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従業員の成長とエンゲージメント

 

私たちの取り組み

ルネサスでは、2020年に「Renesas Culture(ルネサス・カルチャー)」ガイドラインを導入して以来、グローバル全体で共通の価値観の浸透に向けた取り組みを大きく前進させてきました。このフレームワークは、急速に変化するビジネス環境の中で価値を創出し続けることを目的としており、「透明性(Transparent)」「俊敏性(Agile)」「グローバル志向(Global)」「革新性(Innovative)」「起業家精神(Entrepreneurial)」を中核に据え、社員の行動や協働の指針となっています。

過去5年間で、私たちは人事制度やポリシーの強化を通じて、社員が自らの可能性を発揮し、地域や部門の枠を超えて貢献できる環境づくりを進めてきました。これには、新たな人材育成プログラムの導入、国境を越えたキャリア機会の提供、そして個人の成長と組織の柔軟性を支えるインクルーシブな施策が含まれています。

さらに、文化的な目標との整合性を保ち、社員のニーズに継続的に応えていくため、2020年以降、毎年全社規模でサーベイを実施しています。これらの調査は、定量的なインサイトを提供し、進捗の把握や改善点の特定、そしてCEOおよび経営陣主導による具体的なアクションプランの策定に活用されています。このような継続的なフィードバックループは、目的意識を持った高パフォーマンスなグローバル人材の育成に向けた当社の揺るぎないコミットメントを示すものです。

picture_as_pdf 2024年のサーベイ結果概要

キーポジションのサクセッションプラン

ルネサスでは、サクセッション・プランニング(後継者育成計画)を戦略的なプロセスとして位置づけ、組織内の重要なポジションを特定し、それらの役割が空席になった際にも円滑な引き継ぎが行えるよう、社内人材の育成に取り組んでいます。この取り組みにより、事業の継続性を維持するとともに、長期的な成長を支える体制を整え、将来のリーダーが重要な役割を担うための準備を進めています。

ルネサスは、次世代のリーダーを積極的に見出し、育成することで、強固かつ柔軟な経営基盤の構築を目指しています。グループ全体で体系的なプロセスを整備し、重要なポジションの特定、後継候補者の選定、そして個々に最適化された育成計画の策定を進めています。経営陣は人事部門と緊密に連携しながら、次世代のマネージャーやグローバルリーダーのパイプライン構築に注力しています。

リーダー人材育成に向けた取り組み

優れたリーダーは、企業目標に対して明確な方向性を示し、組織内に整合性をもたらすことで、従業員の能力とパフォーマンスを最大限に引き出します。また、経済的・社会的・環境的責任のバランスを理解することも欠かせない要素です。

ルネサスでは、リーダーが持続不可能な慣行に伴うリスクを特定・軽減できるようになることを目指し、各種育成プログラムを通じて、長期的な持続可能性と成長を支える力を養っています。

2024年には、マネジメントおよびリーダーシップに関する評価・育成活動を正式に制度化し、継続的な成長とイノベーションを促進する企業文化の醸成を進めました。リーダーに対しては、持続可能な実践を推進し、チームを鼓舞するスキルの習得を支援することで、当社のサステナビリティ目標と合致した、強靭で将来を担うリーダーシップパイプラインの構築を進めています。

また、ルネサスでは、ローテーションプログラムやハイポテンシャル人材向けの加速型リーダー育成プログラムを通じて、現在および将来のグローバルリーダーの育成にも注力しています。

  1. グローバル社内公募制度(Global Internal Job Opportunities)
    ルネサスは、社員一人ひとりを最も重要な資産と位置づけ、そのキャリアの成長を積極的に支援しています。社員が社内のさまざまな職務に挑戦できるよう、社内人材と求人機会をつなぐ仕組みの整備を進めています。この考えに基づき設計された「グローバル社内公募制度」は、社員の主体性を尊重しながら、公平で透明性の高いキャリアの機会を提供することを目的としています。本制度を活用することで、社員はキャリア開発の加速、人脈の拡大、新たなスキルの習得といった成長の機会を得られるほか、社内でのつながりをより広く深めることができます。一方で、マネージャーやリーダーにとっては、優秀な人材を惹きつけ、定着させ、部門間の協働を促進する貴重な機会にもなっています。
  2. 従業員がより主体的にキャリアを選択できる複線型キャリアパスの構築
    ゼネラリストとしてキャリアを形成する道だけでなく、組織やプロジェクトをマネジメントする管理職、高度な専門的知識や技術で会社に貢献する専門職についても、そのキャリアパスを明示し、従業員一人ひとりが将来のキャリアビジョンを描くことのできる複線型キャリアパスの導入を推進しています。従業員の意思および適正に応じて、各人が自律的に多様なキャリアを選択することができる制度の構築を通じ、従業員と会社、双方の持続的な成長に繋げることを目指します。

