HMIソリューション(3)-1:新世代タッチキーソリューション

ソリューション: 13 of 20

電子機器とのコミュニケーションは進化する ルネサスのHMIソリューション解説 シリーズ3-1 組み込み機器に、最適な「タッチ」がここにある

急速な進化を遂げているHMI。数年前までは当たり前だったメカニカルなスイッチが、指で操作パネルに触れて操作する「タッチキー」へと急速に置き換わっている。ルネサスのHMIソリューション解説の第三弾、お客様製品へのタッチキー導入を実現するソリューションをご紹介しよう。

デザイン性に加えて、豊富なタッチキーのメリット

組み込み機器のHMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)が進化している。つまみを押し込んだり、スライドさせたりするメカニカルなスイッチが消え、操作部に凹凸がないスタイリッシュなデザインのものが増えてきた。フラットな表面を指でタッチするだけの「キー」や、指を滑らせて望んだ量を指定できる「ホイール」、「スライダー」と呼ばれる方式での入力が可能になったためだ(図1)。これらは「タッチキー」と総称されており、急速に普及している。

組み込み機器へのタッチキーシステム搭載のメリットは多い。凹凸により製品のイメージを乱すことなくデザイン性を高められることはもちろん、キーの隙間に水滴や粉塵が入らないといった耐環境性向上のメリットも大きい。また、接点が無いことで摩耗の心配がないため大幅な長寿命化も期待できる。簡単に拭き掃除ができることは、ユーザから評価される大きなポイントだ。

このようなタッチキーは、すでに、白物家電をはじめ、コピー機やヘルスケア機器などでお馴染みだ。さらに、耐環境性の高さから産業装置への搭載が進んでおり、いまや、組み込み機器では欠かすことのできない入力方式と言えよう。

図1:さまざまなインタフェースを実現するタッチキー

図1:さまざまなインタフェースを実現するタッチキー

R8CとRL78で培った、豊富な静電容量式タッチキーの開発実績

ルネサスはこれまで、長年にわたる実績で業界標準とも呼ばれる16ビットマイコン「R8C」と、その継承となる低消費電力マイコン「RL78」でタッチキー操作システムの普及に貢献してきた。キーの数が36個までは、タッチキーIPを組み込んだ「R8C/3xTシリーズ」によるハードウェアソリューションで対応、一方、キーの数が5個以下の小規模な開発には、「RL78」向けにソフトウェアソリューションを提供している。

「R8C/3xTシリーズ」は、これまでに1000万個以上が出荷されており、200機種以上に採用されている。まさに、業界を圧倒する実績を誇る。

R8C/3xTシリーズの詳細はこちら

RL78によるタッチキー・ソフトウェア・ソリューションの詳細はこちら

「R8C/3xTシリーズ」によるタッチキー・ソリューションの詳細はこちら(アプリケーションノート、ボード、ソフトウェア情報など)

パネルが厚くても、曲がっていても、水滴がついたってへっちゃら!高感度かつ高ノイズ耐性の新タッチキーIPを搭載した「RX113」マイコンがデビュー

タッチキーのメリットが認識されるにつれ、ユーザからの要求が高まり、その対応に苦慮する設計者が多い。例えば、雨天や汗をかいた状態でも操作するウェアラブルなヘルスケア機器や、水回りで使用するIHクッキングヒータなどの家電製品では、水滴が付着した場合でも誤検知なく動作することが求められる。また、重機やバイクの操作パネルなど屋外で手袋をしたままでも操作したいといったニーズも大きく、その実現には「高感度」なタッチセンシング技術が必要だ。さらに、デザイン性や使いやすさ向上のために、曲面でのタッチキーシステム実現の要望も根強い。ルネサスでは、これらの高まるユーザの要求を的確に捉え、お客様の開発効率を最大限に高めるために、新世代のタッチキーシステムを実現する「RX113」マイコンをリリースした。

