ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)は、インド政府の電子情報技術省(MeitY:Ministry of Electronics & Information Technology)と提携し、VLSI (Very Large-Scale Integrated Circuits:超大規模回路)および組み込み半導体システム分野において、インドのスタートアップや教育機関を支援することを発表しました。さらに、インドでのR&D人員の増加に対応するため、ベンガルール(カルナータカ州)とノイダ(ウッタル・プラデーシュ州)のオフィスを拡張し、2025年5月13日、両拠点で開所式を開催しました。今回の提携とオフィス拡張は、インドにおける半導体産業の発展に貢献し、イノベーションを促進することを目的としています。今後も、ルネサスは、インド市場でのプレゼンスをさらに高め、持続的な成長を目指します。
ルネサスとMeitY傘下の主要な研究開発機関である先進コンピューティング開発センター(C-DAC:Center for Development of Advanced Computing)は、MeitYのC2S(Chips to Startup)プログラム(注)の下、2025年5月13日に二件の基本合意書を締結しました。これら基本合意書は、1) 現地のスタートアップを支援し、インド政府が掲げる施策「Make in India」に沿った国内製造業の振興と技術革新を促進すること、2) 産学連携を強化し、学生の革新的で製品志向のマインドセットを育成することを目的としています。
ノイダの新オフィス開所式には、インド政府のAshwini Vaishnaw鉄道・通信・電子・IT大臣を招き、ルネサスからは、India Country Manager兼 アナログ&コネクティビティ プロダクトグループ MIDエンジニアリング担当ヴァイスプレジデントのMalini Narayanamoorthiや2024年8月にルネサスが買収したAltiumのPlatform Adoption and Ecosystem Enablement担当HeadのRea Callendarなどが出席しました。また、ルネサスCEOの柴田 英利もオンラインで参加し、今回のインド政府との提携とオフィス拡張について、ルネサスとしての重要性を強調しました。
大きな成長ポテンシャルを有し、優秀な人材を豊富に抱えるインドは、ルネサスにとって非常に重要な市場です。ルネサスは、地元企業、スタートアップ、大学などの教育機関とのパートナーシップを深め、ルネサス全体の売上収益の10%超をインド向けとする目標を掲げています。昨年には、インドでの提携事例として、グジャラート州でのCG社およびStars Microelectronics社とのOSAT工場設立プロジェクトや、インド工科大学ハイデラバード校との基本合意書の締結を発表しました。ルネサスはまた、2025年末までにインドの従業員数を1,000人に増やす計画です。この人員増強は、インドにおける長期的な事業拡大を目指し、ダイナミックで急速に発展する市場において、「employer of choice(選ばれる企業)」となることを目的としています。
ルネサスのIndia Country Manager兼 アナログ&コネクティビティプロダクトグループ MIDエンジニアリング担当ヴァイスプレジデントのMalini Narayanamoorthiは次のように述べています。
「今回のオフィス拡張は、ルネサスにとってインドで成長する上で重要なマイルストーンです。これは、イノベーションに加えて、インド市場に向けて優れた製品・ソリューションを提供し、現地の才能あふれる人材を育成するというルネサスのコミットメントを示すものです。インドにおいて、インドのため、また世界のために製品を開発することで、インド市場にポジティブな影響をもたらし成長を促進していきます。また、MeitYのC2Sプログラムの下、研究開発およびイノベーションの推進、また製品志向のエンジニア育成に焦点を当てた二件の基本合意書を締結したことを誇りに思います。こうした戦略的な協力関係は、インドの”Make in India”施策に沿ったものであり、現地の設計・製造能力を強化し、インドの人材が自国産業の未来を切り拓いていくことを目指しています。」
MeitYのC2Sプログラム下での基本合意書について
ルネサスとC-DACは、VLSIおよび組み込み半導体システムの分野で協力するため、二件の基本合意書を締結しました。現地のスタートアップと教育機関を支援し、インドの半導体および製品エコシステムにおけるイノベーションの促進と自立を加速することを目的としています。C2Sプログラムは、インド全土の250以上の教育機関および研究開発機関(インド工科大学、国立工科大学、インド情報技術大学、その他公立および私立大学を含む)と、スタートアップ約15社との連携を図るものであり、インド国内のイノベーションのためのエコシステムを構築しています。
- スタートアップ支援の基本合意書:ルネサスの開発ボードとPCB設計ソフトウェアであるAltium Designerを提供することで、ルネサスは、現地スタートアップの製品エンジニアリング能力の強化を支援します。
- 教育機関支援の基本合意書:ルネサスの開発ボードやAltium Designerソフトウェアの提供、またAltium 365クラウドプラットフォームへのアクセス、そしてPCB教育やトレーニング機会も含めて提供することで、次世代のエレクトロニクスエンジニアを育成し、イノベーターのコミュニティを構築することを目指しています。
ベンガルールとノイダにおける新オフィスの開設について
ルネサスは5月に、ベンガルールとノイダにあった既存オフィスをそれぞれ統合し、最先端の施設である新オフィスに移転しました。
ベンガルールの新オフィスは、ルネサスとしてはインド最大の拠点となり、世界クラスの設計チームからテストラボ、従業員をサポートする充実した設備を備えています。約500人の従業員(エンジニア、コーポレートスタッフ、また近年買収したAltiumとPart Analyticsの従業員など)が一堂に会し、協力して業務を遂行します。同オフィスでは、インドの豊富で優秀な人材を活用し、革新的な製品の開発を推進していきます。
ノイダの新オフィスでも、エンジニアとコーポレートスタッフを集結させ、世界最高水準の高性能コンピューティングソリューションの提供を加速し、イノベーションとコラボレーションを通じて、自動車市場の成長を促していきます。また、才能あふれる現地人材の育成と、車載用SoC(System on Chip)のR-Carソリューションの強化を図ります。最先端のツールとワークフローが利用可能なノイダの新オフィスは、グローバルのエンジニアリングチーム間のシナジーをさらに高め、自動車向けというルネサスにとって重要な分野での長期的な戦略を下支えします。
(注)Chips to Startup(C2S)プログラム:2021年12月にインド政府によって開始された、国内の半導体およびディスプレイ製造を促進するためのイニシアチブです。C2Sは、VLSIおよび組み込みシステム設計分野での専門人材の育成を目指すだけでなく、電子機器バリューチェーンの各エンティティに対応した専門人材のトレーニング、再利用可能なIPリポジトリの作成、アプリケーション指向のシステム/ASIC/FPGAの設計、およびスタートアップや中小企業の専門知識を活用した教育機関と研究開発機関による展開などに取り組んでいます。詳細は、C2Sのウェブサイトをご覧ください。
以 上
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