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LED照明の調光機能内蔵によりシステムの小型化と高精度化を実現する高効率LED照明用ドライバIC「R2A20135SP」を販売

~調光用の外付け回路面積を当社比で約40%削減。更に応用回路ボードの提供で、小型、省電力のシステム開発を容易に実現~

2012年2月20日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、LED照明機器への最適ソリューションを提供するため、調光機能内蔵の高精度・高効率LED照明用ドライバIC「R2A20135SP」を製品化し、2012年3月よりサンプル出荷を開始します。

 また、システム設計サポート用に、新製品を搭載した開発支援ツールである応用回路ボードも同時に提供を開始いたします。

 新製品は、(1)調光機能内蔵により調光用の外付け回路面積を当社比で約40%低減でき、システムの小型化に貢献。また、(2)LEDの輝度に影響する電流精度を当社従来品の15%から6%へ約60%向上し、LEDの明るさを一定に保つことが可能となるため、LED照明生産時における電流の無調整化が可能です。

 加えて、調光機能を内蔵していない当社従来品「R2A20134」と同パッケージを実現したうえ、LED照明の省電力に重要な特性である高効率、高力率 (注1)も 継承しており、照明機器の製品展開が容易に行なえます。

 なお、新製品を搭載したLED制御回路の評価ボード(トライアック調光器 (注2)対応ボード)では、業界最高クラスの特性である効率85%以上、力率0.9以上、全高調波歪(THD) (注3)20%以下を実現しており、ユーザがすぐに開発できる環境を提供可能です。

 新製品の量産は2012年6月から開始し、同年12月以降には月産500万個を計画しております。

 当社では、マイコンとアナログ&パワーデバイスのトータルソリューションの提供に注力しており、新製品とLED調光制御用マイコン(「RL78/I1A」等)、電源コントロールIC、パワー半導体(パワーMOS FET、トライアック)等とのトータルソリューションの拡充を進めるべく、開発支援ボードの提供などを通じて、ユーザにおけるキット評価やセット設計のサポートを進めてまいります。

背景

 近年の節電や二酸化炭素排出削減に向けた世界的な取組みのなか、低消費電力かつ長寿命のLEDは大きく注目され、産業・商業施設、街灯や家庭の照明器具などでLED照明の普及が進んでいます。そして今後まずます大きな市場への成長が期待されています。

 当社では昨年より、LED電球内に搭載され、LEDのオンオフ等を行うLEDドライバICとして高効率、高力率の「R2A20134」を量産しておりますが、トライアック(パワー半導体)調光器に対応したLED照明システムの小型化と性能向上のため、外付けの専用回路で対応していた調光機能(明るさを調整する導通角の情報を検出して出力電圧に反映させる導通角検出回路)を今回新たに内蔵した「R2A20135SP」を製品化したものです。

特長

新製品の主な特長は以下の通りです。

(1)調光用の外付け回路面積を当社比約40%低減し、システムの小型化に貢献

新製品はLED電球で、明るさを調整する際に必要な導通角検出回路を内蔵することで、従来の「R2A20134」に対し、調光用外付け回路面積を当社比で約40%を低減しました。これによりシステムの小型化が図れると共に部品点数削減による低コスト化が可能です。

(2)電流精度向上等により、LED照明生産時の電流の無調整化に貢献

LED照明では電流の変化が明るさの変化に現れるため、安定した輝度で量産するために電流精度(電流ばらつき)の低減が必要です。新製品は、電流制御のための基準電圧を当社従来品の0.6Vから0.2Vへ低電圧化することで、ばらつきを15%から6%に約60%低減。電流精度の向上により、LED輝度ばらつきを低減でき、LEDの明るさを一定に保つことが可能です。このため、LED照明生産時における電流の無調整化に貢献します。

また新製品では、パワー半導体(パワーMOSFET(注4))を用いてLEDへ電流供給を行う回路の構成を独自構成としており(注5)、 電流ばらつきをさらに改善できるため、LED輝度ばらつきの更なる低減が図れます。

(3)新製品の性能を充分に活用するための開発支援ツールとして、応用回路ボードを提供

新製品「R2A20135SP」搭載のシステム設計をサポートする開発支援ツールとして、LED制御回路の応用回路ボード(トライアック調光器対応ボード)を準備。トライアックによる調光時に効率85%以上、力率0.9以上、全高調波歪(THD)20%以下と業界最高クラスの特性を実現しており、システムの省電力設計に貢献します。

(4)非絶縁方式で使用するパワーMOSFETの耐圧低減により、システムの低コスト化に貢献

非絶縁方式(注6)のLED照明システムに新製品「R2A20135SP」を用いた場合、パワーMOSFETの耐圧(VDSS)を低減できるため、600V耐圧のパワーMOSFETよりも低価格の耐圧450V以下の製品(当社製「RJK4532DPD」、「RJK4532DPH」、「RJK4002DJE」等)が使用可能。このため、LED照明システムのコストの低減に寄与できます。

 新製品のサンプル価格は1個あたり40円となっております。

 ルネサスは、アナログ&パワーデバイスでの世界トップグループ入りを目指しており、このLED照明用ドライバICシリーズと組み合わせる450Vから600V領域のパワーMOSFETやダイオードを中心に約50品種の周辺部品を集中的にラインアップすることにより、ユーザのシステム展開の容易化に貢献していきます。

以 上

(注1) 力率とは、電圧と電流の位相差θ[rad]のcosθを力率といいます。この位相差を無くす事により供給される電力が有効活用可能になります。

(注2) トライアック調光器は入力AC(交流)電圧の導通角をトライアック(パワー半導体)で可変することにより電球(本来は白熱灯)輝度を調整する機器。

(注3) 全高調波歪(total harmonic distortion:THD)は、信号の歪みの程度を表す数値。

(注4) MOSFETはMetal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor(金属酸化膜半導体 電界効果トランジスタ)の略。ここではスイッチ素子として使用している。

(注5) ハイサイド側のパワーMOSFETからLEDへの電流制御を行なう方法をとっている。

(注6) LED照明システム(LEDドライバICとパワー半導体、LEDの回路構成)は非絶縁方式と絶縁方式があり、従来は約8割が非絶縁方式で構成されていた。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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