画像
Kaushal Vora
Kaushal Vora
Senior Director

モノのインターネット(IoT)は、分散型インテリジェントセンサーのおかげで大量のデータを蓄積できる能力があります。そして今、この膨大なデータをいかに整理し、流通させるかが課題として浮き上がっています。これまでのデータ分析方法でも十分にIoT運用を簡素化しましたが、人工知能(AI)を使えば、より高精度に、それもより短時間で分析できることがわかってきました。

データの構造化において、AIは素晴らしい役割を果たしています。リアルタイムにパターンや矛盾を発見することができるのはAIのおかげです。さらにAIアルゴリズムを使って、様々なソースから非構造化データを蓄積し、一貫した方法で表現できるように処理することで、大幅に時間を節約できます。これにより、データ構造化のプロセスがより簡単になり、ステークホルダーに大きな利益がもたらされるのです。

機械学習とAIは、データセンター内外で、確かで予測的な分析を提供する重要なツールとなっています。これらの予測の結果、AIは問題発生前に予防し、運用を再構築し、ネットワークにおける不測の中断発生を減らします。さらに人工知能とデータサイエンスを組み合わせることで、データセット構造化の促進、IoTデバイスの運用強化、最終的にリアルタイムに結論を導き出せるのです。

リアルタイム分析とAIの結合

広義でいうリアルタイム分析とは、データを入手したらすぐに分析準備にかかり、分析し、評価する一連のプロセスを指します。現在、人工知能にリアルタイム分析を組み合わせることで、企業は消費者体験に関する優れたインサイトを得ています。サポート担当者やITエンジニアは、これまでのようにエンドユーザーが問題に直面してから動くのではなく、問題に気付かれる前に、解決に向けて行動を移すようになっているのです。この二つの組み合わせが、従来のサポート体制を完全に変えてしまったのです。

IT専門調査会社のIDCによれば、IoTで作成されたデータのうち45%が、クラウド上に転送するのではなく、エンドデバイスに近いところで分析する必要があると言われています。このようにクラウド利用からの移行が促されているのには、いくつかの理由があります。まず、クラウドへのデータ転送は、延々と続くデータ転送をサポートするための帯域幅と電力を必要とし、高くつくことがわかっています。次に、転送に時間がかかるためレイテンシが発生する可能性や、送られてくるデータを処理できる大容量のサーバーが必要となるのも問題です。さらに、安定したインターネット接続がない場合や、エンドポイントでの意思決定がされなくてはいけない場面があります。そのため、今、エンドポイントでの分析をサポートできるソリューションが求められているのです。データ分析やリアルタイムの意思決定への依存度が高いIoTアプリケーションでは、これらのアプリケーションを休ませるわけにはいかないため、上に挙がっている懸念事項は非常に重要となってきます。

エンドポイントAoTの役割

「アナリティクス・オブ・シングス(AoT)」とは、モノのインターネット(IoT)デバイスから生成されるデータを分析することを指す用語です。IoTアナリティクス・オブ・シングスにより、データウェアハウスではなく、アプリケーション内でのビジネスインテリジェンスが可能になります。AoTは、パターン把握や変動分析、異常の検出、問題の予測、メンテナンス間隔の設定、プロセスの最適化などに使われています。

これまで長年にわたり、企業はデータ駆動型のプランニングと将来のビジョンのために、集中型アーキテクチャに基づくデータ分析に依存してきました。しかし、データは毎秒毎秒増加する一方であり、データ転送時のレイテンシ克服、プライバシーの改善、そして消費者の期待に応えるための革新的なアプローチが求められています。特に、AI、5G、IoTが融合してからは、リアルタイム対応がますます重要となっています。これらの要因が、エンドポイントにおけるインテリジェンスの開発を後押ししているのです。

そこで出てきたのが、ネットワークの最端部にインテリジェンスを分散させる方法です。これにより、効率的なデータ分析を行い、エンドデバイス上でほとんどレイテンシのないリアルタイムな意思決定を行うことができます。低い処理能力で、エンドデバイス上で直接行うことができるソリューションを、「エンドポイント・データ分析」と呼んでいます。

画像
Endpoint data analytics (ja)

「データ分析」とは何か

「データ分析」は、生のデータや未処理のデータを精査し、意味を導き出し、意思決定に活用するためのサイエンスです。ここではデータを構造化して理解するために、最新技術やツールが使用されます。

実際のデータ分析が行われるまでには、いくつかのステップを経る必要があります。

  • データを正しく解釈し、グループ分けをする。
  • 様々なソースからデータ収集する。
  • データの複製やエラーを取り除くために、データを精査する。
  • 表、スプレッドシート、多数の統計手法などを用いてデータ整理する。

ITアドバイザリ企業ガートナーによると、データ分析は大きく以下の4タイプに分類されます。

記述的分析

ある期間にどんなイベントが起こったかを記述します。ここでは過去のデータをまとめて推論することに重点を置きます。

画像
Four types of data analytics (ja)

診断的分析

なぜそのイベントが起こったのかを理解し、答えを導きだすことに重点を置きます。

予測的分析

与えられたデータをもとに、将来のトレンドを予測します。

処方的分析

今後どんな行動を起こすべきかを判断できるようになります。  

データ分析のサポートシステム

様々な技術やセンサーが、エンドポイントでのデータ分析のプロセスを促進しています。環境を理解するためにデータを収集し、蓄積するために必要となるのがセンサーです。位置を検出するためのGPS、カメラ、レーザー、レーダーなどが例として挙げられます。そしてデータ転送と取得に欠かせないのが通信技術です。データはデータサイエンス・アルゴリズムに組み込まれ、状況把握に重要な役割を果たします。アルゴリズムによる処理結果は、意思決定プロセスをサポートします。それによる分析データの結果が、デバイス上での選択肢として設定されます。例えば、自律走行車では、計画された通りの経路をたどる、道路上の他の車両に反応する、天候や道路状況に対応する、さらには急停車が安全でない場合に間接的にコマンドを出すなど、いくつかの意思決定のオプションがあります。

これらの意思決定プロセスをより良くするために、データ分析によって意思決定と行動を特定のクラスに分類します。上記の自律走行車の場合、オペレーションあるいは戦術クラス、もしくはデータレイクの場合は戦略クラスと定義されます。

ビジネスモデルの変革

データ分析とAIの発展のおかげで、ビジネスのあり方は一変しました。収集したデータに即座に対応するリアルタイム分析は、より高価値な答えを抽出することができます。つまり、企業の持つビッグデータが、データ分析によって無限の価値を秘めた宝の山へと変貌しているのです。このおかげでビジネス価値は強化され、企業は市場で高いポジションを確保することができるでしょう。現在あらゆる分野の企業が、より正確な予測と効果的な意思決定を行うために機械学習モデルに頼っています。生産効率は向上し、デバイス通信におけるセキュリティ問題の克服もしています。つまり、エンドポイントAIは、作業のスピードアップ、より良い結果の提供、自動化、ビジネスの意思決定の改善など、あらゆるレベルでプロセス全体を強化しているのです。人工知能、データ分析、IoTはそれぞれビジネスモデルの強化に貢献しており、これらがうまく統合されたとき、企業にとって大きな資産となることが証明されています。

この記事をシェアする

Log in or register to post comments

この記事をシェアする