従業員が主体的に学習する仕組み

当社は、17,000以上のコースから従業員が自由に選び学ぶことができるオンライン学習プラットフォームをはじめ、従業員が主体的に学習するための仕組みをグローバルに導入しています。従業員の自律的な成長を促し、スキル・能力の向上やキャリア目標の実現を支援しています。 たとえば日本では、自己啓発支援制度を通じて、社員が自らの意思でキャリアを築いていけるよう支援しています。社員は100以上のスキル習得コース、専門的な技術セミナー、語学クラスの中から自分に合ったプログラムを選び、成長に応じた学びを進めることができます。また、多くの研修プログラムをオンライン化したことで、リモート勤務の社員も利用しやすくなり、これまで以上に柔軟な学習環境が整いました。これにより、時間や場所にとらわれず、自分のペースでスキルアップを図ることが可能になっています。

ジョブローテーションの仕組みの構築

MBO(目標管理)面談を通して、マネージャーが部下の能力やキャリアに対する希望を把握し、希望をベースに各人の成長を主眼として人材配置を行う、キャリア開発と連動させたローテーションを行っています。また、人材の発掘・登用や組織の活性化のために公募制による人事異動を実施し、積極的にローテーションを行うことで、従業員一人ひとりが自身の成長に向けてキャリアオーナーとなる機会が付与されています。

グローバル人材獲得の取り組み

候補者トラッキング・システム

2024年、ルネサスは新たな採用管理システム(ATS)として「Smart Recruiters」を導入し、直感的で使いやすいプラットフォームを通じて、採用プロセスの大幅な効率化と変革を実現しました。このシステムは、リクルーター、人事担当者、マネージャーが共通の情報にアクセスできる「唯一の情報源」として機能し、候補者の推薦や面接フィードバックの収集といった業務を効率的に進めることができます。

また、「SuccessFactors」とのシームレスな連携により、求人情報はSuccessFactorsからSmart Recruitersへ自動的に連携され、内定受諾後はオンボーディング活動が速やかに開始されるなど、採用から入社までの一連の流れがよりスムーズになりました。

さらに、これまでオフラインで時間を要していた承認プロセスも、システム内で簡素化され、承認フローが迅速かつ効率的に行えるようになりました。これにより、採用業務全体の生産性が大きく向上しています。

グローバル従業員紹介制度

2024年、ルネサスは「グローバル社員紹介制度(Global Employee Referral Policy)」を導入し、これまで地域ごとに個別に運用されていた15の紹介制度を、ひとつの統一された仕組みへと統合しました。この制度により、すべての社員に対して報酬体系が標準化され、Smart Recruiters内の社員ポータルを通じて簡単に紹介が行えるようになったことで、参加のハードルが下がり、グローバル全体での紹介活動がさらに活性化しています。

社員のネットワークを活用することで、より多様な人材プールへのアクセスが可能となり、新しい視点やアイデアの取り込みを通じて、ルネサスにおける創造性とイノベーションの推進にもつながっています。

管理職向け教育

当社では、さまざまなオンライン学習プラットフォームやプログラムを活用し、世界中のシニア・スぺシャリストやマネージャーが、チームやプロジェクト・リーダーとして成功できるように支援しています。

地域別人事導入セッション

各地域で実施されるこのセッションでは、以下の内容をカバーしています。

  • 企業文化およびリーダーシップに対する期待
  • 学習・開発、パフォーマンス管理、従業員エンゲージメントなど
  • 役割遂行に不可欠な主要ポリシーやプロセスの概要

臨時研修(アドホックトレーニング)

