実に対応できる仕組みを整えています。責任ある鉱物調達の分野では、トレーサビリティの改善のため、Responsible Minerals Initiative(RMI)のガイドラインに基づき、3TG(スズ、タンタル、タングステン、金)の調査結果を100%開示しました。このデータは、第三者認証機関である日本品質保証機構(JQA)による検証を受けています。
GHG排出量については、2021年度比で38%削減することが目標です。この目標の達成に向けて、ルネサスは日本、中国、マレーシアの生産拠点を中心に、再生可能エネルギーの活用を拡大しています。日本では2022年度からグリーン電力の購入を開始しました。また、中国とマレーシアでは2022年度後半から、電力購入契約に基づく太陽光発電を導入しています。

聞き手:環境保全やサステナビリティへの取り組みをめぐり、投資家、顧客、従業員などのステークホルダからの期待はどのように変化していますか。
Bayarsaikhan:評価や規制対応を含め、サステナビリティに対する期待は明らかに高まっています。そのため、投資家や顧客は、もはや取り組みがあるかどうかだけを見ているわけではありません。その方針が成果を上げ、進化し続けていること、そして信頼できるデータに裏付けられていることを重視するようになっています。社内においても、社員一人ひとりの役割や日々の意思決定とサステナビリティが結びついていると理解することが重要です。ステークホルダとの継続的な対話を通じて期待をすり合わせていくことが、最終的に長期的な信頼につながると思います。
聞き手:2030年、そしてその先を見据えたとき、サステナビリティにおいて最も重要なことは何だとお考えですか。
片岡:生産、サプライチェーン、規制対応という3つの領域を見ると、進むべき方向性は明らかです。生産拠点では、引き続きプロセスの最適化を進めるとともに、PFC除害装置の更新を検討し、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの活用に柔軟に取り組んでいきます。サプライチェーン全体では、スコープ3の削減目標達成に向けて、サプライチェーン上流に関するデータの収集を継続していきます。化学物質管理については、設計・調達部門の取り組みを強化することで、気候変動への影響を抑えながら、規制対応、品質、供給安定性を確保するプロセスを構築しています。また、規制対応と開示の面では、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が示す基準などを見据え、データ管理とエビデンス管理を強化していきます。
Bayarsaikhan:サステナビリティ戦略と事業戦略を一体化させることが、引き続き最も重要な課題です。サステナビリティを特別な活動として位置づけるのではなく、日々の意思決定や事業運営の中に自然に組み込むことを目指しています。そのために、評価指標、管理プロセス、および部門横断的な連携の改善を続けています。
こうした取り組みの指針となるのが、当社のパーパスである「To Make Our Lives Easier(人々の暮らしを楽(ラク)にする)」です。この理念のもと、一つひとつの取り組みを着実に実行していきます。

