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Toru Oishi
大石 徹
主幹技師
掲載: 2021年12月24日

概要

私たちが開発しているAUTOSAR MCALソフトウェアは、高度化・複雑化するE/Eアーキテクチャを構成する各部品の中で動作し、自動車の制御と通信の基盤を担っています。そして、「自動車に求められる、走る・曲がる・止まる・つながるの実現」と、それによる「安全かつ便利な社会の実現」に貢献しています。

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背景

MCAL (Micro Controller Abstraction Layer) は、マイコン/SoC内蔵の周辺機能や、メモリにマッピングされた外部デバイスへ直接アクセスし制御するためのソフトウェア・モジュールです。代表的なものとしては、たとえば、クロック、タイマー、ポートの設定を行うモジュールや、EthernetやCANによるデータ通信を制御するモジュールがあります。

MCALのAPIは、自動車関連業界の世界的なパートナーシップであるAUTOSAR (AUTomotive Open System Architecture) により標準化されており、上位のソフトウェア・レイヤがマイコン/SoCに依存しないようにしています。つまり、お客様はAUTOSAR MCALを利用することで、MCALよりも上位のソフトウェアの流用が可能となります。

ルネサスは2004年からAUTOSARパートナーシップのプレミアムメンバーとして標準化活動に貢献するだけでなく、ルネサスの代表的な車載マイコン/SoCであるRH850やR-Car上で動作するMCALソフトウェアの開発と提供を行っています。特にRH850とそのMCALソフトウェアは、世界中の多くのお客様に長年ご利用いただいております。

具体例

ルネサスはグローバルな半導体メーカーであるので、わたしたちMCALソフトウェア開発者は日本だけでなく、ベトナム、インド、欧州のメンバとチームを作り、ハードウェア開発者とも協力しながら、自社の車載マイコン/SoCのために最適化されたソフトウェアを開発しています。また、AUTOSAR MCALのエキスパートとして、お客様の問題解決のためのサポートやソリューション提案も行っています。さらに、MCALソフトウェア開発者の視点で、新しい車載マイコン/SoCのコンセプトや仕様のレビュー、改善フィードバックも行っています。近年は Virtual Platform を活用することで、マイコン/SoCが実際に出来上がる前からMCALソフトウェアの開発を進め、お客様への早期提供を始めています。今後も新たな市場ニーズの分析やAUTOSAR規格アップデートへの対応に取り組んでいきます。

まとめ

私たちが開発しているAUTOSAR MCALソフトウェアが「自動車に求められる、走る・曲がる・止まる・つながるの実現」と「安全かつ便利な社会の実現」を支えていることに誇りとやりがいを持ちながら、これからもより良い品質や性能を持ったAUTOSAR MCALソフトウェアの提供を続けていきます。

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