電池不要のエナジーハーベストを実現するSOTB™プロセスに混載可能なフラッシュメモリの、低消費電力化技術を開発

~マイコン内蔵フラッシュメモリとして動作周波数64MHzで世界最少クラス0.22pJ/bitのメモリ読み出しエネルギーを達成~

2019年06月12日

ルネサス エレクトロニクス株式会社

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、このたび、65nmSOTB™(Silicon On Thin Buried Oxide)プロセスに混載可能なフラッシュメモリの低消費電力化技術を開発しました。本フラッシュメモリは、(1)世界初の、SOTBプロセスに混載可能な2トランジスタ構造の2T-MONOS(2 Transistors-Metal Oxide Nitride Oxide Silicon)注1フラッシュメモリ(メモリ容量1.5MB)です。メモリセル周辺回路の低電力化を実現する新たな回路技術を適用し、マイコン内蔵フラッシュメモリとして、64MHzの動作周波数で世界最少クラスの0.22pJ/bit(ピコジュール/ビット、ピコは1兆分の1)のメモリ読み出しエネルギーを達成しました。周辺回路の低電力化技術では、(2)低消費エネルギーでメモリデータセンス動作を実現する回路技術と、(3)読み出したデータを外部に転送する際に発生する、転送エネルギーを削減する回路技術を新たに開発し、メモリデータ読み出し時の消費エネルギーを大幅に削減しました。

 ルネサスは今回の成果を、2019年6月9日から14日まで京都で開催されている「2019 VLSI技術/回路シンポジウム(2019 Symposia on VLSI Technology and Circuits)」にて、6月12日に発表しました。

 本技術はすでに、SOTBプロセス技術を適用した、当社のエナジーハーベスト(環境発電)専用の組み込みコントローラ「R7F0E」に採用されています。ルネサス独自のSOTBプロセス技術は、従来トレードオフの関係にあった、アクティブ時の消費電力とスタンバイ時の消費電力の両方を極限まで削減できる技術です。今回の新技術により、フラッシュメモリにおけるメモリデータ読み出し時の消費電力を大幅に削減することが可能になったため、SOTBではない2T-MONOSフラッシュメモリの場合50μA/MHz程度必要なメモリ読み出し電流が、わずか6μA/MHz程度まで大幅に改善しました。これは、マイコン内蔵フラッシュメモリとして、世界最小クラスとなる0.22pJ/bitの読出しエネルギーに相当し、「R7F0E」が業界トップクラスの低アクティブ電流20μA/MHzを実現することに大きく貢献しています。

 このたび開発したフラッシュメモリ技術の特長は以下の通りです。

 

(1)SOTBプロセス技術に最適な、低消費電力を実現する「2T-MONOSフラッシュメモリ」

 SOTBプロセスに混載した2T-MONOSフラッシュメモリは、電気的な分離素子を備えた2トランジスタ構造です。そのため、1トランジスタ構造には必要であった読み出し時の負電圧は不要のため、読出し動作の低消費電力化が可能です。さらにMONOSは、他のメモリプロセスに比べて製造プロセスマスクが少なく、かつ、離散的にデータ記憶が可能なため、製造コストを掛けずに、低消費で信頼性の高い書換え動作を実現することができます。

 

(2)超低消費エネルギーでセンス動作を可能にする、センスアンプ回路とレギュレータ回路技術

 読み出し動作の主なエネルギー消費は、メモリデータを判定するセンス動作時と、判定したデータを外部に出力する転送動作時に生じます。前者に関し、今回、センス動作時のビット線プリチャージエネルギーを大幅に削減するシングルエンド型センスアンプに、プリチャージ速度とエネルギー効率の改善を可能とする新たな電荷転送方式技術を適用しました。さらに、定常的にエネルギーを消費するセンスアンプ用のリファレンス電圧についても、リークモニタ方式による最適な間欠制御を実現する新たなレギュレータ回路技術を開発しました。これらの技術により、センス動作の高速化と消費エネルギーの大幅削減を同時に実現しました。

 

(3)データ転送エネルギーを極限まで削減する、回路技術

 今回、トランジスタ閾値(Vth)のばらつきが小さいというSOTBプロセス技術の特長を生かし、非常に小さな電圧振幅でデータ転送を実現する回路技術を開発しました。この技術により、読み出したデータを外部に転送する際に発生する転送エネルギーを大幅に削減しました。

 

 ルネサスは、エンドポイントをインテリジェント化することにより、スマート社会の実現を加速させています。電池が不要で、電池交換の必要が無いエナジーハーベストシステムは必須の技術であると考えており、今後も、さらなる技術開発により、環境に配慮したスマート社会を実現します。

以 上

 

(注1)MONOSは、Metal Oxide Nitride Oxide Siliconの略。ルネサスでは、EEPROM製品・セキュアマイコン等に20年以上の量産実績を有し、MONOS技術をマイコン内蔵用のフラッシュメモリに適用している。

 

*SOTBは、ルネサスエレクトロニクス株式会社の商標または登録商標です。本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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