~マイクロアイソレータの実用化により、電気自動車やハイブリッド車のインバータの小型化を実現~
2013年4月25日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:鶴丸 哲哉、以下ルネサス)は、このたび、電気自動車やハイブリッド車などのインバータ向けに、マイクロアイソレータ(注)という絶縁信号伝達回路を内蔵し、システムの小型化かつ高信頼性化を実現するIGBTドライバ インテリジェント・パワー・デバイス「R2A25110KSP」を製品化し、2013年4月末よりサンプル出荷を開始します。

 新製品は(1)絶縁信号伝達回路である「マイクロアイソレータ」の搭載と、IGBT駆動能力を強化によりインバータ制御基板の小型化を実現、(2)過電流や 過熱を検知する機能を2系統内蔵し、並列接続された双方のIGBTを保護、(3)IGBTチップ温度をMCU側にフィードバックする機能を内蔵、などの特 長を有しています。これらの特長により、小型化・高性能化および高信頼性化が図れる等、高いコストパフォーマンスを提供可能です。

 新製品のサンプル価格は1個当たり550円となっており、量産は2015年上期から開始し、月産100万個を計画しております。

背景

 電気自動車やハイブリッド車などに搭載される電動モータを駆動するインバータは、IGBTなどモータ駆動素子を搭載するパワーモジュールと絶縁素子やIGBTドライバ回路などを搭載する制御回路で構成されており、近年の普及に応じてより小型・高性能化がなされています。制御回路の小型化には、搭載される絶縁素子とIGBTドライバ回路を集積するソリューションの要求がありました。

 このような市場ニーズに応えるため、今回「R2A25110KSP」を製品化いたしました。

特長

 新製品の特長は以下の通りです。

(1)絶縁機能を含むワンパッケージソリューションとIGBT駆動能力の強化で小型化実現

絶縁信号伝達技術「マイクロアイソレータ」を実用化し、絶縁機能を内蔵しました。周囲温度環境が厳しい車載用途に使用する部品としてチャネル温度150℃maxと適しており、スイッチング特性が高速で低バラツキ(特性規格値の幅が小さい)という特徴を併せ持ちます。これにより、モータ駆動の効率を向上する事が可能 です。加えて、IGBT駆動能力をオン時インピーダンス1.0Ωmaxに強化しており、使用するIGBTゲート負荷が大きい場合にもトランジスタの外付け無しに直接駆動する事を可能にしました。これらにより、インバータ制御基板の小型化が可能です。

(2)2系統の過電流・過熱検知機能を内蔵し、システム信頼性を強化

インバータの駆動素子としては、モータ定格に応じてIGBTを並列接続して使用します。車載インバータの場合は、2個のIGBTを並列接続して使用する事例が多いのですが、IGBT駆動回路に内蔵される過電流や過熱など保護の回路は、従来1系統のみで双方のIGBTの異常検知と保護は出来ませんでした。新製品は、これらの機能を2系統内蔵し、双方のIGBTを保護することができます。

(3)IGBTチップ温度フィードバック機能などシステム信頼性を強化

IGBTのチップ温度をモニタし、MCU側にフィードバックする機能を内蔵しています。並列接続された2つのIGBTの内で、高温側のチップ温度をフィードバックします。また、IGBTがオフ時の誤点弧を防ぐアクティブ・ミラー・クランプや過電流などの異常時に徐々にIGBTをターンオフするためのソフト・ターン オフなどの機能も内蔵しており、小型化、高性能化および高信頼性化が図れる等、高いコストパフォーマンスを提供できます。

 当社では、車載3相モータ分野向けの製品ラインアップを強化しており、MCUやパワー・デバイスと共にトータルソリューションを整えて積極的な拡 販を行っていきます。本年12月には20ピンSSOPを採用したIGBTドライバ インテリジェント・パワー・デバイス「R2A25112KSP」のサンプル出荷も開始する予定です。

 新製品の仕様は、別紙をご参照ください。

以 上

 (注)マイクロアイソレータとは、半導体チップ上に、配線層を利用して形成したトランスを利用した信号伝達と絶縁機能を兼ね備えた回路のことである。小型・集積化に適しており、IGBTの駆動回路などとの一体化が可能。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。

 

ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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