地域人事チームは、発生する特定のスキルギャップに対応するため、ターゲットを絞った研修も提供しています(例:マネージャー向けパフォーマンス向上研修)。既存の学習ツールやプラットフォームを活用し、最近ではArticulateなどのツールを用いてインタラクティブなeラーニングコンテンツの制作も開始しています。研修設計に関するサポートは、ラーニング用の問い合わせ窓口から依頼可能です。

LinkedIn Learningによる自己学習

新任マネージャー向けに、以下のテーマを中心とした社内キュレーション済みの学習パスを提供しています。

  • リーダーシップ開発
  • 採用およびオンボーディング
  • ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)
  • チームマネジメント
  • 効果的なコミュニケーション

現在進行中の主な取り組み

  1. 新任マネージャー必須プログラム(日本)パイロット
    グローバルに認知された外部ベンダーと協力し、日本の一部対象者で新任マネージャー必須プログラムを試験的に実施します。この成果をもとに、2025年末にはグローバルで統一された学習シリーズおよびツールキットを展開予定です。
  2. マネージャー101学習シリーズ
    新任マネージャーの最初の90日間を支援する基礎的な内容で、パフォーマンス管理、フィードバック、チームエンゲージメントに関するリソースを含みます。

グローバル人材マネジメント – メンタープログラム支援

ルネサスのグローバル人材マネジメント部門は、各地域の人事チームに対して、メンターとメンティーが有意義で生産的な関係を築けるよう、助言やガイダンスを提供しています。私たちは、個人の成長と組織の成長の両方に沿った効果的な育成対話を支援するためのベストプラクティス、ツール、リソースを提供しています。

地域の人事チームは、これらのフレームワークを各地域のニーズや状況に合わせて運用し、実際のメンタープログラムとして展開しています。

以下は、各地域で提供しているメンタープログラム支援の一例です。

施策目的地域
メンター・メンティー制度私たちのメンタープログラムは、新卒社員の技術的な成長を加速させることを目的としています。メンターは、必要なツール、設計手法、システムアーキテクチャの概念を紹介しながら、実践的な指導を行います。

実際のプロジェクト事例を通じて学び、回路レイアウトやシミュレーションといった実務的な課題に取り組むことで、新入社員はより高度な技術レベルで貢献するために必要な知識とスキルを短期間で身につけることができます。
北京(中国)
新卒社員およびインターンの育成私たちのメンターシッププログラムは、新卒社員やインターンがプロフェッショナルな環境へスムーズに移行できるよう支援するものです。参加者一人ひとりに経験豊富なメンターが付き、キャリア初期の道のりをサポートします。メンターは、質問への対応やアドバイスを通じて、技術スキルの向上、職場文化の理解、そして実践的な学びや定期的なチェックイン、知識共有を通じた成長を促します。ベトナム
ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)「ELEVATE」ELEVATEは、HPC全体で将来の技術リーダーを育成することを目的とした、6か月間のクロスサイト型テクニカル・メンタープログラムです。専門分野や関心に基づいて異なる拠点のメンターとメンティーをマッチングすることで、スキルの向上、多様なコラボレーション、キャリアの成長を促進します。このプログラムは、勤務時間内での参加が認められ、パフォーマンスレビューにも反映されるなど、参加者が主体的に「学び」「リードし」「つながる」ことを後押ししますグローバル

技術研修の充実

お客様に先進的な半導体ソリューションを提供するためには、半導体を設計・製造するためのハードウェア・ソフトウェア技術やお客様のシステム等に関する幅広い知識が必要となります。そのため、新入社員を対象とした「基礎コース」から、担当分野ごとの専門性を高める「専門コース」まで、幅広い内容の技術研修を開催し、従業員のさらなる意欲向上と成長を促進しています。これらの講座は、当社のエンジニアが講師となる講座と、外部の専門機関の講座も合わせ、年間約80講座開催しており、従業員に対し最先端技術知識について研鑽する機会を設けています。教育資料の一部は、グループ会社にも提供し、グローバルに技術者育成の支援を図っています。

能力開発

2024年、ルネサスはAPAC地域全体で持続可能性と革新性を両立させた人事モデルの推進に取り組みました。雇用条件や福利厚生、業務プロセスの統一を図るとともに、日本国内の人事慣行をよりグローバルスタンダードに近づける改革を進めています。

また、持続可能な成長を支えるために、地域ごとの人事チーム体制を最適化し、後継者計画やキャリアパスの整備に注力することで、将来を見据えた人材基盤の強化を進めました。