「RX113」には、新開発のタッチキーIPを搭載し、容量検出感度とノイズ耐性を大幅に向上させたことで、厚さ10mmのアクリル板が電極と指先の間にあっても動作可能になった。従来は、アクリルの場合で2mm以下、ガラスでも4mm以下が推奨厚みであったので、従来比5倍(アクリル板使用時)の厚みに対応できたことになる。高感度化により、手袋をしていても、若干指を浮かした状態での操作も可能となることから利用範囲が広がる。

また、筐体の表面パネルが湾曲し、基板の間に多少の空気層があってもタッチ感度の調整が必要ない。さらに、厚みが増すほど高感度が必要となるためノイズの影響が心配されるが、厚さ5mmのパネルにおいて「IEC61000-4-3」「IEC61000-4-6」のLevel3といった、厳しいノイズ試験をクリアできる。ノイズに影響されずにタッチキー操作が可能な高品質製品の開発期間短縮に貢献する。

従来方式で対応していた、電極一つを使用して、電極と指の間に発生する浮遊容量の増加を検出する「自己容量方式(図2)」に加えて、よりお客様の要望に広くお応えするため、「RX113」では新たに「相互容量方式(図3)」にも対応した。

相互容量方式は、送信電極(トランスミッタ)と受信電極(レシーバ)を用いて電界を発生させ、指を近づけると送信信号が指を伝わって大地(GND)に流れることで、送受信電極間の電界変化を検出する仕組みだ。この方式のメリットは、水が電極上にかかっても電界がほとんど変化しないため、水と指を見分けて検知することができることだ。そのため水滴がかかる場所で使われる機器へのタッチキーシステムへの採用が容易になる(図4)。

また、タッチキーをマトリクス形状(*1)で組んだ際に、マイコンから電極までの配線が長くなっても自己容量方式でマトリクスを組んだ際と比較して高感度を実現できる上、自己容量方式で発生してしまうゴーストの誤検知の問題が起こらない。そのため、同時に複数のキーを操作するマルチタッチ入力を実現する。ピン数が少ないパッケージタイプのマイコンを採用した場合でも、マトリクス形状で組むことでタッチキー操作のチャネル数を増やすことが可能となる。

(*1)マトリクス形状:格子状に電極を置き、行方向と列方向の交点に送信、受信の電極を置くもの。例えば、送信電極は行方向につがっており、受信電極は列方向につながっているとする。5行5列の構造であるとすると、送信に5チャンネル、受信に5チャンネルを用いるだけで、25個のタッチキーを扱える。効率的だが、マルチタッチ時に触れた場所を正しく判別するには相互容量方式を採用する必要がある。

図2:自己容量方式の仕組み

図2:自己容量方式の仕組み

図3:相互容量方式の仕組み

図3:相互容量方式の仕組み

  利点 課題
自己容量方式
  • 電極形状の制約が少ない
  • 低コスト基板で実現可能(一層基板で実現可能)
  • 耐水性が低い
  • 電極をマトリクスで組んだ際、マルチタッチ時にゴーストが発生し正しい認識ができない
相互容量方式
  • 耐水性が高い(水的影響排除が可能)
  • 電極をマトリクスで組んだ際、マルチタッチが可能。
  • 電極形状に制約がある
  • 基板コストがやや高い(二層以上が必要)

図4:自己容量方式と相互容量方式の特徴

今回開発した新世代タッチキーIPで対応した相互容量方式の利用により、さらに豊かなHMIが実現できるだろう。では、ここでその実力をデモ動画で見てみよう。

  1. 5mm厚のパネルでも、軍手をはめてタッチ可能
  2. 水の流れる環境でもタッチ可能
  3. 湾曲したパネルもタッチ可能

幅広いソリューションが、お客様の要望にジャストフィットする

これまで好評を得てきた「R8C」と「RL78」によるタッチキー・ソリューションに加えて、この新世代タッチキーIPも、マイコンに組み込んで提供する。高性能と低消費電力を両立するマイコンRX100シリーズに、新世代タッチキーIPに加えて、LCDドライバなどのタッチキーシステムに必要な周辺機能をワンチップに収めたマイコン「RX113」だ。引き続き、タッチキーシステム開発の手掛かりを探ってほしい。幅広いソリューションをご用意することで、さまざまなお客様の要望に的確に対応する。