1. Home
    2. プレスセンター
    3. 2016

車載ソフトウェアの開発環境を1人1台持てるようになる新開発の第3世代「R-Car スタータキット」、 2種類を発売

~画像認識やHMIなど高い専門性を持つプロフェッショナルなエンジニアのための新開発キット~

2016年10月19日

  • ルネサス エレクトロニクス株式会社

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、このたび、自動運転時代に向けて大規模化する車載コンピューティングシステムの開発を加速させるため、ソフトウェア開発エンジニアの一人ひとりが車載用の開発環境を手元に置けるようにするため、新たに第3世代「R-Car スタータキット」 を開発しました。画像認識やHMI(Human Machine Interface)など、ソフトウェア開発に高い専門性を持ち、オープンなソフトウェアを積極的に活用するエンジニアを”プロフェッショナル・コミュニティ”と称し、ターゲットとして開発しました。ユーザが専門性の高い高度なソフトウェア開発に専念できるよう、土台となる車載Linux環境を容易に構築できるとともに、高いコンピュータ性能と拡張性を併せ持つため幅広いコンピューティング用途で利用可能です。さらに今回は、1人1台ずつ、手軽に使っていただけるよう、価格や入手性にも優れています。ルネサスは、この新製品「R-Carスタータキット」を2種類、製品化し、本年11月より順次発売します。

 

 この発売にあたっては、搭載するSoCとして新たに、シンプルで高性能な車載コンピューティングシステムに適用できる、第3世代R-Carの第2弾SoC(System On Chip:システムLSI)「R-Car M3」を製品化し、本日よりサンプル出荷を開始します。「R-Car M3」はすでに出荷をしているハイエンドの「R-Car H3」とソフト互換性を維持しつつ、グローバルに普及しているミディアムクラスのクルマに向けた車載コンピューティングに最適な性能・機能を1チップに集積したSoCです。

 R-Carスタータキットの2種類とは、この「R-Car M3」を搭載したモデル「R-Carスタータキット Pro」と、ハイエンドSoC「R-Car H3」を搭載したモデル「R-Carスタータキット Premier」になります。価格はそれぞれ、約50,000円、約80,000円(それぞれ税別、参考価格)で、ルネサス海外販社、特約店ほか、各種オンラインショップからも購入可能です。

 昨今、自動運転車開発の加速や、クルマを魅力的に差異化する新しい機能を開発するため、車載情報システムにけるソフトウェア開発はますます大規模・複雑化しています。車載ソフトウェア開発への新規参入も増加している一方で、優秀で専門性の高いエンジニアの確保や、車載特有の開発環境の整備が急務となっています。そこでルネサスは、Automotive Grade Linux (AGL) GENIVI®(注1)といったオープンソースコミュニティ(注2)において標準化が進む車載Linuxプラットフォームや、車載システムに最適化されたQNX®などの開発環境を容易に構築でき、高い拡張性を持つため幅広い用途に使用可能な、車載ソフトウェア開発用の「R-Carスタータキット」を開発しました。車載として高いコンピューティング性能を有するハードウェアを使用して、最先端のオープンソースソフトウェアを活用できるため、”プロフェッショナル・コミュニティ”のエンジニアは、同スタータキットを1人1台手元に置くことで、高度で専門性の高いソフトウェア開発に専念でき、新しい車載コンピューティングシステムを早期に実現可能です。

 

新製品に対するパートナ各社のコメント

Automotive Grade Linux(AGL)Project 責任者のDan Cauchy氏は、次のように述べています。「オープンソースコミュニティ活動を積極的に支援しているルネサスは、AGLについても約4年前の発足以来ずっと強力に活動をサポートしてきました。ルネサスの AGLのコミュニティ活動に対するコミットメントと AGL Unified Code Base 開発に対する継続的な貢献が、伝統的な自動車産業界のサプライチェ-ンモデルの変革をもたらすと期待しています。」

 

GENIVI Alliance責任者のSteve Crumb氏は、次のように述べています。「ルネサスは自動車業界に対するLinuxなどのオープンソースソフトウェアの適用拡大を目指すGENIVIの活動を一貫して支援してきました。GENIVI開発プラットフォーム(GDP)に準拠したこのスタータキットは、先進コネクテッド環境に完全に適合した車両を実現するためのソフトウェアのイノベーションと普及を促進する開発者の活動に役立つものと期待しています。」

 

QNXソフトウエアシステムズの製品マネジメントシニアディレクター、Grant Courville氏は次のように述べています。「自動車メーカーとTier1サプライヤはQNXとルネサスの技術を用いて過去10年以上、最先端の車載情報端末を開発してきました。新しいR-Car SoCとQNXのISO26262に対応したOSとツール群によって、次世代の自動運転に向けて、さらに高度に統合されたスケーラブルで安全性の高いADASシステムを構築することが可能になると考えています。」

 

 新「R-Car スタータキット」の主な特長は以下の通りです。

 

