~各種画像処理用にOpenCVアクセラレータも搭載し、TVMベースの新たな開発ツールをリリース~

2022年9月29日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、ルネサス独自のAIアクセラレータ「DRP(Dynamically Reconfigurable Processor)-AI」を内蔵したマイクロプロセッサ(MPU)「RZ/Vシリーズ」を拡充し、複数の外部カメラを接続してAI推論を実現する「RZ/V2MA」を発売、量産を開始しました。新製品は、最大動作周波数1GHzの64ビットArm® Cortex®-A53を2コア搭載したことにより、高いコンピューティング性能を実現します。画像入力用にEthernet、USB、PCI Expressインタフェースを搭載したことにより、遠隔にある複数カメラからの入力が可能です。また、1 TOPS/Wクラスの低消費電力でAI処理を実現するDRP-AIに加え、各種ルールベースの画像処理を同時に処理できるよう、OpenCVアクセラレータも搭載しました。これらにより、AI内蔵ゲートウェイ、ビデオサーバ、セキュアゲート、POS端末や、ロボットアーム等のマシンビジョン製品の画像認識を高精度に実現します。

 さらに今回、RZ/V2MAの開発環境として、従来の「DRP-AI トランスレータ」に加え「DRP-AI TVM(注1)」の提供を開始しました。これらのツールはいずれもAIモデルをDRP-AI用の実行形式に変換するツールですが、DRP-AI TVMは、オープンソースの深層学習コンパイラApache TVM(注2)の技術を活用しています。この技術により、DRP-AIとCPUの連携動作が可能になるため、従来よりも多くのAIモデルをDRP-AIでアクセラレートできるようになりました。第一弾として、ONNX形式とPyTorch形式のAIモデルをサポートしており、将来的にはTensorflow形式のAIモデルもサポート予定です。

 ルネサスのエンタープライズ・インフラ・ソリューション事業の事業部長である加藤 茂樹は次のように述べています。「日々進化するAIモデルに柔軟に追随することが課題となっています。RZ/V2MAは、新たなDRP-AI TVMツールの導入により、変換可能なAIモデルや対応AIフレームワークの拡張を実現できるため、新しいAIモデルを活用した最新の画像認識機能を組み込み機器にもたらします。」

 IoTとAIを活用したサービスを提供するアムニモ株式会社(横河電機の100%子会社)の代表取締役社長、中林千晴氏は次のように述べています。「ルネサスのRZ/Vシリーズは、AI実行時にも極めて低消費電力で発熱が少ないため、ファンやヒートシンク無しで使用できる点が組み込み機器に最適です。私たちは新製品の発売を歓迎し、どこにでも設置できる画像AIゲートウェイの実現が可能になったと確信しています。」

RZ/V2MA の主な特長

  • 最大動作周波数1GHzの64ビットArm® Cortex®- A 53を2コア搭載
  • AIアクセラレータDRP-AI(1 TOPS/Wクラス)を搭載、TinyYoloV3プログラム実行時52fps(frame per second)を実現
  • ルールベースの各種画像処理用にOpenCVアクセラレータを搭載
  • 外部カメラからの画像入力用にEthernet、USB、PCI Expressインタフェースを搭載
  • ビデオコーデック(H.265、H.264)を搭載
  • TVM技術をベースとしたAIモデルの変換ツールDRP-AI TVMは、第一弾としてONNXとPyTorchフォーマットをサポート
  • 高速メモリインタフェースとして、LPDDR4(3200Mbps)、USB3.1(最大5Gbps)、PCI Express (2レーン)を搭載
  • 15mm角のBGAパッケージを用意

RZ/V2MAを活用した「ビジョンAIゲートウェイソリューション」

 ルネサスは、複数カメラから入力された映像を、AI処理により物体検知や認識を行い、結果を効率的に無線で送信することができる「ビジョンAIゲートウェイソリューション」を開発しました。本ソリューションには、RZ/V2MAとパワーマネジメントIC、VarsaClockクロックジェネレータ、Wi-FiやBluetooth、LTE用通信モジュールなどのルネサス製品が含まれます。柔軟に選択できる通信方式や電源ブロックを含めて、あらかじめ動作検証を行っているため、AI機能付きのゲートウェイ機器を早期に開発することができます。本ソリューションは、ルネサス製品を最適に組み合わせたウィニング・コンビネーションの一環であり、ユーザの設計のリスクを低減し、市場投入までの時間を短縮します。他にも、様々なアプリケーションに向けた300種類以上のウィニング・コンビネーションを提供しています。詳しくは、こちらからご覧いただけます。https://www.renesas.com/win

RZ/V2MAの製品情報は、こちらを参照ください。
https://www.renesas.com/rzv2ma

AIエッジゲートウェイのデモンストレーションビデオは、こちらからご覧いただけます。
https://youtu.be/E3Yc-_F2m9Q (アムニモ社のYouTube)

なお、本製品は低消費電力なためシステムの省エネルギ化に貢献します。

以 上

(注1)DRP-AI TVM is powered by EdgeCortix MERATM Compiler Framework
(注2)Apache TVM の詳細は、https://tvm.apache.org を参照ください。

*Arm とArm Cortexは、Arm Limited(またはその子会社)のEUまたはその他の国における登録商標です。EdgeCortixおよびMERAは、EdgeCortix Inc.およびそのグループ会社の日本およびその他の国における商標または登録商標です。本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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