
サプライチェーン
基本方針
ルネサスは、各国の法令を遵守し、公正な取引関係のもとで、グローバルな市場から必要な資材・サービス等を、適切な品質・価格・納期で調達活動を実施することを基本方針として定めています。また、環境や人権、労働をはじめとする社会的課題に対し、持続可能で倫理的なサプライチェーンの強化に取り組むことで、お客様、取引先、および当社の企業価値の向上に努めます。
調達方針はこちらをご覧ください。
推進体制
ルネサスは、グループ全体で持続可能な調達活動を推進すべく、グローバルな組織体として調達統括部を設置し、事業部門、生産部門と連携のうえ、最適な調達活動に取り組んでいます。グローバル全体で持続可能な調達を推進しています。
サプライチェーンにおける中期目標
ルネサスでは、持続可能なサプライチェーンの実現に向け、中期目標及び毎年のKPIを設定し、活動を進めています。
中期目標(2021年 - 2024年)
- すべての重要取引先におけるリスク評価*Medium以下を達成する
- RMI認証プロセスで認証された精錬事業者のみからの鉱物調達を実現する
*RBA-SAQによるリスク評価
2022年度KPI
活動項目 | 目標値 | |
---|---|---|
1 | 重要取引先からのルネサスサプライヤー行動規範への同意 | 100% |
2 | 重要取引先からのRBA SAQの回答入手 | 100% |
3 | RMI手順にのっとった紛争鉱物調査の実施 | 100% |
調達部員の研修の実施
ルネサスでは、企業倫理推進の一環として調達部門研修において「ルネサスエレクトロニクスグループ行動規範」をはじめ、各種コンプライアンス教育を、新入社員、転入者を含む全調達部員に対し実施するとともに、環境などCSR課題の最新動向については、定期的な教育を実施することで、企業倫理の浸透、情報共有を行っています。
持続可能な調達の推進 - 公正・公平な取引実現
ルネサスは持続可能な調達活動を通じ、お客様に高品質な商品・サービスをお届けするため、安心・安全はもとより環境や社会にも配慮するなど、サプライチェーン全体においてサステナビリティを推進していくことが重要だと考えています。そこで、ルネサスのサプライチェーンを構成する取引先に遵守いただく具体的な行動を規定した「サプライチェーン向けCSR推進ガイドブック」(日本語版/英語版)を2013年に作成し、国内外の一次サプライヤーの取引先約1,200社に配布しました。
本ガイドブックは、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が制定した「サプライチェーン CSR 推進ガイドブック」に準拠しており、ルネサスサプライチェーンに関わる、二次以降のサプライヤーを含む全取引先にルネサスの持続可能な調達についての考え方や倫理的価値観を示し、共通の視点に立って活動を推進していただくことをお願いしています。
2021年には、RBA加盟に伴い「サプライチェーンCSR推進ガイドブック」の内容を見直し、「ルネサスサプライヤー行動規範」として改定、日本語版、英語版に加え、中国語版を作成し、サプライチェーン全体におけるサステナビリティを推進しています。
ルネサスサプライヤー行動規範で示した取り組みに対し、多くの取引先からの同意、賛同をいただいています。当社の重要取引先(64社)全社から同意をいただきました。
取引先数 | 同意取取引先数* | 同意率 | |
---|---|---|---|
日本 | 973 | 928 | 95% |
北米 | 16 | 16 | 100% |
欧州 | 13 | 12 | 92% |
中国 | 11 | 10 | 91% |
アジアパシフィック | 34 | 34 | 100% |
合計 | 1,047 | 1,000 | 96% |
*ルネサスサプライヤ―行動規範内容に取り組むことへの同意、もしくは取引先が策定する自社の行動規範がルネサスサプライヤー行動規範の内容と同水準または同水準以上であることを確認できた取引先
ルネサスサプライヤー行動規範にて取り組みをお願いしている項目
労働 |
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安全衛生 |
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環境 |
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倫理 |
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管理システム |
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ルネサスサプライヤー行動規範はこちらをご覧ください。
サプライチェーンにおけるリスク把握
ルネサスグループでは、(1)取引金額、(2)調達品の代替可能性、(3)調達品種の特性に基づき選定した重要取引先に対して、自己診断アンケート*を使用した、自主チェック、自主改善を依頼しています。また、新たに資材取引を開始する場合には、新規取引先に対して、ルネサスサプライヤー行動規範に示された項目への取り組み状況をご報告いただくとともに、取り組みへの賛同をお願いしています。
