Eric Pinton
Director

完全自動運転の過大な宣伝活動は、現在ややトーンダウンしており、OEMは将来的に渡って持続可能なビジネスのための現実的なシナリオを探しています。 次期NCAP要件と法規規制によって推進される安全要件は、ADASの主要な市場ドライバーであり、さらに、ADASの利便性機能はより手頃な価格になるにつれて市場が拡大していく見込みです。

ただし、システムの複雑さが増える中で、OEM は開発効率を満足しつつ、エントリー向けNCAP対応モデルからプレミアム向けL2 + 、 L3 まで、幅広い要件をカバーできるスケーラブルなプラットフォームを探しています。 

完全自動運転の普及は延期方向

完全自動運転の誇大広告はスローダウンしており、現在OEMは現実的なシナリオを探しています。OEMの目標は自動運転車を最初に提供することでしたが、現状は大きく異なっています。 いくつか例を挙げると、自動運転を実現するための当初の見積もりが、実際には大きな遅延と莫大な費用をもたらしています。たとえば、分散されたシステム内の膨大な異なるセンサーの複雑さや、ほぼ無限のユースケースにおけるハードウェアおよびソフトウェアのシステム検証などです。 

しかし、NCAPの評価、法規規制によって推進される車両の電化や安全要件などの傾向により、市場は全体的な投資の優先順位を再検討する必要があり、最終的に自動運転車への投資が減少しました。 これにより、自動運転車の導入時期が変化しました。参考にこちらをご覧ください。  

Driverless cars are stuck in a jam (The Economist)

Ford Delays Commercial Automated Vehicle Launch To 2022 (Forbes)

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Figure 1_Level-of-autonomy

市場牽引する安全 –コストと安全の両立

NCAP要件と次期法規性は重要なアイテムです。つまりバックアップカメラまたはAEBによって推進される安全要件は、ADASの市場を引っ張ってきています。 さらに、ADASの需要は手頃な価格になるにつれて増大していきます。 

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Figure 2_features-of-each-level-of-autonomy

同時に、自動駐車やアダプティブクルーズコントロール(レベル2 /レベル2+)などのいくつかの便利な機能が消費者に人気があります。 消費者は、オプションの車両アップグレードのコストに対して具体的なメリットを確認します。 
結局、OEMは、市場から期待される便利なADAS機能を提供しながら、最新NCAP要件と法規性に車両を適合させることを余儀なくされています。

機能、複雑さ増大によりOEMはスケールアップが可能なプラットフォームが必要に

OEMは、開発効率とNCAP機能から手頃な価格のL2 +およびL3までの幅広い要件に対応できるスケーラブルなプラットフォームを求めています。 
集中型ECUに機能を統合するトレンドは、スケーラビリティの要求を満足させるために非常に魅力的なアプローチです。ただし、このアプローチにより新しい課題が見えてきます。 

HWの課題は、アップグレードの互換性を維持しながら、デバイスをエントリーからハイエンドを満足させるオープンプラットフォームの提供可能な半導体ベンダーを見つけることです。一般的に半導体は、モバイル、PC、またはゲームなどのコンシューマ製品に対して高い性能を実現可能です。しかし、消費電力と機能安全の両立は、コンシューマ向けは当初設計されていませんでした。 
SW観点では、OEMは、従来のTier 1からオープンSWモデルを必要とする新しいタイプで、かつ、特定の機能に最適なSWサプライヤーを探しています。 

人口知能AIは次の課題です。これは完全に新しいクラスのアルゴリズムであり、数年前にまだ研究段階でしたが、現在は積極的に車載に応用することが期待されています。その必要なパフォーマンスを実現するためには、組み込み向けの革新的でかつ最先端なIP、つまりコンピュータービジョンとAIが必要であり、さらに、自動車向け安全規格IS0 26262を使用して、パフォーマンスと柔軟性を持ち合わすことが求められています。

