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Aizip と Renesas – 初の量産化:高品質な顔認識をエッジデバイスとIoTへ

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Nalin Balan
ナリン・バラン
Director, AI Center of Excellence (COE) Customer Success
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Haoguang (Kai) Cai - Product Manager at Aizip
Haoguang (Kai) Cai
Product Manager, Aizip
Published: July 18, 2025

リソースに制約のあるデバイスでの顔認識の課題

顔認識は、スマートフォンやPCなどの高性能デバイスにおいて、すでに標準機能となっています。 しかし、このテクノロジーをリソースに制約のあるエッジデバイスやIoTデバイスに統合するには、依然として課題があります。 たとえば、ユーザー認証が必要なエンタープライズ向けプリンター、アクセス制御パネル、タイムレコーダー、POS端末などは、顔認識によって大きな価値を生み出せる可能性があります。しかし、従来のソリューションでは、これらの機器の計算能力を超えてしまうことが課題でした。

ルネサスAizip は、顔認識を低消費電力かつコスト効率の高いマイコン(MCU)上で動作可能にすることで、このギャップを解消するソリューションを開発しました。 これにより、デバイスメーカーやインテグレーターは、クラウド接続や外部処理を必要とせずに、エッジデバイスやIoTハードウェアに高度な顔認識機能を導入可能に。必要な場所で、ローカルかつプライベート、そして即応性の高い認証を実現します。

ルネサス RA8D1 Arm® Cortex-M85®マイクロコントローラユニット(MCU)を使用したエッジデバイスおよびIoT向けの顔認識ソリューション:

  • クラウド接続なしで、すべての処理を端末内で完結。最大100ユーザーまで対応可能で、メガネなど顔の周辺にアクセサリーを着用していても安定した認証を維持します
  • システムは、最小限のリソース(2MBフラッシュ未満、1MBのRAM未満)を使用しながら、顧客テストで>99%の精度を達成しています
  • プリンターへのアクセス、パーソナライズされたスマートホームコントロールパネル、および建物の入室システムに向けて安全な認証を可能にします
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Facial Recognition Image

ハードウェアプラットフォーム:AIK-RA8D1ボード

AIK-RA8D1ボードは、高度なAIアクセラレーション機能を統合しているため、組み込みシステムにリアルタイムインテリジェンスを実装したい開発者にとって理想的なソリューションとなっています。 その汎用性により、費用対効果を維持しながら、産業およびセキュリティセクターのさまざまなIoTアプリケーションに展開できます。

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AIK-RA8D1ボードの主な特長

Arm Cortex-M85コアにHelium拡張を搭載した480MHz RA8D1 MCUは、堅牢な処理能力、エネルギー効率、MLパフォーマンスの4倍の高速化を実現し、このクラスのハードウェアでリアルタイムの顔認識を実現します。

  • 複数の接続オプションーPmod™、USB、CAN/CAN FD、イーサネット、カメラI/Fなど、シームレスな統合が可能です。
  • 豊富なディスプレイインターフェースー高解像度ディスプレイに対応するMIPI-DSIをサポートし、AIを活用したHMIアプリケーションに最適なリッチなディスプレイインターフェースを提供します。
  • 高度な周辺機能を搭載ー複数のGPIO、ADC、およびI2C/SPI/UART インターフェースを備えており、柔軟なデバイス接続を可能にします。
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AIK-RA8D1 Connected with Renesas' Software and Partner Ecosystem Diagram
図1.AIK-RA8D1をでルネサスのソフトウェアおよびパートナーエコシステムのソリューションを使用

FaceIDで、手間なく安全な顔認証を実現

FaceIDは、2つの簡単なステップでシームレスかつセキュアな認証を提供します。

  1. かんたん登録ー登録時に数枚の参照画像を用意するだけで、セットアップはすぐに完了します。 データは端末内で安全に保管され、インターネット接続は不要。システムは情報を端末内に安全に保存し、プライバシーを守りながら確実に保護します。
  2. 瞬時に認証完了ーシステムにアクセスすると、FaceIDがライブ映像から顔を自動検出・整列し、登録済みのプロフィールと即座に照合。スピーディーかつ高精度、手間いらずで認証が完了します。

