車載制御用マルチコアマイコンのソフトウェア開発負荷を大幅に軽減する、 モデルベース開発環境をアップデート

~RH850用モデルベース開発環境が、複数の制御周期(マルチレート)を持つシステム開発に対応~

2018年06月14日

ルネサス エレクトロニクス株式会社

 

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、このたび、車載制御用マルチコアマイコンのモデルベース開発環境「Embedded Target for RH850 Multicore」をアップデートして、複数の制御周期(マルチレート)を持つシステム開発に新たに対応したことを発表します。エンジンやボディ制御などのシステムではマルチレート制御が一般的のため、今回のアップデートにより、マルチコアマイコンのソフトウェア開発シーンでも、モデルベース開発環境が実用的になり、自動運転車の開発などで複雑化するソフトウェアの開発負荷を大幅に軽減します。

 従来、RH850マルチコア用モデルベース開発環境は、複数のコアに自動でソフトウェアを割り当て、実行性能をシミュレーションで検証することは可能でしたが、マルチレート制御を含む複雑なシステムではRTOSやデバイスドライバを含め、すべて実機(実物のマイコン)に実装して検証する必要がありました。今回、マルチレート制御に対応したことにより、マルチレート制御モデルからマルチコア用のソフトウェアコードを直接生成可能になり、その実行性能をシミュレーションで検証できるようになりました。実行性能を開発の初期段階で見積ることができるだけでなく、検証結果に基づいたモデルへのフィードバックも容易になります。これにより、システム開発の完成度を早期に高めることができ、大規模化、複雑化するソフトウェアの開発負荷を大幅に軽減できます。ルネサスは、マルチコア用のソフトウェア開発におけるモデルベース開発環境の実用化を加速させ、Renesas autonomy™のコンセプトでも掲げるエコカー/電動化の進化をリードします。

 このアップデートしたモデルベース開発環境「Embedded Target for RH850 Multicore」は、2018年秋から提供を開始します。これに先駆けてルネサスは、2018年7月3日(火)に東京コンファレンスセンター・品川で開催される「MathWorks Automotive Conference 2018」にデモンストレーションを出展します。

 ルネサスのオートモーティブソリューション事業本部 共通技術開発第一統括部の事業部長、近藤 弘郁は次のように述べています。「モデルベース開発は普及が進み、制御設計から自動コード生成まで環境は整備されています。一方、マルチコア用のソフトウェアは複雑なため、従来のモデルベース開発で扱うことは困難でした。車載制御のユースケースに多くの知見を持つルネサスは、実用化に向けた課題にいちはやく取り組み、今回のアップデートに成功しました。これによりルネサスは、マルチコアマイコンに向けたソフトウェア開発の効率化に大きく貢献できると確信しています。」

 新製品の特長は、以下のとおりです。

(1)マルチレート制御対応により、マルチコア用ソフトウェアの大幅な開発負荷の軽減が可能

マルチレート制御の一例として、エンジン制御の吸排気の周期、燃料の噴射や点火の周期、車体の状態を確認する周期がそれぞれ異なることが挙げられます。今回、Simulink®制御モデルからRH850マルチコア用コードを生成する技術を、マルチレート制御に適用したことにより、エンジン制御のような複数の周期を含むモデルからも、マルチコア用コードを直接生成できるようになりました。さらに動作検証は、実機に近い精度の時間計測が可能なサイクル精度シミュレータを、RH850向け統合開発環境「CS+」のオプションとして提供します。これによりソフトウェア開発の初期段階において、マルチコアマイコンでのモデルの実行性能を見積ることが可能になり、開発期間を大幅に短縮可能です。

 

(2)車載モデルベース開発のデファクト標準JMAAB制御モデリングガイドラインに準拠

自動車制御システムのモデルベース開発の推進団体であるJMAAB(Japan MBD Automotive Advisory Board)が、JMAAB制御モデリングガイドラインでいくつかのコントローラモデルを推奨しています。その中から今回、スケジューラレイヤを上位に設けるタイプαに準拠したSimulinkスケジューラブロックを用意しました。これにより、OSなしのマルチレート・シングルタスク方式に則って、コア指定や同期をSimulinkモデルに表現し、RH850用のマルチコア向けコードを自動生成して確定的な動作を実現します。

 

(3)複数のシステムを統合したECU全体の動作検証も可能

クルマの電子化の進展に伴い、比較的小規模なシステムは、ECU(Electronic Control Unit)の統合が進んでいます。今回、マルチレート制御に対応したことにより、制御周期の異なる小規模なシステムをマルチコアで動作させることが容易になるため、複数のシステムを統合したECU全体の動作検証が可能になります。

 

 本開発環境は、今秋には2コア搭載のRH850/P1H-Cに対応予定で、最大6コア搭載のRH850/E2xシリーズにも順次対応するほか、車載用SoC「R-Car」ファミリを含むRenesas autonomyプラットフォーム全般への展開も計画しています。また、パートナ製品のモデルベース並列化ツールと連携したマルチレート制御対応の強化、基本ソフトウェアを含めた実行性能の見積りなど、モデルベース開発によるソフトウェア開発の一層の効率化の取組みも継続します。さらに、今後ルネサスは、車載用で培ったモデルベース設計のノウハウを、複雑化、大規模化が進む産業分野に向けて拡充を続ける「RXファミリ」にも応用し、ソフトウェア開発の効率化に貢献することにより、安心・安全なスマート社会の実現を目指します。

製品情報は、http://www.renesas.com/ja/products/software-tools/tools/model-base-development/embedded-target-for-rh850-multicore.htmlをご覧ください。

以 上

 

*MATLAB/Simulinkは米国The MathWorks Inc.の登録商標です。Renesas autonomyはルネサス エレクトロニクス株式会社の商標です。本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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