加えて、従業員体験の向上を通じてサステナビリティとイノベーションへの取り組みを一層強化しています。その一環として、グローバルに接続された柔軟で包摂的な働き方を推進する「海外リモートワーク制度」の第2フェーズを開始しました。

幹部360度評価

当社では、経営層を対象に年に一度「360度フィードバックレビュー」を実施し、さらなる成長促進と経営革新の強化を図っています。参加者は上司、同僚、部下から匿名でフィードバックを受け取り、自身の強みや改善点を把握することで、リーダーシップ能力の向上やTAGIEの導入、ルネサスの成長目標との整合を目指します。各経営層はこのフィードバックをもとに開発計画を策定し、定期的にCEOとともに進捗を確認しています。

成果連動型報酬制度(Pay for Performance: 業績評価に基づく報酬)

ルネサスは、多地域で事業を展開するグローバル組織として「One Renesas」の考え方を推進しています。この制度は、ルネサスグループ全体で「成果に応じた報酬」を基本理念とし、グローバルで統一された評価制度に基づいて、優れた成果を上げた社員の貢献を適切に報いるとともに、社員のモチベーション向上を目指しています。組織内に「成果連動型報酬」の考え方を根付かせるためには、すべての社員がその役割に応じて公平に評価され、公正な報酬を受けることが不可欠です。

公正な評価

ルネサスでは、年間を通じた目標管理(MBO)を重視しており、中間レビューや正式なフィードバック面談を評価プロセスの一環として実施しています。これらの対話は、数値目標や具体的な証拠に基づいて行われ、単なる評価点やインセンティブ支払いにとどまらず、業績に対する共通理解の醸成やさらなる成長・能力開発の促進を目的としています。さらに、組織および個人の業績に基づく短期インセンティブ制度(STI)を運用しており、報酬と成果の連動を強化しています。STIはパフォーマンス指標と完全に連動しています。

公正な報酬

ルネサスは、社員一人ひとりの会社への貢献に対して、公平かつ適正な報酬を支払うことを約束しています。社員が良好な生活水準を維持できる賃金の支払いを重要視しており、事業展開する各国の生活賃金水準の包括的な見直しを進めています。2025年12月までに、当社の報酬が一貫して現地の生活賃金基準を満たしていることを示す戦略計画を策定する予定です。

エグゼクティブ・コミュニケーション

ルネサスでは、すべての従業員が活躍し、成長し、やりがいを感じられる職場環境の実現に取り組んでいます。従業員エンゲージメントの向上に向け、あらゆる組織階層においてオープンな対話と一体感を育む取り組みを進化させ続けています。

経営層と従業員の建設的なコミュニケーションや、チーム間の協働を促進することで、つながりのある活気ある職場づくりを目指しています。

その一環として、CEOは毎年、グローバル全社員に向けてメッセージを発信し、会社の戦略的方向性や業績を共有しています。これにより、透明性を高めるとともに、未来に向けた共通のビジョンと方向性の認識を全社で共有することを目指しています。

具体的な取り組み

  • 新たに就任したCHROのリーダーシップのもと、ルネサスは従業員とのオープンで定期的なコミュニケーションをこれまで以上に重視しています。すべての社員が経営層と直接つながる機会を持ち、会社の戦略や優先事項を明確に理解できるようにすることを、CHRO自身が重要な責務として取り組んでいます。
  • ルネサスでは、社員がCEOに直接意見を届けられる専用プラットフォームを設けており、そこから寄せられた多くの提案が、実際の変革につながっています。また、ルネサス・カルチャーの浸透度や今後の成長余地を把握するために、全社サーベイも定期的に実施しています。
  • 全社会議、小規模なラウンドテーブル、ライブQ&Aセッションなどを、英語と日本語の両言語で定期的に開催し、CEOを含む経営陣と社員とのオープンな対話を促進しています。これらの場で得られたフィードバックは、フォローアップ調査などを通じて丁寧に収集され、今後の施策や改善につなげています。

SDGsへの貢献

ルネサスグループの従業員の成長とエンゲージメントに向けた取り組みは、以下のSustainable Development Goalsに貢献しています。

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4-Quality Education

SDG .4.4 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、ディーセント・ワークおよび起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。