スマートカメラは、NCAP(注)向け安全システムをはじめとしたADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)や自動運転向けに 画像を用いたセンシングのためのカメラです。 レーダ、LIDAR(レーザーを使った測定)、超音波など他のセンサー技術と違い、スマートカメラは路面標示、交通標識、そして信号など識別できることが特徴です。また、車と歩行者を識別し、その走行や歩行の軌跡を感知した上で、距離を計測することなどもできます。このようにスマートカメラは、自動緊急ブレーキの作動や自動運転で最重要なセンサーとして位置づけられているのです。
(注) NCAP (New Car Assessment Program):世界各国で行われている自動車の安全性を評価するテストであり、最近はADAS、特に自動ブレーキのアセスメントテストが盛り込まれている。
スマートカメラの課題は、高度なコンピュータビジョン処理の実現、機能安全、そして低消費電力の両立。中でも低消費電力は厳しく求められる要件となっています。スマートカメラ本体がフロントガラスの横に取り付けられているため、通常の部品自体の発熱だけでなく、カメラが直射日光に曝されることによる温度上昇を加味しなければならないのです。
R-Car V3MはRenesas autonomyTMの第一弾となるスマートカメラ向けSoCで、NCAP安全基準を満たすカメラシステム開発に最適です。
Block Diagram of V3M
R-Car V3H SoCはステレオフロントカメラ・アプリケーションに最適化されており、既存製品R-Car V3Mに比較して5倍の高性能コンピュータビジョンを実現します。
Block Diagram of V3H
R-Car V3M、V3Hはルネサスが長年開発をしてきた画像認識エンジンを進化、IMP-X5-V3Mとして、低消費電力でありながら高い画像認識性能を実現できます。さらに、両SoCはConvolutional Neural Network (CNN、畳み込みニューラルネットワーク)用IPを内蔵します。.各種画像認識アルゴリズムであるオプティカルフロー、さらにはニューラルネットワークなどを高速化処理することが可能です。また、R-Car V3Hは前述のハードウェアアクセラレータに加えて、高密度オプティカルフロー、高密度ステレオディスパリティ(立体視差)およびオブジェクト分類のための専用IPを備えています。
High-Performance Computer Vision
R-Car V3M、V3Hに内蔵されたISPを利用することで、画像認識アルゴリズム開発者は、センサーからのローデータを直接利用し、アルゴリズムにあわせた信号処理が可能です。従来、必要だったカメラ向けISPが不要になり、システム構築におけるトータルシステムコストの削減が可能です。
またR-Car V3MにはArm® Cortex®-A53のCPU2つ、R-Car V3HにはArm® Cortex®-A53のCPU4つをそれぞれ搭載する他、ロックステップ方式を採用したCPU、Cortex-R7 を搭載しています。Cortex-R7上では AUTOSARの実装が可能です。
R-Car V3M、V3Hは、ルネサスとそのエコシステムパートナが提供する、センサーなどのハードウェア、OS、画像認識のノウハウを利用することが可能。これによりシステム開発者は、フロントカメラシステムの開発において自身の設計資産による価値の最大化、あるいはパートナ活用による開発期間短縮を選択することが可能です。
R-Car - Open Platform
Renesas Electronics Unveils Open, Innovative and Trusted Renesas Autonomy™ and Cutting Edge Front Camera SOC R-Car V3M