~当社従来品と比べて実装面積を40%削減~
2011年1月24日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、信号の伝達を光で行ないパッケージ内部で完全に電気的絶縁される仕組みをもつ光MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果型 トランジスタ)を製品化し、「PS7901D-1A」の名称で、本日よりサンプル出荷を開始いたします。

 新製品は、実装面積が世界最小クラスとなる2.9mm(ミリメートル)×2.3mmとなる4ピンの超小型フラットリードパッケージを採用し、当社従来品のPS78シリーズに比べて約40%面積削減しながらも、従来品と同等の絶縁耐圧500Vr.m.s.(ボルト)を保証できる点が最大の特長となっております。また、パッケージに封入されているMOSFETチップの低出力容量と低リーク電流を実現しているため、オフ時のリーク(漏れ)電流がきわめて小さく、ICテスタなどの高周波信号の制御に適しております。

 新製品のサンプル価格は200円/個、量産は2011年度上期より月産100万個を計画しております。

 光MOSFETは、入力側に電気信号を光へ変換する発光ダイオード(発光素子)と、出力側に光を電気信号へ変換する受光素子及び出力のMOSEFTの3種の素子をひとつのパッケージに封入し、信号の伝達を光で行うことで入力側と出力側が電気的に完全に絶縁される仕組みをもち、半導体リレーとも呼ばれます。半導体リレーはメカニカルリレーと比較して、接点磨耗、異物混入による誤動作がないことから、ICテスタ、FA機器、家電、通信機器などの各種機器のメカニカルリレーの置き換えとして採用が広がっています。

 なかでも近年、計測機器市場は被測定デバイスの高速化、高性能化、多ピン化に伴う性能向上および処理能力向上のため、半導体リレーに対してさらなる小型化・高速化の要望が高まっております。特にICテスタは大量のスイッチにより信号の切替えを行っており、装置の小型化や処理能力の向上を図るため光MOSFETの小型化・高速化が求められております。しかしながら光MOSFETのパッケージを小型にするには、絶縁耐圧を確保するために必要な絶縁距離(注1)と光結合効率(注2)の両立が困難となっておりました。

 新製品は、このようなニーズに応えるために開発されたもので、装置の小型化および性能向上に貢献できます。

 新製品の特長の詳細は、以下のとおりです。

(1)従来品から実装面積を約40%削減可能な世界最小クラスのパッケージを採用

 フォトカプラおよび光MOSFETの開発で長年培ってきた技術を活かし、パッケージの内部構造を改良。パッケージ内部において左右からのびるリードフレー ムの高さを互い違いにする構造から、リードフレーム同士が向かい合わせになる構造に変えることで、必要な発光素子と受光素子の距離や角度を実現している。これにより、実装面積は2.9mm×2.3mmとなり、従来の小型フラットリードパッケージ(4.6mm×2.5mm)に比べ約40%削減しながらも、従来品と同等の絶縁耐圧500Vr.m.s.を保証可能。

(2)世界最小クラスの低出力容量0.75pF(ピコファラッド)を実現

 出力素子として採用しているMOSFETは、当社独自のSOI(Silicon On Insulator)技術を適用。これにより世界最小クラスとなる0.75pFの低出力容量を実現。MOSFETは電流オフ時に出力容量を介して信号成分が漏れる問題があるが、新製品は、出力容量を従来の小型パッケージ品の1pF程度に対し25%低減しているため、漏れる信号成分を抑制することが可能であり、高周波動作に適している。

(3)リーク電流を70%低減

 MOSFETのゲート膜構造を最適化することにより、従来100pA(ピコアンペア)程度あったリーク電流を30pAへ70%低減しているため、測定精度の高い装置の実現に貢献できる。

 当社は、新製品がICテスタなどの計測機器用途をはじめ、各種FA/OA機器の小型・薄型化に貢献するものと位置づけ、国内および海外に向けて積極的な販売活動を展開してまいります。

 新製品の主な仕様は別紙をご参照下さい。

以 上

(注1)発光素子と受光素子の間の距離。

(注2)発光素子と受光素子との間の光の伝達性の良さ。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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