(1)”プロフェッショナル・コミュニティ”に向けて、オープンな車載Linux環境を容易に実現可能

ルネサスは、AGLやGENIVIなどの活動を積極的に推進し、車載オープンソースソフトウェアの標準化と普及を推進しています。両団体の標準開発環境にも選ばれており、オープンソースコミュニティから多くの支持を得ています。新製品のR-Carスタータキットは、こうした実績に基づく車載Linux環境を、新規に参入したエンジニアでも容易に実現できるよう設計されており、低価格のため1人1台の入手も可能です。

また、Wayland、OpenCLといった先進的なHMIソフトウェアや、コグニティブ・コンピューティング(注3)を支援する強力なコンピューティング・ライブラリを提供し、さらには車載で実績のあるQNX®のリアルタイムOSなどをサポートするため、オープンで専門性の高いプロフェッショナル・コミュニティに向けた車載ソフトウェアの開発プラットフォームとして有用です。

 

(2)高い拡張性を有するため、幅広い車載コンピューティング用途に使用可能

R-Car スタータキットは、車載コンピューティング開発に必要な周辺インタフェースを実装。さらにR-Carのすべての周辺端子を使用できる440ピンの拡張ポートを用意しています。この拡張コネクタにより、ニーズや用途に合わせた周辺機能を持つ拡張ボードを準備することで、R-Car スタータキットはシンプルな最先端のコンピュータービジョン開発環境から、統合コクピットのような大規模システムのプロトタイピングまで、幅広いコンピューティング用途で利用可能です。さらに複数のR-Car スタータキットを組み合わせることでより大規模なコンピューティング環境を実現することも可能です。これにより、ハードウェア開発における開発期間の短縮や、ソフトウェアの高い移植性・再利用性を実現します。

 

(3)入手性に優れ、いつでも、どこでも、すぐにスタート可能

ルネサス販社、特約店のほか、AVNET社、マルツエレック社より購入可能で、入手性に優れています。さらに、車載ソフトウェア開発の大規模化、グローバル化に対応するため、数百台規模の一括納入にも対応します。これにより、車載ソフトウェア開発の新規参入を容易にし、いつでも、どこでも、すぐに車載ソフトウェア開発をスタートできます。

 

(4)ミディアムクラスの車載コンピューティングシステムに最適な新SoC「R-Car M3」を新たに発売

グローバルに普及しているミディアムクラスの自動車では、さまざまな形で車載コンピュータが搭載されており、それらを組み合わせることで地域や自動車のグレードに最適なシステムを構築しています。そのため、「R-Car スタータキット Pro」に搭載したSoC「R-Car M3」は、さまざまな用途に幅広く活用できるように機能・性能の最適化を行いました。これにより、ユーザはいろいろなニーズに合わせ、幅広い車載コンピューティング機器に「R-Car M3」を活用することが可能です。さらに、すでに出荷しているハイエンドの「R-Car H3」とソフトウェアの互換性があるため、「R-Car スタータキット Pro」と「R-Car スタータキット Premier」は、ソフトウェアを流用することができます。

なお、「R-Car M3」は、単体チップのほか、DDRメモリを既に実装したSiPモジュールも用意しています。SoCとDDRメモリの接続スピードの高速化、また接続信号数の増加に伴い、接続に関する設計難易度が高まっているため、SiPモジュールの提供により、ユーザの設計工数の負担を軽減します。

 

 ルネサスは、本新製品を通して、プロフェッショナル・コミュニティのグローバルでスピーディーなソフト開発をサポートします。さらにルネサスは、R-Carコンソーシアムにご加入いただいている180社以上のパートナ企業と連携し、車載情報システムや、安全運転支援システムのソリューションをタイムリーに提供します。

 

新製品「R-Carスタータキット」の仕様は、 別紙1(124KB)をご参照ください。

新製品「R-Car M3」の仕様は、 別紙2(101KB)をご参照ください。

以 上

 

  • (注1) 

    Automotive Grade Linux(AGL)やGENIVIとは、オープンソースのLinuxベース車載情報システムソフトウェアを開発、推進する団体。

  • (注2) 

    オープンソースコミュニティとは、無償でソースコードが公開されているオープンソースソフトウェアの開発や改善、情報交換などの活動を行っている非営利目的の団体。

  • (注3) 

    コグニティブ・コンピューティングとは、車載カメラなど各種センサから入力される大量の情報を、リアルタイムかつ正確に処理を行うコンピューティング。


  • *  

    GENIVI is a registered trademark of the GENIVI Alliance in the USA and other countries.

  • *  

    QNXおよびBlackBerryは、BlackBerry Limitedの商標であり、特定の地域で登録および/または使用され、また、QNX Software Systems Limitedの許諾のもと使用されます。

  • *  

    ARM、Cortexは、ARM Limitedの登録商標または商標です。

  • *  

    PowerVRは、Imagination Technologies Limitedの登録商標または商標です。

  • *  

    HyperFlashはサイプレス セミコンダクタ社の商標です。

  • *  

    本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する登録証用または商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

Contact