さらに、定期的に、すべての資材取引を対象に、RBAの提供するリスクアセスメントプラットフォームを使用し、潜在的なリスクを調査しています。特に潜在的なリスクが高いと評価された取引先については、重要取引先と同様に、自己診断アンケート*を使用した、自主チェック、自主改善を依頼しています。
これらの活動の結果、サプライチェーンに高いリスクを及ぼすと判断した取引先に対しては、速やかに改善計画の立案を要請し、改善に向けた支援を提供しています。
*2021年より自己診断アンケートとしてRBA SAQを利用しています。
2021年度はルネサスサプライヤー行動規範を改訂したことに伴い、全てのサプライヤーに対して簡易版SAQ(セルフアセスメントアンケート)を配布し、そのうち878社から回答をいただきました。取引先回答からは、致命的なリスクは確認されませんでした。
2021年度活動実績
簡易版 SAQ | 実地監査* | |
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実施取引先数 | 878社 | 12社 |
うち 直接材サプライヤーおよび製造委託先 | 176社 | 10社 |
*当社または第三者による監査(オンラインでの監査を含む)の合計
監査時の指摘事項における改善指導事例
事例 | 改善指導 | |
---|---|---|
雇用の自由選択 | 従業員に強制的な労働を行わせない旨を謳った方針が存在しない | 方針の明記要請 → 国際規範の尊重「当社は事業活動のグローバル化に際し、児童労働や強制労働の禁止などの法律遵守はもちろんのこと、各国・地域の人権を含む各種の国際規範や文化・習慣を尊重し、その発展に貢献します。」と明記済 |
緊急時への備え | 避難経路図に避難方向や現在地の情報がなく、掲示した際に読み手が理解しやすいような向きについても考慮されていない | 表記の改善要請 → 左記対応した避難経路図を管理棟の各会議室に掲示済 |
労働災害及び疾病 | 救急箱が対象棟のどこにも設置されていない | 当該棟への救急箱の設置要請 → 当該棟3か所に救急箱を設置済 |
差別の排除 | 宗教上の慣習に対する便宜に関して考慮されておらず、ルールもない | 今後、顧客などの訪問者に配慮を必要とする事例が発生するかもしれず、取り決めしておく必要がある旨指導 →就業規則、または規定等で具体的取扱いについて明示することを検討中 |
若年労働者 | 年少者に対して、危険業務や時間外労働・深夜労働をさせない旨を定めた規則類が存在しない | 就業規則等にて、年少者の保護に関する項目の追記要請 → 検討中 |
グリーン調達の推進
ルネサスは環境基本理念に基づき、環境に優しい製品やソリューションを提供することにより、持続可能な社会の実現に貢献しています。この実現には、製品を構成する部品や材料などの環境負荷が低減されていることが不可欠となります。ルネサスグループでは、環境保全に積極的な企業から、環境に配慮した部品や材料を優先的に調達する「グリーン調達」を推進しています。
製品の構成材として使用する部品や材料、当社製品の製造で使用する部品や材料、当社製品の包装のために 使用する部品や材料、および生産委託により製造された製品を納入されるすべての取引先を対象に、グリーン調達基準を明確にし、当社製品の環境負荷低減を図ることを目的とした「グリーン調達ガイドライン」を制定し、遵守を要請しています。
当社での環境RoHS指令などの法規制対応や購入品の含有物質調査を実施し、取引先各社の環境への取り組みが進んでいることを確認しています。また、製品に使用する原材料などの調達は、環境保全を積極的に推進している取引先から、環境負荷が少なく有害物質を含まない商品を優先的に購入しています。業務用品・IT機器などの物品調達においても、その物品の環境負荷情報に基づき、環境に配慮した商品を積極的かつ優先的に選定しています。実績として、2019年下期および2020年上期の製造委託取引金額全体の内、95%以上をカバーする取引先が、ISO14001を取得しています。
ガイドラインおよび基準書
和文
タイトル | 形式 |
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グリーン調達ガイドライン 第3版 | |
グリーン調達基準書 第3版 | |
管理化学物質リスト 第10版 | XLS |
ご参考:グリーン調達 回答フォーマット
和文
タイトル | 形式 |
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グリーン調達調査票 A, B | XLS |
含有化学物質調査シート | XLS |
購入単位情報シート | XLS |
- 「環境負荷物質分析データ」では報告書の様式は定めておらず、自由形式での回答となります。(「グリーン調達基準書」参照)
- 回答時は電子ファイル(Excel)をメールに添付。
責任ある鉱物調達方針に対する取り組み