自動車への取り組み–ADASおよびADの新機能を実現
ルネサスエレクトロニクスはすべての自動運転で求められる要件を調査し、R-Car V3Uを開発しました。これは、先進運転支援システム(ADAS)および自動運転(AD)システム向けのクラス最高のASIL Dシステムオンチップ(SoC)であります。これは、ADASおよびAD向けルネサス Autonomyのプラットフォームの一部であり、ディープラーニング向け60TOPSを実現と同時に低消費電力、96,000 DMIPSのプロセッシング性能を実現します。

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Figure 3_AD-functions

R-CAR V3Uは、新アーキテクチャであるR-Car Gen 4を採用しており、エントリーレベルのNCAPアプリケーションから高度な自動運転システムまでの拡張性を提供します。R-Car V3Uは、ルネサス第4世代の高性能ADASおよびADのデバイスとして、2023年モデル以降の車両に提供されます。 

機能安全(ASIL Dサポート)
自動運転システムでは、ASIL Dの機能安全が求められています。これは自動車向け安全規格ISO 26262において最も厳しい安全性レベルです。 R-Car V3Uは、ランダムハードウェア故障(偶発的故障)を高速に検出、制御する高度なセーフティメカニズムを搭載しています。R-Car V3Uでの信号処理の大部分において、ASIL Dのメトリクスを達成見込みであり、機能安全実現に向けての設計の複雑さを軽減し、市場投入までの時間とコストを削減します。  

低消費電力で最先端のディープラーニングを実現
R-CAR V3Uは、柔軟性の高いディープラーニングおよびAI機械学習機能を提供します。 その柔軟なアーキテクチャは、低消費電力と空冷システムで60TOPSを維持しながら、自動車などの障害物検出、障害物分類のための最先端のニューラルネットワークを処理できます。 

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Figure 4_performance-vs-flexibility

R-Car V3Uは、レーダ信号処理用のDSP(Digital Signal Processor)や、従来のコンピュータビジョンアルゴリズム処理に適したマルチスレッドのコンピュータビジョンエンジン、画質を向上可能なイメージシグナルプロセッサ、その他自動運転で求められる専用エンジン(物体の動きを検出するDense optical flow, 高精度な距離計測を行うためのStereo disparity, 物体の分類を行うObject classificationなど)を搭載しています。詳しくは動画をご覧ください。 

自動運転に特化したソフトウェアプラットフォーム
ルネサスエレクトロニクスは、ユーザーのソフトウェア開発負荷を軽減する各種開発環境をパートナと共に用意しています。特に、物体認知などによるディープラーニングによる学習結果を自動的に推論用ソースコードに変換するツールを、R-Car V3U用に提供します。変換されたソースコードを、統合開発環境のe2 Studioに取り込むことにより、実行性能や消費電力などをシミュレートでき、R-Car V3Uの評価やソフトウェア開発の早期着手が可能です。また、各種アプリケーションのリファレンスデザインやオンライン教育なども提供することにより、あらゆるレベルのエンジニアが迅速に設計に着手することができます。機能安全やサイバーセキュリティ要件に準拠したコンパイラとコードジェネレータも用意しており、セキュアなソフトウェア開発を支援します。 

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Figure 5_SW-Development

R-Car V3Uが採用しているヘテロジニアス・マルチコア( Heterogeneous multi core)向けに、使いやすいデバッグツール、チューニングツールを提供し、効率的なソフトウェア開発が可能となります。さらに、サンプルアプリケーションとオンライン教育リソースの包括的なセットにより、あらゆるレベルのエンジニアが設計プロセスを迅速に開始できます。 機能安全およびサイバーセキュリティ要件に準拠するための認定コンパイラおよびコードジェネレータは、安全で安全なソフトウェア開発を保証します。  

ルネサスの幅広い商品ラインナップとウィニング・コンビネーション 
R-Car V3Uは、ルネサスの車載用マイコンRH850や、パワーマネジメントIC、パワーデバイスなど、ADASや自動運転用ECUに必要なコンポーネントと組み合わせて使用することが可能で、さらに効率的な開発が可能です。 

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