スマート家電、サービスロボット、産業機器などに向けて、 画像を使ったe-AIを高速に実現するマイクロプロセッサ「RZ/A2M」を発売

~ルネサス独自のDRP技術により、画像のリアルタイム処理を低消費電力で実現~

2018年10月04日

ルネサス エレクトロニクス株式会社

 

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、エンドポイントのインテリジェント化に向けて、組み込みシステムへのAI導入を実現する「e-AIソリューション」の拡充を進めています。すでに世界十数カ国で約150社のユーザが導入に向けてツール等を試用しており、e-AIの具体的な事例も30を超えています。このたび、e-AIソリューションをハイエンドに拡張するためのキーデバイスとして、画像処理性能を従来のマイクロプロセッサ(MPU:Micro Processing Unit)RZ/A1に比べて10倍(注1)に向上させた「RZ/A2M」を開発し、本日よりサンプル出荷を開始します。新製品は、ルネサス独自のDRP(Dynamically Reconfigurable Processor)(注2)を搭載したことにより、画像のリアルタイム処理を低消費電力で実現します。これにより、スマート家電、サービスロボット、小型産業機器などの組み込み機器に、カメラを使った画像認識やAI機能を低消費電力で搭載することができ、エンドポイントのインテリジェント化をさらに加速します。

 現在、OT(Operational Technology)領域でのAI活用は、センサを付けても情報量が多く通信によるクラウドへのアップロードが困難であったり、クラウドでのAI判定を待っていたのでは遅いという課題があります。ルネサスは、これらの課題を解決するe-AIソリューションとして、モータや機器の振動波形を細かく計測することで、従来見えなかった異常をリアルタイムに検知するAIユニットソリューションなどを提供しています。今回、OT領域でのAI活用をさらに拡大するため、波形などの計測よりもさらに情報量が多く、より高い処理性能が必要となる、画像によるAI機能が可能な「RZ/A2M」を開発しました。画像のリアルタイム処理を低消費電力で実現可能なため、カメラによるリアルタイムな画像認識や、指紋や虹彩といった生体認証、ハンディバーコードスキャナでの高速スキャニングなどをバッテリー駆動で実現し、クラウド活用では困難なリアルタイム性、プライバシ、セキュリティの課題を解決します。

 ルネサスエレクトロニクスの執行役員常務 兼 インダストリアルソリューション事業本部長である横田善和は次のように語っています。「組み込みAIの活用による、利便性や安全性、生産効率の向上効果は計り知れません。ルネサスも、自社工場でe-AIを活用した生産効率の改善に成功しており、エンドポイントでのAIの有用性を証明しました。今後、e-AIの応用を、色や形、波形などの単純なものから高精細なリアルタイム画像処理まで広げ、誰でもすぐに使えるe-AIソリューションの拡充を目指し、エンドポイントのインテリジェンス化をリードします。」

 

新製品「RZ/A2M」の主な特長について

RZ/A2Mは、大容量RAMの搭載により外付けDRAMを不要にするRZ/Aシリーズの新ラインアップです。RZ/AシリーズはHMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)機能に適した特長を有しており、RZ/A2Mはさらに、カメラを使ったアプリケーションに最適となるよう開発しました。モバイル機器で広く使われているMIPIカメラインタフェースに対応すると共に、その入力画像を高速に処理するDRPを搭載しました。さらに、イーサネットを2チャンネルサポートしネットワーク機能を強化、暗号ハードウェアアクセラレータも搭載してセキュア機能も強化しました。これにより、安心、安全にネットワーク接続が可能になり、家電から産業機器まで幅広いシステムの画像認識機能に最適です。

 

 RZ/A2Mが有するHMI機能や画像処理性能をすぐに試用できるよう、開発ボードや各種リファレンスソフトウェア、DRP用画像処理ライブラリもあわせて提供します。量産は、2019年第一四半期より開始し、2021年には合計で月産40万個を計画しております。

 ルネサスは、今後もDRP技術によるe-AIソリューションを進化させる計画です。2019年後半には、このDRPをAIアクセラレータに使用することで、ソフトウェアによるAI実行に対して100倍以上の性能に引き上げ、組み込みAIによるリアルタイムの推論実行を実現します。2021年には従来のMPUに対して1000倍となる新世代のAIアクセラレータを提供し、推論実行だけでなくエンドポイントでの学習も視野に入れ、AIによる組み込み機器の付加価値向上に寄与します。

 

以 上

 

(注1)例として、画像のエッジ検出を行うアルゴリズム「Canny Edge Detection」の場合、「RZ/A2M」のCPUによるソフトウェア処理では1フレームあたり142ミリ秒必要なのに対して、「RZ/A2M」に搭載したDRPを使ったハードウェア処理では10ミリ秒と、10倍以上の性能を発揮する事を確認しています。

(注2)DRP(Dynamically Reconfigurable Processor)とは
DRPは、1クロックごとに演算回路の構成を動的に変更することができるハードウェアIP(Intellectual Property)です。すでに放送用機器やデジタルカメラなどで10年以上の量産実績があり、ハードウェアの性能とソフトウェアの柔軟性を兼ね備えるルネサス独自の技術として様々な機器に付加価値を提供しています。今後はこのDRPを組み込みAI向けに拡張することにより、高い電力性能の実現だけでなく、進化を続けるニューラルネットワークに追従していくフレキシビリティを提供していきます。

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