ルネサスは、サプライチェーンにおける人権侵害や環境破壊等に加担しないために、OECD紛争地域および高リスク地域からOECD指針の附属書 II に提示されるリスクにかかわる紛争鉱物を含まない材料調達を目的として責任ある鉱物調達の実現に取り組みます。
取り組みのフレームワーク
ステップ1: 管理システムの構築
お取引先様へのCSR活動に関する要請事項を取りまとめた「CSR推進ガイドブック」を2021年に改訂し、Responsible Business Alliance (RBA) 行動規範をベースとした「ルネサスサプライヤー行動規範」の遵守をお願いしています。また社内各部門が連携し、リスク特定と評価を実施する体制を構築しております。
ステップ2:サプライチェーンにおけるリスクの特定と評価
お取引先様に対しては、業界標準規格であるResponsible Minerals Initiative (RMI) の調査様式を使用して当社グループサプライチェーンにおける製錬所を特定する調査を行い、その調査結果を当社グループのお客様に対しても開示することで、サプライチェーンを通じた責任ある鉱物調達の実現に努めています。
ステップ3:特定されたリスクに対処するための戦略の構築と実施
調査の結果、サプライチェーン上で非認証精錬所が特定された場合は、お取引先様に是正を求めています。また、改善状況に応じて取引の見直しや取引停止措置などを講じます。
ステップ4:取り組みについての年次報告
ルネサスの鉱物調達に対する取り組みはウェブサイトで毎年公開します。
調査結果
2021年調査において、当社グループの製品に含まれる3TGの精錬所が計235か所あること、そのうち234か所の精錬所がRMIのConformant Smelter Listに掲載されていることを確認しました。その後、2022年5月末現在において、未確認であった1か所の精錬所についても、RMIのリストに掲載されていることを確認しています。
なお、当社では、当社グループの製品に含まれる紛争鉱物(3TG)の全ての特定し、第三者機関であるRMIが認定するConflict-freeである精錬所にて精錬されていることを確認することを目指しています。
2020年度 | 2021年度 | |||||
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合計 | スズ | タンタル | タングステン | 金 | ||
特定精錬所数 | 232 | 235 | 55 | 37 | 38 | 105 |
認定精錬所数 | 232 | 234 | 54 | 37 | 38 | 105 |
2021年度のルネサスグループ サプライチェーン上の精錬所リストはこちら(PDF)
また、2019年より、3TGに加え、コバルトの監視にも着手し、サプライチェーン内のコバルト製錬所の特定を開始しました。ただし、RMIの「コバルト報告テンプレート(CRT)」を使用した検証済みの製錬所の確認については、3TGとは異なり規制が存在していないため、困難になっています。
調査結果の報告
これらの紛争鉱物に関する活動は、当社のサステナビリティ推進体制に組み込まれており、サステナビリティ推進室より、マネジメントに対して定期的に報告されています。
当社サステナビリティ推進体制はこちら
イニシアティブへの参画
Responsible Business Alliance (RBA)に加盟
ルネサスは、グローバルなサプライチェーンにおける企業の社会的責任を推進する企業連合「Responsible Business Alliance」(RBA)に加盟しました(2021年4月19日発表)。RBAは、2004年に設立された非営利組織で、グローバルなサプライチェーンによって影響を受ける労働者とコミュニティの権利と福祉を世界中で支援しています。ルネサスは、RBA加盟企業として、RBAのビジョンとミッションを全面的に支持し、製造プロセスにおいて環境への責任を持つこと、労働者が敬意と尊厳をもって処遇されることなどのRBAの行動規範を遵守します。
一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)「責任ある鉱物調達検討会」に加盟
ルネサスは、責任ある鉱物調達の実現に向けて設立された「責任ある鉱物調達検討会」に加盟いたしました(2022年4月)。ルネサスは、責任ある鉱物調達を世界的に推進しているRMI(Responsible Minerals Initiative)メンバです。RMIと連携する「責任ある鉱物調達検討会」に参画することで業界との連携を深め、精錬所と精製所の特定を始めとする紛争鉱物問題へ対応して参ります。
CDPサプライチェーンプログラムに参加
※CDPサプライチェーンプログラム:CDPが提供するプログラムを1つで、調達先に対して気候変動、森林保全、水資源確保に関する情報開示を求め、回答結果のフィードバック。継続的な環境改善を促し、復元力のあるサプライチェーンの構築に努めるもの。
CDPサプライチェーンプログラム説明会の実施

ルネサスでは、サプライヤー様とのインタラクティブなコミュニケーションを通じ、継続してサプライチェーン全体での環境負荷への課題へ取り組んでいきます。
サプライチェーン概要データ
