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車載ボディ用に、過熱・過電流等への保護機能を強化したインテリジェント・パワー・デバイスを発売

~ ヘッドランプやシートヒータ等の制御ユニットの開発期間短縮や品種展開の容易化に貢献 ~

2012年4月5日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、自動車のヘッドランプ、フォグランプなど外装系ランプやシートヒータ、ボディ用モータなどの駆動用パワーIC(インテリジェント・パワー・デバイス、以下IPD)として、「μPD166023」など性能とパッケージの違いによる14製品を製品化し、本日から順次サンプル出荷します。

 IPDは、電気をオン/オフするスイッチ用のパワー半導体(パワーMOSFET)と過熱・過電流などに対する各種保護機能および自己診断出力機能を実現する制御回路とを1つのパッケージ、もしくは1チップに搭載したパワーICです。当社では長年、低損失で高信頼性の車載ボディ用IPDを量産しており、今回、次の特長をもつ新製品の投入により、さらなる市場ニーズに対応いたします。

 (1)制御ユニットの様々な負荷や用途に最適な製品を選んで頂くため、オン抵抗(電力損失)が6mΩ品から90mΩ品までの計14製品をラインアップし、かつ(2)同一パッケージ品では機能やパッケージピン配置の互換性をもたせております。特に、過熱や負荷ショートなどの異常を検出した際、制御ユニットのマイコンに異常を知らせる信号の出力を同じにしているため、オン抵抗の異なる製品に変更した場合も、マイコンがこの信号を処理するためのソフトウェア(プログラム)の変更を最小限にとどめることが可能です。このため、制御ユニットの開発期間短縮や品種展開の容易化に貢献できます。加えて、(3)より高精度な過熱検出が可能な保護機能(パワーリミテーション機能(注))も新規追加しており、高い保護機能をさらに向上しております。

 新製品の量産は2013年3月より順次開始し、2014年9月以降は14製品合計で月産700万個を計画しております。

背景

 従来、ライト制御をはじめとする多くの車載制御ユニットには、スイッチとしてメカニカル・リレーが採用されておりましたが、スイッチの高速化やユニットの小型化・軽量化が図れる半導体スイッチへの移行が進んできております。当社でも半導体スイッチ向け車載ボディ用IPDを製品化しており、長年培った経験とノウハウを活かし、制御ユニットの小型化、高性能化、低消費電力化に貢献する低損失(低オン抵抗)品や、高密度実装品を量産してきました。

 そして今回、半導体スイッチの普及に伴い、自動車のヘッドランプ、フォグランプ、フラッシャー(ターンシグナルライト)やブレーキライトなどの外装系ランプや各種ヒータ類、モータなどの駆動における様々な負荷や用途の増加に対応するため、幅広い製品ラインアップと、同一パッケージ品でのピン配置等の互換性を持った14製品を製品化しました。また、自動車の外装系ランプアプリケーションの場合、ランプが車体外周部に設置されることから、制御ユニットからランプまでのワイヤハーネスの距離が長く、負荷ショートなど異常状態に陥るポテンシャルが他アプリケーションに比べ大きいこと、および万一故障した場合も、外装系等のため、運転手が気づきにくいということから、保護機能の向上による耐久性強化が望まれており、新製品では、こうした異常状態を迅速に検出し、対処することにより、高い耐久性を追及しております。

特長

新製品の主な特長は次の通りです。

(1)幅広い製品ラインアップにより開発期間短縮に貢献

IPDが搭載するスイッチ用パワー半導体(パワーMOSFET)の重要な特性であるオン抵抗(電力損失)毎に、6/8/10/12/16/25/30/50/90mΩ製品をラインアップ。様々な負荷や用途によりマッチした製品を提供できます。

加えて、6/8/10/12 mΩ品では、今回新たに面実装パッケージ(TO252)のピン数を7ピンに増やした(当社従来の6/10mΩ品は5ピン)パッケージを採用しており、制御ユニットのマイコンに直接接続可能となるため、部品点数削減によるシステムの開発期間短縮やコスト低減が図れます。

(2)同一パッケージ品での機能・ピン互換性により、利便性を向上

7ピンTO252の4製品、12ピン高放熱HSSOPの6製品、24ピン高放熱HSSOPの4製品において、機能(主に自己診断出力関連)やピン配置の互換性をもっております。特に幅広いオン抵抗の範囲(6、から12mΩ、および12から90mΩ)での互換性を有するラインアップは稀であり、利便性を大きく向上しています。このため、ユニットの開発期間中、あるいは量産済みユニットのマイナーチェンジなどにより、オン抵抗の異なる製品の使用を余儀なくされる場合の置き換えが容易化できます。

加えて、過熱や負荷ショートなどの異常を検出した際、制御ユニットのマイコンに異常を知らせる自己診断出力機能の信号論理を同じにしているため、オン抵抗の異なる製品に置き換えた場合も、自己診断出力を処理するマイコン用のソフトウエア(プログラム)や、基板変更を最小限に抑えることが可能です。このため、制御ユニットの開発期間短縮や品種展開の容易化に貢献します。

(3)保護機能の強化により、高負荷短絡耐久性を向上

新製品は、当社従来製品と同様に高負荷短絡耐久性を実現しておりますが、今回さらに、より高精度な過熱検出が可能なパワーリミテーション機能も新規追加しており、従来の過熱検出方式に比べ耐久性をさらに向上しております。

 新製品のサンプル価格は、製品の性能やパッケージにより様々ですが、例えば「μPD166023」(12mΩ、12ピンHSSOP)が100円/個となっております。

 今後、市場動向を踏まえてオン抵抗(電力損失)のバリエーションを増加し、製品ラインアップ数を20製品まで拡張すべく計画しております。

 そして、近年の環境保全や安全性への意識の高まりを踏まえ、当社ではIPDを、今後のクルマにおける電気の効率良い制御や、燃費の向上に向けた車輌の軽量化に貢献できる製品ととらえ、今後さらに開発を推進してまいります。

 新製品の主な仕様は、別紙をご参照下さい。

以 上

(注)パワーリミテーション機能: 従来の過熱検出方式の場合、温度上昇が急峻な時には、保護動作(シャットダウン)までの電流オーバーシュートやチップ面内の温度差により、局所的に過ストレスが印加されるケースが考えられる。本機能は、チップ面内に複数の温度センサを配置し、急峻な温度上昇を検出することで、局所的な過ストレスの印加を防止する。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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