デジタル回路入門を3回にわたって連載します。

初回は、デジタルとは何か?からデジタル回路の基本設計について解説します。

「アナログ」、「デジタル」とは

自然界にある音や温度、光などの情報は連続的な値で変化します。この連続した値を「アナログ」と呼びます。

一方、コンピュータの世界では、情報は飛び飛びの離散的な値で扱います。この離散した値を「デジタル」と呼びます。

例えて言うと、アナログとデジタルは実数と整数のような関係にあります。直線上のどのような点も表現できる実数はアナログ、特定の点しか取れない整数をデジタルとイメージしてください。

また、連続的な情報であるアナログ信号を取り扱う回路を「アナログ回路」と呼び、離散的な情報であるデジタル信号を取り扱う回路を「デジタル回路」と呼びます。

図1:アナログとデジタルの違い

図1 アナログとデジタルの違い

自然界のアナログ情報をコンピュータなどのデジタル回路に入力するためには、情報をデジタル化(アナログ信号→デジタル信号)する必要があります。

「アナログ信号→デジタル信号」の変換を行うのがA/Dコンバータです。A/Dコンバータは入力信号から時間と値を規則的に切り取り(サンプリング)、「0」と「1」によって表現される数値(2進数)に置き換えます。

連続する値(アナログ信号)を離散した値(デジタル信号)に変換するため、アナログ信号に対して「切り捨て」や「切り上げ」を行います。そのため、情報の欠落による誤差が発生します。誤差を小さくするためには、変換の間隔を短くすることや変換の際の桁数を増やす必要があります。

それでは、「アナログ信号をデジタル化」するメリットはなんでしょう。その理由は、デジタル信号は雑音に強いので壊れにくく、コンピュータによる処理が容易なことにあります。

今日、マイクロコンピュータの高性能化により、高速で大量のデジタル情報の処理が可能になりました。そのため、信号の伝送や再生において品質が劣化しない、デジタルの特長を生かしたデジタル回路が活躍しています。

デジタル回路とは

デジタル回路は論理演算を行い、論理回路とも呼ばれます。

論理回路の基本要素はAND回路とOR回路、NOT回路の3種類だけで、その組み合わせで様々な機能の回路が作成できます。

論理回路は、論理式や回路記号(ここではMIL記号を用います。他にもJIS記号などがあります。)を用いて表します。また、論理回路が入力信号に対してどのように応答するかを表したものを真理値表と呼びます。

 

それでは、3種類の基本論理回路について説明しましょう。

直列回路、AND回路

AND回路は、論理積とも呼ばれ1つの入力が1であり、かつ、もうひとつの入力も1である時のみ出力が1である回路です。

◇論理式

「・」で表されます (例)Y=A・B

 

◇回路記号

回路記号

◇真理値表

A B Y
0 0 0
0 1 0
1 0 0
1 1 1

AND回路の動作を詳しく見てみましょう。スイッチとLEDでAND回路を表現すると下の図2のような直列回路になります。

  • スイッチA(SW A)の「オン」と「オフ」が入力Aの「1」と「0」を表す
  • スイッチB(SW B)の「オン」と「オフ」が入力Bの「1」と「0」を表す
  • LED Yの点灯と消灯が出力Yの「1」と「0」を表す

図2:AND回路の動作

図2 AND回路の動作

このAND回路は以下のように動作します。

  • スイッチAとスイッチBの両方が「オン」の時はLED Yが点灯する
  • スイッチAかBの片方が「オン」で、もう片方が「オフ」の時は、LED Yは点灯しない
  • スイッチAとスイッチBの両方が「オフ」の時はLED Yが点灯しない

基本論理回路はゲートとも呼ばれ、一方の入力によって出力を固定したり(ゲートを閉じる)、反映したり(ゲートを開く)することが可能です。
AND回路のゲート動作を図2の回路図を用いて説明します。

  • AかBのスイッチのどちらかを「オフ」に固定すると、LEDは消灯したまま、つまり、出力が「オフ」に固定される(ゲートを閉じる)
  • 逆にAかBのスイッチのどちらかを「オン」に固定すると、固定していないもう一方の入力がそのまま出力に反映される(ゲートを開く)

並列回路、OR回路

OR回路は、論理和とも呼ばれいずれかの入力が1もしくは、いずれもが1である時、出力が1である回路です。

◇論理式

「+」で表されます(例)Y=A+B

 

◇回路記号

回路記号

◇真理値表

A B Y
0 0 0
0 1 1
1 0 1
1 1 1

OR回路の動作をスイッチとLEDで表現すると、下の図3のような並列回路になります。

  • 並列回路であるため、スイッチA(SW A)とスイッチB(SW B)のどちらか一方、または、両方が「オン」であればLED Yが点灯する

OR回路のゲート機能は、AND回路とは逆に動作します。

  • AかBのスイッチのどちらかを「オン」に固定すると、LEDは点灯したまま、つまり、出力が「オン」に固定される(ゲートを閉じる)
  • 逆にAかBのスイッチのどちらかを「オフ」に固定すると、固定していないもう一方の入力がそのまま出力に反映される(ゲートを開く)

図3:OR回路の動作t

図3 OR回路の動作

反転出力のNOT回路

NOT回路は、インバータや反転回路ともよばれ、入力の逆が出力される機能を備えます。入力が1である場合0が出力され、0が入力されると1が出力される回路です。

◇論理式

「 ¯ 」で表されます (例)Y=A

◇回路記号

The NOT Circuit, An Inverter Circuit

◇真理値表

A Y
0 1
1 0

次回はデジタルICについて学びます。ご期待ください。

デジタル回路入門

  1. デジタルとは、基本論理回路
  2. デジタルICの基礎、組み合わせ回路
  3. 順序回路