廃棄物に対する取り組み

廃棄物に対する取り組み方針

ルネサスは、廃棄物を減らす、再利用する、再資源化する、またはできるだけ回収することを目指しています。当社の廃棄物管理は、適正な分別・安全処理を基本としています。当社の全拠点は、環境行動指針および現地規制の要求事項を尊重し活動しています。

指標と目標

当社グループは、グローバル拠点で廃棄物のリサイクル率* 90%以上の維持を指標に、再利用、使用抑制、再資源化の「3R」に取り組んでいます。モノづくりにおける「3R」を徹底し、中期的には事業活動に起因して発生した廃棄物のすべてを資源として再利用することを目指しています。

  • Reuse:再使用
  • Reduce:使用抑制
  • Recycle:再資源化

*リサイクル率(%)=100 - (最終処分量÷廃棄物&有価排出物の総量)×100。サーマルリサイクルや中和処理等の適正処理も含めています。


3Rの活動概要

Reuse 再使用

製品出荷時に使用するプラスチック包装材(トレイ・マガジン)では、国内・海外生産拠点でリユース基盤(回収ー洗浄ー検査システム)を整備し、効率のよいリユースを実践しています。また、キャリアテープ、段ボール、ウエハケースなども用途を限定したリユースを進めています。

Reduce 使用抑制、Recycle 再資源化

製造プロセスの開発や工場設計時において、極力廃棄物を発生させない工夫や他分野の企業と連携した廃棄物の再資源化を進めています。例えば、排水の処理過程で発生する汚泥はセメント製造メーカーと連携して路盤材やセメント材料へ利用しています。金属類は製銅製品、紙類は再生紙などの原料として再利用されています。廃プラスチックは主に固形燃料等の用途で利用されています。また、生産工程で発生したスクラップウエハや不良品と判定された最終製品についても再資源化を進めています。

廃棄物 主なリサイクル例
汚泥 路盤材、セメント原料、再生砂、金属精錬用原料
廃油 焼却炉助燃材、再生油、セメント原料
廃酸 再生硫酸、排水処理、燃料化、セメント原料、金属原料
廃アルカリ 燃料化、セメント原料、金属原料
廃プラ * 焼却炉助燃材、固形燃料、プラスチック原料
金属屑 * 金属原料
硝子陶磁器屑 ガラス原料、セメント原料、タイル、軽量骨材
製品屑 * シリコン原料
貴金属 * 貴金属原料
紙類 再生紙原料
木屑 紙原料、肥料、燃料
発砲スチロール 塗装剤・モルタル骨材

* 生産工程で発生したスクラップウエハや不良と判定された製品を含む

3Rの実績

2021年度の廃棄物排出量は、半導体生産増、および閉鎖した生産拠点の廃棄物、火災復旧関連の排出物を含め、前年比で14%増加しました。そのうち国内の廃棄物は多くが再利用やリサイクル、または適正に中間処理され、最終的に埋め立て処分(最終処分量)された割合は0.12%でした。

海外は、日本との比較において埋め立て処分(最終処分量)の割合が多く、42%でした。これによりグローバル拠点での廃棄物リサイクル率は92.2%となり、指標とする90%以上の維持ができています。

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廃棄物排出量の推移
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図:2021廃棄物排出量

 

廃棄物削減の取り組み

2021年度、当社グループは、国内で1,143tonの削減(うち廃プラスチック削減 263ton)の廃棄物削減を実施しました。

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廃棄物削減チャート


2022年度も引き続き下記の取り組みを実施しています。

2022年度主な取り組み(前年継続活動を含む)

【プラスチック排出の抑制(国内廃プラ新法への対応)】

  • プラスチック製包装材(トレイ)やプラスチック製ケースの再使用、または利材化
  • BGAパッケージ大判化による、プラスチック廃棄部分の削減
  • フルカートン化推進による、出荷用段ボールに入れる緩衝材の量削減
    (お客様側で生じる廃プラ量の削減)※小口発注へは端数梱包で対応

【廃棄物全体にわたる削減活動】

  • 廃液の有価化、排水処理汚泥量の削減活動
  • 国内全拠点が参加するワーキングチームを中心とした削減活動の推進など
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トレイの再利用
トレイの再使用


環境汚染・法規制対応

当社グループでは、廃棄物に関する関連法令に従って、適正な管理と処理に取り組んでいます。

日本国内新法 「プラスチック資源循環促進法」への取り組み

2022年4月に、「プラスチック資源循環促進法」が日本国内新法としてスタートしました。当社グループにおいては、ルネサス エレクトロニクス(株)・ルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリング(株)の2社が、250ton/年を超える「廃プラスチック多量排出事業者」となります。

当社グループは、「廃棄物全体の削減・廃プラスチック削減・廃プラスチックリサイクル率99.9%以上維持」を指標に、当社グループ内の廃プラスチック(産廃)分別による有価化の推進に加え、お客様側で生じる廃プラスチック(緩衝材)の削減や当社グループでのプラスチック資材購入量削減を目的として、製品出荷時の内装箱を満杯にする「フルカートン化(下図参照)」を推進するなど、立案した計画の実施に積極的に取り組んでいます。


フルカートン化による緩衝材(廃プラ)の削減

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フルカートン化による緩衝材(廃プラ)の削減


国内グループ 廃プラスチック排出量(単位:ton、有価排出物を除く)

  2020年4月~2021年3月 2021年4月~2022年3月
ルネサス エレクトロニクス(株) 473 482
ルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリング(株) 464 492
合計 937 974

土壌汚染防止、排水処理の取り組み

有害な化学物質が土壌に浸透することにより、土壌に有害な化学物質が蓄積され、人の健康、農作物、生態系などへの影響が懸念されています。
ルネサスは、土壌に有害な化学物質が浸透することを未然に防止するため、化学物質の漏洩リスクを低減する施策、そして、万が一漏洩しても土壌に浸透させない施策を計画的に実施しています。さらに、毎年実施している拠点の環境監査においても、化学物質の保管場所や使用設備の管理状況、漏洩時の対応手順整備状況など、化学物質の管理状態を確認し、リスク低減施策の積極的な提案を行っています。

最近の対策例

  • 屋外配管架台下部 コンクリート化工事(那珂工場)など


SDGsへの貢献

ルネサスグループの廃棄物に対する取り組みは、以下のSustainable Development Goalsに貢献しています。

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3 GOOD HEALTH AND WELL-BEING

3.9 2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。

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11 SUSTAINABLE CITIES AND COMMUNITIES

11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。

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12 RESPONSIBLE CONSUMPTION AND PRODUCTION

12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

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12 RESPONSIBLE CONSUMPTION AND PRODUCTION

12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

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15 LIFE ON LAND

15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。

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15 LIFE ON LAND

15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。