~製品ラインアップの強化により化合物デバイス製品でトップレベルのサプライヤを目指す~
2010年10月7日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、ガリウムヒ素(GaAs)などの化合物半導体を材料とする光半導体およびマイクロ波半導体を扱う「化合物デバイス事業」について、

 (1)フォトカプラ、高周波スイッチICをはじめとする注力製品で世界シェア第1位(注1)の獲得・維持
 (2)新素材「窒化ガリウム(GaN)」を導入した半導体製品を2010年度中に市場投入

から成る強化策を策定いたしました。

 ルネサスは、化合物半導体市場の2010年度から2012年度の年平均成長率を8%と見込んでおります。これらの強化策により化合物デバイス事業部の売上成長について、市場成長を上回る+11%を見込むとともに、同事業部の2012年度売上高を2010年度の1.2倍へ増やし、化合物半導体のトップレベルのサプライヤを目指してまいります。

 施策の詳細は以下の通りです。

(1)フォトカプラ、高周波スイッチICをはじめとする注力製品で世界シェア第1位の獲得・維持

 フォトカプラ、光ストレージデバイス(注2)の世界シェア第1位獲得に加え、現在トップシェアである高周波スイッチIC、ガリウムヒ素低雑音FET(注3)のさらなるシェア拡大を目指す。

フォトカプラ

 省エネ意識の高まりにより成長が期待されるハイブリッドカーや電気自動車、LED照明、電力メータなどのグリーン市場に採用が進むフォトカプラについては、高温対応・低消費電力・小型パッケージの製品開発を加速する。

 さらに、フォトカプラに高電圧・大電流出力に適したIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やマイコンを組み合わせたキット販売を推進し、さらなる売上拡大を図る。なかでも海外については、応用技術要員を倍増し、拡販体制を強化する。

 また、急速な需要増を見据えて2012年度までに生産能力を倍増(2009年度第4四半期比)する。

 これらの施策により、2011年度にフォトカプラ市場において世界シェア第1位の獲得を目指す。

高周波スイッチIC

 携帯電話やノートPCなどの無線通信機能をもつ電子機器において、送受信切り替えや3G/GSMなどのモード切り替え、アンテナ選択を行う高周波スイッチICについては、世界トップレベルの低損失を実現した新構造トランジスタの採用と端末の小型・薄型化ニーズに対応した小型・薄型パッケージを展開する。

 また超小型パッケージ、ベアチップなど、顧客ニーズに応じた柔軟な出荷形態をとるとともに、米国、欧州、台湾のチップセットベンダーと連携をはかり、セットメーカーにリファレンスデザインを提供することでビジネスの拡大を狙う。

 これらの施策により、高周波スイッチIC市場において世界シェア第1位の維持を目指す。

(2)新素材「窒化ガリウム」を導入した半導体製品を2010年度中に市場投入

 窒化ガリウムは、既存の半導体材料(シリコン、ガリウムヒ素など)と比べて高周波、高出力、高温動作が可能で、新素材である炭化ケイ素(SIC)に比べて高周波性能に優れているため、高耐圧・高速動作などが必要な高周波機器への応用が期待されている。

 当社の窒化ガリウム製品の生産技術は、シリコン基板上に窒化ガリウムを積み重ねて回路を作りこむため、炭化ケイ素基板(直径3~4インチ)上に窒化ガリウムを積み重ねて回路を作りこむ他社手法と比べ、基板の大口径化(6インチ化)が容易であり低コストで製品化できるという特長を有している。

 ルネサスは、まずケーブルテレビアンプ市場に向けてこの高信頼・高性能な窒化ガリウムデバイスを新規投入し、マイクロ波/ミリ波通信機器市場へ展開。第1弾として、複数の窒化ガリウムFETやコンデンサなどの電子部品を搭載したCATV向けモジュールのサンプル出荷を2010年度中に開始する。

 ルネサスは、フォトカプラや高周波スイッチICなどの注力する製品分野においてさらなるシェア向上を図るとともに、素材に窒化ガリウムを導入した製品により、ケーブルテレビアンプやマイクロ波/ミリ波通信機器など高周波・高出力性能が求められる市場の開拓を推し進めながら、事業の拡大を図ってまいります。

以 上

(注1)当社推定。

(注2)可視光レーザダイオード、受光IC。

(注3)Field Effect Transistor(電界効果トランジスタ)の略。トランジスタの構造のひとつで、高速にスイッチングできる。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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