ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表執行役社長兼CEO:柴田 英利、以下、当社)は、本日、Wolfspeed, Inc.(本社:米国ノースカロライナ州ダーラム、以下、Wolfspeed、読み:ウルフスピード)と同社の主要債権者との間で、同社の財務再建について定めるRestructuring Support Agreement(以下、再建支援契約)を締結しました。これに伴い、下記のとおり、損失を計上する見込みとなりましたのでお知らせします。
記
1.損失の内容
当社は、2023年7月に発表したとおり、Wolfspeedとの間でSiCウェハの供給契約を締結し、Wolfspeedに対して20億米ドル(約2,920億円)の預託金(以下、本預託金)を当社の米国完全子会社を通じて提供しました。その後、2024年10月にはWolfspeedと修正契約を締結し、本預託金の元本相当額は総額20.62億米ドル(約3,011億円)となっております。
一方、Wolfspeedは、財務上の課題に直面しており、2025年5月8日に開催された同社の四半期決算説明会において、財務基盤強化に向けた同社の目標達成のために法的再建手続きを実施する可能性がある旨を公表しました。また、かかる公表を受けて、2025年3月30日を期末とする同社の四半期財務諸表には「継続企業の前提に関する注記」が記載されるに至りました。
かかる事態を受けて、当社は、Wolfspeedとの間で協議を実施しておりましたが、本日、Wolfspeedと同社の主要債権者との間で再建支援契約を締結し、当社が提供した20.62億米ドルの本預託金について、以下のとおり、Wolfspeedの転換社債、普通株式および新株予約権に転換することに合意しました(再建支援契約に基づくWolfspeedの債務のリストラクチャリングを、以下、本リストラクチャリング)。
- Wolfspeedの転換社債:元本総額2.04億米ドル(約298億円)、満期2031年6月のWolfspeedの普通株式に転換可能な転換社債。本リストラクチャリング完了時点におけるWolfspeedの発行済株式総数(潜在的希薄化考慮前)の13.6%相当に転換可能。なお、潜在的希薄化考慮後(ただし、当社に付与予定の新株予約権の行使前)では11.8%に相当。
- Wolfspeedの普通株式:本リストラクチャリング完了時点におけるWolfspeedの発行済株式総数(潜在的希薄化考慮前)の38.7%相当。なお、潜在的希薄化考慮後(ただし、当社に付与予定の新株予約権行使前)では17.9%に相当。
- Wolfspeedの新株予約権:本リストラクチャリング完了時点におけるWolfspeedの発行済株式総数(潜在的希薄化考慮後)の5%相当。
なお、本リストラクチャリングは、米国連邦倒産法第11章(チャプター11)に基づく手続き(以下、当該手続き)を通じて行われる予定であり、Wolfspeedは、近日中に当該手続きの開始を裁判所に申請する予定です。本リストラクチャリングは、再建計画に関する裁判所の認可を経て、2025年9月末までに効力発生する見込みです。
また、当社が上記のWolfspeedの転換社債、普通株式および新株予約権を取得するために必要な規制当局の承認が本リストラクチャリングの効力発生時点で未取得の場合、当社は、必要な承認が取得されるまでの間、これらの転換社債、普通株式および新株予約権と同等の経済的価値に関する権利を取得する予定です。
当社は、上記の再建支援契約の締結に伴い、連結決算において、本預託金に係る預託金債権について損失を計上する見込みです。現時点では、当該損失の計上時期や計上額は確定しておりませんが、当社としては、2025年12月期第2四半期累計連結決算において、約2,500億円(期中平均の為替レート:1米ドル150円で円換算)の損失を計上する可能性があると考えております。なお、当該金額は、当社が現時点で把握している情報に基づき当社の試算により算出した見込値であり、今後、様々な要因により増減する可能性がありますのでご留意下さい。当該損失の最終的な計上時期や計上額は、今後、監査法人とも協議の上で、確定する予定であり、確定次第速やかにお知らせします。
2.今後の見通し
当社は、業績予想について、「Non-GAAPベース」にて売上収益・売上総利益率・営業利益率を開示しており、親会社株式に帰属する当期純利益の予想は開示しておりません。そのため、2025年4月24日に発表した2025年12月期第2四半期連結累計期間の業績予想に変更はありません。
(注1)本発表資料での円換算値は、特に注記がない限りは、2025年6月20日時点の為替レート:1米ドル146円を使用して計算しています。
(注2)Non-GAAP業績値は、財務会計上の数値(IFRS)から非経常的な項目やその他特定の調整項目を一定のルールに基づいて控除もしくは調整したものです。当社グループの恒常的な経営成績を理解するために有用な情報と判断しており、当社グループはNon-GAAPベースで予想値を開示しております。具体的には、企業買収に伴い、認識した無形資産の償却額およびその他のPPA(取得原価の配分)影響額、株式報酬費用や当社グループが控除すべきと判断する一過性の利益や損失などを控除もしくは調整しております。
注意事項:
本資料に記載されているルネサス エレクトロニクスグループの計画、戦略および業績見通しは、現時点で入手可能な情報に基づきルネサス エレクトロニクスグループが判断しており、潜在的なリスクや不確実性が含まれております。そのため、実際の業績等は、様々な要因により、これら見通し等とは大きく異なる結果となりうることをあらかじめご承知願います。実際の業績等に影響を与えうる重要な要因としては、(1)ルネサス エレクトロニクスグループの事業領域を取り巻く日本、北米、アジア、欧州等の経済情勢、(2)市場におけるルネサス エレクトロニクスのグループ製品、サービスに対する需要動向や競争激化による価格下落圧力、(3)激しい競争にさらされた市場においてルネサス エレクトロニクスグループが引き続き顧客に受け入れられる製品、サービスを供給し続けていくことができる能力、(4)為替レート(特に米ドルと円との為替レート)の変動、(5)Wolfspeedの米国連邦倒産法第11章(チャプター11)に基づく手続きに関するリスク及び不確実性等がありますが、これら以外にも様々な要因がありえます。また、世界経済の悪化、世界の金融情勢の悪化、国内外の株式市場の低迷等により、実際の業績等が当初の見通しと異なる結果となる可能性もあります。当社は、法令上要求される場合を除き、新たな情報、将来の事象の発生その他の事由の如何にかかわらず、将来に関する記述について、更新し又は公表する義務を負うものではありません。
以 上