ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)は、ルネサス初となる100V耐圧のエンハンスメントモード(Eモード)GaNディスクリートパワートランジスタ製品群を発売し、GaN製品ポートフォリオを低電圧アプリケーション向けに拡充しました。新製品の低耐圧GaN FET「RTP100E005G1FL」「RTP100E2P6G1FL」「RTP100E1P8G1FL-DSC」「RTP100E1P2G1FL-DSC」は、AIデータセンタ、ヒューマノイドロボット、ファクトリオートメーション(FA)、産業用モータ駆動、電動工具、太陽光マイクロインバータなど、高効率かつ高電力密度が求められるアプリケーション向けに、超高速スイッチングと優れた放熱性能を実現します。
これらのGaN FETは、ハードスイッチングとソフトスイッチングの双方で業界トップクラスのFOM(性能指数)を実現し、同等のGaNデバイスと比較して、ハードスイッチングFOMを最大35%、ソフトスイッチングFOMを最大63%低減します。また、低耐圧GaNデバイスは、シリコンMOSFETと互換性のあるフットプリントを採用しているため、既存設計へ容易に導入できます。
現在のデータセンタ向け電力コンバータは、一般に数百kHzのスイッチング周波数で動作しています。一方、AIサーバや産業インフラで800V DC配電や48Vバスアーキテクチャへの移行が進む中、多くのコンバータ段では、磁気部品の小型化や電力密度の向上、システム全体の高効率化に向けて、GaNによる数MHzの高周波スイッチングが採用され始めています。
800V高電圧直流(HVDC)電力供給アーキテクチャにおいて、電力変換段に低耐圧GaNを採用することで、設計を簡素化し、受動部品の小型化やスイッチング損失、冷却要件の低減を実現します。システムレベルでは、これにより効率が向上し、熱設計の負荷を軽減するとともに、エネルギーコストとBOMコストの削減につながります。
幅広いGaN製品ポートフォリオにより、高効率、高電力密度、設計の柔軟性を実現
新製品は、低耐圧EモードGaN技術を採用し、総ゲート電荷量(Qg)と出力電荷量(Qoss)を低く抑え、電圧と電流の重なりを最小限にすることで、低損失でGaNの超高速スイッチングを実現します。これにより、AI電源ユニット、モータ駆動、DC/DC変換回路における各電力変換サイクルでのエネルギー損失を低減します。また、逆回復電荷量(Qrr)がゼロのため、逆回復によるエネルギー損失を削減し、スイッチング時の電源効率を向上させます。
高速スイッチングにより高周波動作が可能となり、基板面積の縮小や磁気部品、受動部品の小型化を通じて電力密度を高めます。一方、低オン抵抗(RDS(on))は導通損失を抑え、電源効率を改善します。さらに、下面冷却と両面冷却の2種類の構成を用意し、放熱性能を強化するとともに、設計の柔軟性を確保しています。アプリケーション要件や電力変換アーキテクチャに応じて、スイッチング損失を40~70%低減するとともに、システムレベルで最大2倍の電力密度を実現できます。
これらのGaNトランジスタは、MOSFETと互換性のある複数の標準パッケージで提供されるため、大幅な基板変更を行うことなく、シリコンMOSFETから迅速に移行できます。また、5mΩ~1.2mΩの幅広いオン抵抗(RDS(on))と複数のパッケージオプションにより、同期整流回路、マルチフェーズ降圧コンバータ、モータ駆動回路など、さまざまな電力レベルやアプリケーションに対応できます。
ルネサスの低耐圧GaN担当シニアダイレクターのAkhil Nairは、次のように述べています。「AIサーバ、ロボティクス、産業用モータ駆動、再生可能エネルギーシステム向けに次世代GaN技術を採用するお客様は、システムの小型化が進む中でも、より高効率な電力変換を求めています。ルネサスの低耐圧GaNファミリは、GaNならではの高効率、高速スイッチング、高電力密度を実現するとともに、既存のシリコンMOSFET設計からの移行を容易にします。」
シリコン互換パッケージでGaNの高性能を実現
このGaNファミリは、Eモード(ノーマリオフ)GaN技術を採用し、シリコン互換パッケージにより、GaNならではの高性能を実現します。これにより、設計者はGaNの高効率や高電力密度のメリットを活用しながら、既存のシリコンベース設計から円滑に移行できます。
低耐圧GaNファミリの主な特長
- シリコンベース設計比で効率を1~3%向上し、逆回復電荷(Qrr)に起因する損失を削減
- スイッチング損失を40~70%低減
- スイッチング1サイクル当たりのエネルギーを低減し、高周波動作を可能にすることで、電力密度を最大2倍に向上
- 高周波動作により磁気部品を小型化し実装面積を縮小するとともに、システム全体の損失を低減
- 放熱設計の最適化により、ファンやアクティブ冷却の要件を緩和し、システムを簡素化してBOMコストを削減
さらに、低耐圧GaNファミリは、電力段あたりの消費エネルギーを低減し、設計者のサステナビリティ目標の達成を支援します。具体的には、放熱設計や空冷設計に必要なファンの小型化を可能にするとともに、磁気部品や基板面積を縮小することで、AIデータセンタや産業分野におけるエネルギー効率の向上に貢献します。
ウィニング・コンビネーション
ルネサスは、新製品と様々な自社製品を組み合わせ、幅広いソリューションを提供しています。今回、低耐圧GaN FETを使用した、800V-48V DCX電力変換システムソリューションやDCサーボシステムソリューションなどを提案しています。その他のウィニング・コンビネーションは、renesas.com/winをご覧ください。
低耐圧GaNの新製品についてはlow-voltage GaN power transistorsをご覧ください。ルネサスのGaN製品については、低電圧GaNパワーディスクリートをご覧ください。
ルネサスのパワー製品について
ルネサスは、年間40億個以上のパワー製品を出荷しており、品質、信頼性、革新性などでパワーエレクトロニクス分野をリードしています。車載、IoT、インフラ、産業分野向けに、パワーマネージメントIC、ディスクリート、ワイドバンドギャップGaN製品、コンピューティングパワー製品などを提供しています。これらを当社のマイコンやMPU、SoC、アナログ製品などと組み合わせてエンジニアによる設計検証を行った何百種類ものウィニング・コンビネーションも提供しています。また、PowerCompass™やPowerNavigator™などの革新的設計ツールによって開発プロセスを簡素化し加速します。詳しくは、こちらをご覧ください。renesas.com/power
以 上
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