FaceID パイプライン自体は、外部プロセッサなしで 1 つの MCU で実行可能です。

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Complete Processing Flow on a Single Renesas RA8D1 MCU
図2.ルネサスRA8D1 MCU 1つで完全な処理フロー

コンパクト・高効率・高信頼性:実環境でのパフォーマンスを追求した設計

システムへの負荷を最小限に抑えながら、パワフルな顔認識を体験できます。 このソリューションは、2つの補完的なモデルを1つのチップ上で同時に動作させることで、高速かつ高精度な結果をシームレスに提供します。

  • 軽量設計ーフラッシュ使用量は2MB未満、ピーク時のRAM使用量も1MB未満と軽量設計で、RA8D1の制約内に収まりつつ、他のアプリケーションのためのリソースも確保できます。

モデル仕様

モデルパラメータFLOPS
顔検出475K159M
顔認証1088K28M
  • スマートメモリ管理ーバッファの再利用とモデルの順次実行により、パフォーマンスを損なうことなく効率性を最大化するスマートなメモリ管理を実現します。
  • スケーラブルなユーザーサポートー最大100名までのユーザー登録に対応し、ハードウェアリソースに応じて柔軟にスケール可能です。

システムリソース使用量

リソース使用量
フラッシュ合計1742KB
ピーク RAM847KB
ヒープ領域16KB
スタック8KB
  • 一貫した精度ーメガネなどのアクセサリーを着用していても高い認識精度を維持し、日常の利用シーンでも安定した信頼性を発揮します。

性能評価

性能評価結果
内部テストの精度>95%
顧客テストの精度>99%
推論時間<800ms
ユーザー容量100名まで
アクセサリーによる安定性あり(メガネなど)
  • エッジデバイスに最適ーコンパクトな設計により、IoTや組み込みシステムなど、メモリや処理能力に制約のある環境でも理想的なソリューションを提供します。
 

導入事例

スマートフォンやハイエンド機器で使われている3Dマッピング技術と比べて、当社の画像ベースのアプローチは多くの利点を提供します。 専用の深度センサーや赤外線プロジェクターを不要にすることで、コスト効率とハードウェアのシンプルさを両立したソリューションです。 極端なセキュリティ対策が不要なオフィスや利便性重視のアプリケーションにおいても、信頼性の高い本人確認を実現し、適切なセキュリティレベルを提供します。 さまざまな設置環境に柔軟に対応できるため、導入の自由度が大きく広がります。

これらの機能により、FaceIDソリューションは次の用途に最適です。

  • 機密文書の安全な取得を実現する、エンタープライズ向けプリンターのアクセス制御
  • 非接触でのチェックインを可能にするタイムレコーダーと勤怠管理システム
  • 臨床現場における医療機器認証
  • ユーザーごとにカスタマイズされた体験を提供するスマートホーム用コントロールパネル
  • 顧客認識機能を備えたPOS端末
  • オペレーターごとに設定を調整する必要がある産業機器

エッジデバイスやIoTシステムでのFaceIDが、ついに現実のものとなりました。 ルネサスのRA8D1 Arm Cortex-M85 MCUを使用すると、クラウド接続なしで顔認識ソリューションを実行できます。 ローカルで動作することで、クラウドへの依存を排除し、データのプライバシーを確保。さらに、ネットワーク接続がなくても安定して機能します。 利便性とセキュリティを両立した認証を実現することで、アプリケーションの価値を飛躍的に高めます。

Face IDソリューションがお客様のニーズにどのように適合するかについては、 Aizip Face ID ページを是非ご覧ください。