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Kenji Morio
Specialist, Automotive Business Planning

今日、COVID-19は世界中のあらゆる産業に影響を与え、多くの企業において、事業戦略や提供するべき顧客価値の再定義が行われています。ルネサスでは先日Analyst Day(2021年3月3日)を開催し、社外のステイクホルダーの皆様へ、ルネサスの今後の事業方向性に関し、ご説明いたしました。このブログでは、改めて、COVID-19禍において、ルネサスを取り巻く市場環境がどのように変化しているのか、今後ルネサスがどのような顧客価値を提供し、競争優位性を高めていくのか、という点についてご紹介いたします。

当社を取り巻く事業環境

ソーシャル・ディスタンスという新しい生活様式が広がり、“CASE”と呼ばれる自動車業界の昨今のメガ・トレンドの内、S(シェアリング・サービス)が敬遠される動きが加速しています。モビリティ・サービスは寧ろ個人で利用するもの、という消費者の価値観の変化により、”CASE”は”PACE”へと変容を遂げています。

  • CASE (Connected, Automated, Shared & Services, Electrified)
  • PACE (Personalized, Automated, Connected, Electrified)

“PACE”の中でも、当社の注力分野である電気自動車、及び自動運転分野においては、各国における脱炭素化への取り組みや、自動車の安全性/快適性の価値追及は今後も衰えず、COVID-19禍においても成長のモメンタムを保つと見られています。これは車載半導体の需要にも影響し、用途別ではやはり電気自動車、自動運転分野向けで、特に高い年平均成長率(CAGR)が見込まれ、デバイス別の需要としても、主にそれらの分野で用いられるパワー、アナログ製品、及びSoCの需要が拡大すると予測されています。
 

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2021.03 Automotive Strategy (Renesas.com)資料より

このような市場環境の中、ルネサスの車載事業はどのような戦略を描くのでしょうか。

当社のビジネスモデル

PCやスマホ業界では、この10~20年で、標準化されたプラットフォームをどのメーカの製品でも利用できる「水平分業型」のビジネス・モデルが浸透しました。このようなビジネス・モデルの変化が近年、自動車業界にも波及しつつあります。既存のOEMがTier1/Tier2とのエコシステムを確立し、「垂直統合型」のビジネスモデルを築く一方、それをディスラプト(変革)する動きとして、AIやグラフィック処理、Cloud/ビッグデータなどを得意とするプレイヤーが他業種から参入し、”PACE”の其々の分野において独自のプラットフォームを標準化させようとしています。

このような業界変化の中でルネサスは、自動車業界のお客様との長年のコミットメント、MCUでの圧倒的な市場シェア、及びプロセッサーからアナログ、パワーに渡る幅広い製品ポートフォリオを活かし、OEM/Tier1様による価値創出を効果的に支援してまいります。

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デジタル製品の事業戦略

”PACE”のトレンドの中、自動車に求められる機能は高度に複雑化し、OEM/Tier1のソフトウェアの開発コストは膨大な額に達しています。また、これまではお客様がソフトウェアを開発しても、それがハードウェア上で問題なく動作するか検証する必要があり、スムーズなソフトウェア開発が困難でした。特に自動車の分野では、機能安全や信頼性を保つ必要があり、バーチャルとフィジカルの世界の整合は大きな課題でした。

このような課題に対しルネサスは、お客様が仮想上(バーチャル)で開発したソフトウェアを、そのままフィジカルな空間(ハードウェア上)でも動かせるよう、ソフトウェアの開発環境を提供します。これによりOEM/Tier1様はハードウェア上での検証工数を削減でき、Time-to-marketな製品の市場投入が可能になるほか、ハードウェア上の課題を意識することなく、自社で差別化されたいアプリケーションの開発に専念することが可能となります。

アナログ、パワー製品の事業戦略

ルネサスでは、これまでの事業の核であったデジタル製品と、IDT、インターシル社の買収により新たにアセットに加わったアナログ、パワー製品をセットとして提供するWinning Combinationに力を入れています。車載向けで要となる機能安全や、電力効率などの課題も、このシステム・レベルで最適化されたソリューションをお使いいただくことで、簡単に解決することができ、お客様に価値を提供します。昨年はこのWinning Combinationを21件リリースしました。開発期間を短縮できる使い勝手の良さから、特に市場成長のペースが速い中国、インドなどの新興国市場から強い引き合いを得ています。

注力アプリケーションである電気自動車分野においては、ルネサスが従来保有していたMCU及び、IGBT、MOSFETに、買収によりInductive Position SensorSensor Signal ConditionerBattery management IC等のアセットが加わり、製品ポートフォリオが大幅に拡充されました。

従来は、各製品を個別に吟味・検証して自らが全てのシステム構築を行う大手のお客様を中心に、デジタル製品を主とした事業を展開していましたが、Winning Combinationの拡充により、新興国のお客様にも簡単にお使い頂けるようになりました。また、旧IDT、インターシル社と主にアナログ製品で個別製品の個別用途でのみ取引のあったお客様にも、デジタル製品を組み合わせたソリューションを、より広範に提供することが可能となりました。

より幅広いお客様に、より幅広い製品/ソリューションの提供を可能にするWinning Combinationは、デジタル製品からアナログ、パワー製品まで幅広いポートフォリオを持つルネサスだからこそ創出できる、車載半導体市場における当社の競争優位性の核と言えます。

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このようにルネサスでは、COVID-19禍においても力強い市場成長が期待される電気自動車、自動運転の分野において、デジタル製品とアナログ、パワー製品の組合せで、お客様への価値提供に努めてまいります。

当社の事業戦略に関する詳細は、Analyst Day(2021年3月3日)の資料、プレゼンテーション動画をご参照ください。当社のソリューションやウィニング・コンビネーションに関しては、弊社Webのソリューションページをご覧ください。

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