~ディープラーニングによる物体認識を、高精度に低消費電力で実現する、スマートカメラ用ソリューションを提供開始~
2019年9月26日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(東京都江東区、代表取締役社長兼CEO:柴田 英利、以下ルネサス)と、車載用認識ソフトウェアの高い技術を保有するStradVision(米国サンノゼ、CEO:Junhwan Kim、以下ストラドビジョン)は、このたび、次世代のADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)に向けた車載スマートカメラ用ディープラーニングによる物体認識ソリューションを共同で開発し、提供を開始することを発表します。

 次世代ADASは市街地での危険回避に向けて、道路使用弱者(Vulnerable Road User:VRU)とも言われる歩行者や自転車を検知するための高精度な物体認識が求められます。同時に、ADASの普及を加速させるためミドルからローエンドの量産車にも搭載できるよう、システムの低消費電力化も求められます。

 ストラドビジョンのディープラーニングによる物体認識ソフトウェアは、車や歩行者、車線などの認識性能が高いことが特長です。今回、この精度の高い認識ソフトウェアを、量産車実績で定評のあるルネサスの車載用SoC(System on Chip)のR-Carに最適化しました。対応する製品は、「R-Car V3H」と「R-Car V3M」で、これらのR-Carにはディープラーニング処理の専用エンジンであるCNN-IP(Convolution Neural network Intellectual Property)が搭載されているため、ストラドビジョンの車載ディープラーニングネットワークである「SVネット」を高速に低消費電力で動作させることが可能です。両社の協業による物体認識ソリューションは、ディープラーニングによる物体認識を低電力に実現できるため、量産車への搭載も可能になり、ADASの普及を加速します。
 新ソリューションは、R-Car SoCはルネサスから、またソフトウェアと開発サポートはストラドビジョンから、2020年初頭より提供します。

 ルネサスのオートモーティブソリューション事業本部、テクニカルカスタマーエンゲージメント統括部の統括部長、吉田直樹は、次のように述べています。「画像処理技術のリーダーとして、ストラドビジョンはルネサスのR-Carを活用したADAS向けの開発で豊富な実績があり、R-Carの性能を十分に引き出すシステム開発に優れています。R-Carに最適化されたディープラーニングによる新ソリューションは、次世代ADASの実現と普及に寄与し、今後急増する車載カメラの要求に対応えることができると確信しています。」

 StradVisionのCEO、Junhwan Kim は次のように述べています。「私たちはルネサスとともに、開発者が次世代のADASに向けて、効率よく前進する手助けができることを嬉しく思います。この協業により、素早く効率の良い評価が行えるだけでなく、ADASのパフォーマンスを大幅に改善できるようになります。この先、フロントカメラ市場は大幅な成長が見込まれるため、ルネサスとストラドビジョンは、最高の技術を提供できるポジションにつけたと思います。」

今回開発したディープラーニングによる物体認識ソリューションの特長は次のとおりです。

(1)早期評価が可能なベーシックパッケージを提供。カスタマイズから量産まで一貫サポート

 ストラドビジョンのディープラーニングソフトウエア「SVネット」は、ADASシステム量産用のAIによる認知ソリューションで、暗所での認識精度やオクルージョン(物体が重なりあった状態での認識)で高い評価を受けています。 R-Car V3H向けソフトウェアのベーシックパッケージでは、車両認識、人認識、車線認識の同時動作を、1秒あたり約25フレーム処理することが可能。これにより早期評価、POC開発が可能です。さらに、これをベースとして、標識など認識対象を追加してカスタマイズしたい場合も、ストラドビジョンが学習(トレーニング)から量産車用ソフトウェアへの作り込みまで一貫してディープラーニングによる物体認識をサポートします。

(2)R-Car V3HとR-Car V3Mは、スマートカメラシステムの信頼性をさらに高めることも、コスト低減をすることも可能

 ルネサスのR-Car V3H、R-Car V3Mは、ディープラーニング専用のCNN-IPのみならず、画像認識エンジンであるIMP-X5を搭載しています。そのため、ディープラーニングによる物体認識と、人がルールを設定する従来の画像認識を組み合わせ、認識率を高めることにより、さらなる高信頼性のシステムを構築することも可能です。さらに、画像の絵づくりや認識処理向けにセンサ信号の変換処理を行うISP(Image signal processor:画像センサ信号処理エンジン)を搭載しているため、ISPを搭載していない廉価なカメラを用いてシステムを構成することにより、BOM(bill-of-materials)コストの低減が可能です。

以 上

※本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。

ルネサス エレクトロニクス株式会社について

ルネサスは、自動車、産業、家電、OA、ICT分野に対して、世界的に高いシェアを誇るマイコンに加え、アナログ&パワーデバイス、SoCなどの各種半導体と幅広いソリューションを提供していきます。詳細については、こちらをご覧ください。https://www.renesas.com/

StradVisionについて

StradVision は視覚処理技術分野のパイオニアであり、その優れた技術により、完全自動走行車を実現する為のより高精度で安全な視覚認識技術をご提供して行きます。
詳細については、こちらをご覧ください。https://www.stradvision.com/


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