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PND、携帯機器向け高性能アプリケーションプロセッサ「R-Mobile A1」を発売

2011年11月10日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)とその子会社、ルネサス モバイル株式会社(代表取締役社長:川崎 也)は、このたび、PND(Personal Navigation Device)、携帯機器向けアプリケーションプロセッサとして、高機能化、高性能化、およびシステムコストの大幅低減に貢献する「R-Mobile A1」シリーズを製品化し、本日よりサンプル出荷を開始します。

 「R-Mobile A1」シリーズは、PNDやポータブルメディア向けに多くの採用実績がある「SH-Mobile R シリーズ(注1)」や「EMMA Mobileシリーズ(注2)」を統合しており、(1)動画像処理性能向上により、フルHD(フルHigh Definition:1920 × 1080画素)動画記録・再生と、フルセグ地上波デジタル放送対応を実現、(2)高精彩「PowerVR SGX」搭載により3Dグラフィックス性能を強化し、多彩でリアルな3Dグラフィックスに対応、(3)CPUには、最大動作周波数800MHzのARM Cortex-A9を搭載し、Linux、Android、Windows Embedded Compact7.0、Windows Embedded Automotive7.0などの汎用OSに対応でき、幅広い組み込み機器を早期に開発可能、などの特長があります。

 サンプル価格は、「R-Mobile A1」が5,000円/個、3Dグラフィック機能を搭載しない「R-Mobile A1S」が4000円/個となっています。量産は、2012年3月から開始し、2013年には月産50万個を計画しております。

背景

 近年、PNDやポータブルメディアプレーヤなどの携帯機器では、ワンセグ(注3)放送受信機能を搭載した製品が主流となっておりましたが、フルセグ地上波デジタル放送の本格普及に伴い、高画質、高性能化のニーズが高まっております。また、動画やオーディオの高性能マルチメディア対応、および高度なヒューマンマシンインタフェース(HMI)に対応するための多彩でリアルな3Dグラフィックス表示や操作性向上を実現するGUI(注4)表示等が求められています。今回製品化した「R-Mobile A1」は、こうしたニーズに対応すると共に1チップ化等によりシステムの低コスト化、小型化、および開発期間短縮を実現できます。

特長

「R-Mobile A1」シリーズの主な特長は次の通りです。

(1)フルHD動画記録・再生、および高画質・高精細な地上波デジタル放送再生に対応

新製品では、高性能かつ低消費電力の当社動画像処理エンジンとして、従来のVPU5Fに加え、新規にVCP1を搭載したことにより、フルHDサイズの動画(ビデオ)録画・再生とフルセグ地上波デジタル放送再生を実現しています。

  • VCP1は、動画像圧縮規格H.264/MPEG-4 AVC(以下、H.264)、MPEG4、MPEG2、のフルHD動画を30fps(frame per second)で録画・再生が可能、さらに、AVSの動画再生にも対応できます。 そして、これらの処理をCPUによるソフトウェア(プログラム)処理で行なった場合よりも、低消費電力で実現可能です。
  • VPU5Fは、960×540画素、30fpsの動画(ビデオ)録画・再生に対応します。

このため、地上波デジタル放送受信時に、フルセグ放送とワンセグ放送の同時受信が可能。移動体での強電界、弱電界時のシームレスな表示切替えを実現できます。放送規格としてはISDB-Tに対応。

今後、中国のCMMBとCTTB(DTMB)、欧州のDVB-Tなど世界各国のデジタルTV放送規格に対応予定です。

(2)多彩、リアルな高性能3Dグラフィックスエンジンを搭載

新製品では、当社従来製品比で約30%性能向上した3Dグラフィックス機能を搭載、最大2000万ポリゴン/秒の性能を持つImagination Technologies Limited の「PowerVR SGX540」を採用しています。世界標準インタフェースのOpenGL ES2.0、OpenGL ES1.1、OpenVG1.1に対応し、リアルな3Dグラフィック表示、多彩なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)表示を実現できます。

(3)ARM Cortex-A9搭載によるオープンOS対応、メディアエンジンをSH-4Aでリアルタイム制御

新製品では、最大動作周波数800MHzのARM Cortex-A9とSH-4Aコアを各1個搭載し、PND向けアプリケーションプロセッサでは業界最高性能レベルとなる最大3.7GIPSを実現しています。OSとしては、Linux、Android、Windows Embedded Compact7.0、Windows Embedded Automotive7.0に対応し、組み込み機器の早期開発、豊富なエコシステムの利用が可能となります。メディアエンジン制御にはSH-4A搭載により、地上波デジタル放送などの大容量データのリアルタイム制御を可能としています。

(4)DDR3コントローラ搭載、豊富な周辺機能内蔵によりシステムコストの大幅低減が可能

新製品では、バス幅32bit、400MHz動作のDDR3(DDR800)コントローラを搭載し、高性能、安価なメモリをご利用可能です。さらに、USB2.0、Gigabit EtherMac、HDMI表示コントローラなどの豊富な周辺機能を搭載することにより、システムコストの大幅ダウンが可能となります。

 新製品は、仕様展開品として、ピン互換で3Dグラフィック機能を搭載しない「R-Mobile A1S」もラインアップ。移動体地デジ受信端末、STB、フルHD動画IPネットワークカメラなどの組み込み機器に最適です。さらに、モバイル端末向けにLPDDR2(DDR800)コントローラを搭載した、小型・低消費電力対応パッケージ品、CPU動作周波数を向上させた1GHz品(ARM Cortex-A9)もラインアップ予定です。

 今後、市場ニーズにそくした最適な製品をタイムリーに市場に投入していきます。新製品の仕様は、別紙をご参照ください。

 開発環境としては、株式会社アットマークテクノより、R-Mobile A1評価ボード「Armadillo-800 EVA」が提供される予定です。

 また、当社は本年11月16日から18日まで、パシフィコ横浜で開催される「組込み総合技術展(Embedded Technology)2011」にて、新製品の展示・実演を行います。

 新製品の主な仕様は、別紙をご参照下さい。

以 上

(注1)SH-MobileRシリーズ:当社の32ビットRISC CPU コア「SuperH」を搭載した、PND、ポータブルTV、IPカメラ等の情報端末等向けアプリケーションプロセッサ。

(注2)EMMA Mobileシリーズ:CPUにARMコアを搭載したポータブルメディアプレー等向けアプリケーションプロセッサ。

(注3)ワンセグ:日本における携帯・移動体端末向け地上デジタル放送サービス。

(注4)GUI(Graphical User Interface):情報がグラフィックスで表示され、直感的に操作することができるユーザインタフェース。

*SuperH、EMMA はルネサス エレクトロニクス株式会社の日本、米国及びその他の国における登録商標または商標です。PowerVR、SGXはImagination Technologies Limitedの登録商標または商標です。ARMはARM Limitedの登録商標です。Linuxは、Linus Torvalds氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です。アンドロイドは、Google Inc.の商標です。Microsoft、Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。OpenGLはKhronos(クロノスグループ)の許可を得たSilicon Graphics Inc.の登録商標、OpenGL ESのロゴとOpenVGは商標です。Armadilloは、株式会社アットマークテクノの登録商標または商標です。

その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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