メインコンテンツに移動

業界最高性能を実現した、次世代ハイエンド車載情報端末向けSoC「R-Car H1」を発売

~5つのCPUと2つのPowerVR高性能グラフィックスコア、2つの画像認識コア等を1チップ化し、高級車の快適性、安全支援に貢献~

2011年10月18日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)とその子会社、ルネサス モバイル株式会社(代表取締役社長:川崎 郁也)は、このたび、次世代のハイエンド車載情報端末向けSoC(System on Chip:システムLSI)として、5つのCPUと2つのPowerVR高性能グラフィックスコア、2つの画像認識コア等を1チップ化した「R-Car H1」を製品化し、2011年11月よりサンプル出荷を開始します。

 「R-Car H1」は、(1)カーナビゲーション等の車載情報端末向けSoCでは業界最高のCPU性能である約12GIPS(Giga Instructions Per Second) (注1)を実現。当社従来品の約6倍の処理性能であり、様々なアプリケーションの同時制御やネットワークを通じて取得した大容量データ処理等をパワフルに実現します。そして、(2)同約8倍となる83M(メガ)ポリゴン/秒のグラフィックス処理により、リアルな3D画像で操作性に富んだナビゲーションが可能なうえ、フルハイビジョン画質 1920×1080/60プログレッシブ(以下1080/60p)のコンテンツに対応した動画再生(デコード)などのマルチメディア機能も充実、加えて(3)同約4倍の画像認識処理性能によるトップビューや標識認識等の運転者支援をも実現しており、高級車に要求される、ドライビングの快適性、安全支援に貢献します。
 新製品のサンプル価格は未定、量産は2012年12月から開始し、2013年12月には月産10万個を計画しております。

背景

 ハイエンドの次世代車載情報端末には、ネットワークより取得した大容量データ処理や機能アップグレードへの対応、よりリアルな画像のナビゲーション、および車載に特化した操作性(ユーザインタフェース)の向上や映画館のような臨場感を演出する高品質のビデオ、オーディオ処理機能が求められています。そして、車載組込み機器としての高速起動性能、車内の高級感と調和する液晶ディスプレイのより質感あるデザイン表示といったニーズに加え、より一層の安全確立を目指し、後方のみならず車の周辺の状況を液晶ディスプレイに表示するトップビューなど、高性能なドライバー視界支援への対応が要求されます。

 ルネサスでは、ハイエンド車載情報端末向けにデュアルCPUコアで画像認識処理機能を内蔵したSoCを量産中ですが、上記ニーズに対応するため、大幅な性能向上を図った「R-Car H1」を今回製品化したものです。

 なお、「R-Car H1」は、当社の組込み型車載情報端末向け統合SoC「R-Car」シリーズ(注2)のハイエンド向け製品であり、サンプル出荷中のミッドレンジ向け及びエントリ向け製品とのソフトウェア互換性を有しているため、カーナビゲーション等の車載情報端末の製品展開を容易化できます。

特長

 新製品の主な特長は以下の通りです。

(1)車載情報端末向けSoCで業界最高性能を実現し、ハイエンド機のあらゆるニーズに対応

「R-Car H1」は、汎用OS対応の高性能CPU「ARM Cortex-A9 」(1GHz動作)を4つ、 当社オリジナルの高信頼性リアルタイム処理CPU「SH‐4A」(800MHz動作) を1つ搭載し、車載情報端末向けSoCでは業界最高性能の約12GIPS(当社従来品の約6倍)を実現しています。このため、様々なアプリケーションの同時制御や、高速起動、ネットワークを通じた情報取得などの大容量データ処理等、あらゆるニーズに対応可能です。

(2)当社従来品比約8倍のグラフィックス処理性能により質感あるデザインに貢献

3DグラフィックスコアとしてImagination Technologies Limitedのデュアルコア(2コア)搭載 「PowerVR SGX543MP2」を採用し、40Gflops(実効)、当社従来品に比べ約8倍となる83Mポリゴン/秒のグラフィックス処理を実現。これにより、実写のようなリアルな3D画像でのナビゲーションや、直感的な操作が可能なGUI(Graphical User Interface)(注3)での操作画面が可能となり、車載ディスプレイ画面を高級車の持つ独特の質感にマッチした高解像度、高品位な次世代のデザインへと進化させることができます。

さらに、車載情報端末向けSoCでは業界で初めて1080/60pのフルハイビジョン画質コンテンツに対応したビデオ再生(デコード)処理を実現するエンジン(VDP1)の搭載や、IP変換、ガンマ補正などの画質補正機能に対応したイメージエンハンサ(VSP1)を搭載。そして、迫力あるサウンドを実現する7.1チャンネルのオーティオ再生が可能なサウンドルーティングユニット(SRU)との組み合わせにより、車室内の後部座席では、さながら映画館のような臨場感を実現可能です。

(3)トップビューを1チップで実現するなど、運転者支援用にデュアルコアの画像認識エンジンを搭載

画像認識エンジンとして、当社従来品から性能を向上させ、さらにコアを2つに強化して約4倍の処理性能を実現したIMP-X3を搭載しました。これにより、従来からの標識認識、追い越し検知に加え、カメラで写した映像に追加情報を加えるといったAR(Augmented Reality:拡張現実)などの対応が可能となるうえ、車載情報端末向けSoCとしては業界で初めて、運転をサポートするこれらの機能を複数同時に実現することが可能になりました。
加えて、「R-Car H1」は、カメラ入力インタフェースを4本チャネルに拡張しており、車の周囲を1画面上に合成して表示するトップビュー機能を1チップで実現可能です。

 この他、マルチCPU構成の効果を充分に引き出せるよう、CPUと各機能およびメモリとの情報伝達を行なう内部バスの高速化や高速DDRメモリインタフェースを2本に増加する等の強化も行なっており、これらにより、例えば、カーナビゲーションと画像認識、音声操作、および後部リアモニターでのビデオなどのマルチメディアコンテンツ再生、といった複数同時に行われるリアルタイム処理を迅速かつ的確に実現できます。

 なお「R-Car H1」は、モバイル、カーマルチメディア、ホームマルチメディア用SoC向けのルネサス新統合SoCプラットフォーム上で、アーキテクチャ、IP、ソフトウェアの共通化を図っております。これにより、モバイルやホームマルチメディア向けに開発されたさまざまなソフトウェアの流用を可能とします。また、「R-Car」シリーズとして、サンプル出荷中のミッドレンジおよびエントリ向けの「R-Car M1」、「R-Car E1」とのソフトウェアのスケーラビリティ(拡張性)を確保しており、車載情報端末におけるミドルレンジ/ローエンド機器への開発・展開を容易にしています。

 今後も「R-Car」シリーズでは、本製品に続き、第2世代品をリリース予定です。市場ニーズに即し最適化した製品をタイムリーに市場投入していきます。

 新製品の仕様は、別紙をご参照下さい。

以 上

(注1)GIPS (Giga Instructions Per Second)は、コンピュータの演算性能を表す指標。
1GIPSは1秒間に10億回の命令処理を実行する。

(注2)「R-Car」は、組込み型カーナビゲーション等の車載情報端末向けSoCとしてこれまで多くの採用実績がある「SH-Navi シリーズ」や「EMMA CARシリーズ」を統合したSoC。

(注3)GUI(Graphical User Interface)は、情報がグラフィックスで表示され、直感的に操作することができるユーザインタフェース。

* PowerVR、SGXはImagination Technologies Limitedの登録商標または商標です。

ARM、Cortex、NEONはARM Limitedの登録商標または商標です。

SuperH、EMMA はルネサス エレクトロニクス株式会社の日本、米国及びその他の国における登録商標または商標です。

その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

この記事をシェアする