~2017年度の在庫積み上がりの反動および需要軟化の影響により、2018年度の通期の売上は対前年同期比減収。2019年度はIDT統合によるシナジーの早期創出と継続的な市況の軟化に備えた徹底的なコストおよびキャッシュの管理を推進する~
2019年2月8日
  • 2018年度第4四半期:Non-GAAPベース(1)の半導体売上高は1,838億円となり、前年同期比11.0%減収、Non-GAAPベースの売上高総利益率は40.9%となり、前年同期比7.0ポイント減少、Non-GAAPベースの営業利益(率)は212億円(11.3%)となり、前年同期比で129億円(4.9ポイント)減益。
  • 2018年度通期:Non-GAAPベースの半導体売上高は7,405億円となり、前年同期比3.3%減収、Non-GAAPベースの売上高総利益率は44.7%となり、前年同期比2.1ポイント減少、Non-GAAPベースの営業利益(率)は1,106億円(14.6%)となり、前年同期比で175億円(1.8ポイント)減益。
  • 2019年度第1四半期の見通し(IFRS基準):Non-GAAPベースの半導体売上高は1,460億円~1,540億円を見込み、Non-GAAPベースの売上高総利益率は中間値として39%を見込む。

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下、ルネサス)は本日、2018年度第4四半期(2018年10月1日~12月31日)および2018年度通期(2018年1月1日~12月31日)の業績を発表しました。ルネサスの代表取締役社長兼CEOの呉 文精は、次のように述べています。

 「通期の半導体売上(Non-GAAPベース、以下同じ)は、前年同期比3.3%減収、売上高総利益率は同2.1ポイントの減少となりました。第4四半期の半導体売上は、前年同期比11.0%減収、売上高総利益率は同7.0ポイントの減少となりました。これらは市況の軟化影響および適正な在庫水準を目指した生産数量の抑制を進めたことによるものです。

 続く2019年度第1四半期は引き続き市況の軟化を見込み、半導体売上高は前年同期比で減収、売上高総利益率につきましても、前年同期比での低下を見込みます。短期的な売上の不確実性に鑑み、徹底的なキャッシュ管理や業務効率化とR&Dの選択と集中によるコスト削減を推し進めます。また、中期的な目標に向けた成長戦略につきましては、IDT買収完了後に中期計画を更新・公表する予定です。」

四半期業績概要(億円)

Non-GAAPベース 2018年度第4四半期
(2018年10-12月)
2018年度第3四半期
(2018年7-9月)
2017年度第4四半期
(2017年10-12月)
前四半期比 前年同期比
売上高 1,877 1,802 2,102 4.2% -10.7%
半導体売上 1,838 1,756 2,064 4.7% -11.0%
売上高総利益率 40.9% 44.4% 47.9% -3.5pts -7.0pts
営業利益 212 241 341 -30 -129
営業利益率 11.3% 13.4% 16.2% -2.1pts -4.9pts
EBITDA(2) 439 468 545 -29 -106
GAAP(日本会計基準) 2018年度第4四半期
(2018年10-12月)
2018年度第3四半期
(2018年7-9月)
2017年度第4四半期
(2017年10-12月)
前四半期比 前年同期比
売上高 1,877 1,802 2,102 4.2% -10.7%
半導体売上 1,838 1,756 2,064 4.7% -11.0%
売上高総利益率 40.7% 44.1% 47.7% -3.5pts -7.0pts
営業利益 101 131 219 -30 -117
営業利益率 5.4% 7.3% 10.4% -1.9pts -5.0pts
EBITDA 424 450 526 -27 -102

通期業績概要(億円)

Non-GAAPベース 2018年度通期
(2018年1-12月)
2017年度通期
(2017年1-12月)
前年同期比
売上高 7,574 7,815 -3.1%
半導体売上 7,405 7,656 -3.3%
売上高総利益率 44.7% 46.7% -2.1pts
営業利益 1,106 1,281 -175
営業利益率 14.6% 16.4% -1.8pts
EBITDA(2) 2,006 2,028 -22
GAAP(日本会計基準) 2018年度通期
(2018年1-12月)
2017年度通期
(2017年1-12月)
前年同期比
売上高 7,574 7,803 -2.9%
半導体売上 7,405 7,644 -3.1%
売上高総利益率 44.4% 45.2% -0.8pt
営業利益 668 784 -116
営業利益率 8.8% 10.0% -1.2pts
EBITDA 1,945 1,871 +74

(1) Non-GAAPベース:非経常項目やその他特定の調整項目を控除もしくは調整した業績。企業買収に伴い、認識したのれんや無形固定資産の償却額およびその他のPPA(取得原価の配分)影響額、企業買収関連費用、株式報酬費用や当社グループが控除すべきと判断する一過性の利益や損失などを控除もしくは調整。また、IFRS移行後は、上記の定義より、のれんの償却額を除外しております。Non-GAAPベースと日本会計基準(GAAP)間の調整項目は別紙参照。

(2) EBITDA: 営業利益+減価償却費+長期前払費用償却額。日本会計基準ベースでは、のれん償却額も含む。

分野別四半期・通期半導体売上(億円)(3)

 2017年2月に買収完了したインターシル社を統合し、3事業本部体制に再編したことに伴い、ルネサスは、2017年度第2四半期から半導体売上の開示情報について、当社グループの主要な事業内容である「自動車」、「産業」、「ブロードベースド」およびこれらに属さない「その他半導体」に変更しました。

Non-GAAPベース 2018年度第4四半期
(2018年10-12月)
2018年度第3四半期
(2018年7-9月)
2017年度第4四半期
(2017年10-12月)
前四半期比 前年同期比
自動車(4) 1,045 958 1,091 9.1% -4.2%
産業(5) 431 418 542 3.1% -20.5%
ブロードベースド(6) 351 373 409 -6.0% -14.2%
その他半導体 10 7 22 52.6% -52.7%
合計 1,838 1,756 2,064 4.7% -11.0%
Non-GAAPベース 2018年度通期
(2018年1-12月)
2017年度通期
(2017年1-12月)
前年同期比
自動車(4) 3,985 4,126 -3.4%
産業(5) 1,872 1,964 -4.7%
ブロードベースド(6) 1,513 1,517 -0.2%
その他半導体 34 50 -31.3%
合計 7,405 7,656 -3.3%

(3)分野別半導体売上:2018年度に「自動車」「産業」「ブロードベースド」の区分について、「産業」の売上の一部を「ブロードベースド」に移管するなど、より事業内容に即した形に変更しました。これに伴い、2017年12月期の数値についても、2018年12月の新区分に基づく数値に遡及修正しています。

(4)自動車:「車載制御」および「車載情報」向けにマイクロコントローラ、SoC(system-on-a-chip)、アナログ半導体、パワー半導体を中心に提供。

(5)産業:「スマートファクトリー」、「スマートホーム」および「スマートインフラ」向けにマイクロコントローラおよびSoCを中心に提供。

(6)ブロードベースド:幅広い用途向けに汎用マイクロコントローラおよび汎用アナログ半導体を中心に提供。

2018年度 第4四半期の業績概要(Non-GAAPベース)

 2018年度第4四半期の連結売上高は1,877億円、前四半期比4.2%増収となり、前年同期比は10.7%減収となりました。半導体売上高は、1,838億円となり、前四半期比では4.7%増収となり、前年同期比では11.0%減収となりました。自動車向け売上は、主に流通在庫増減により、前四半期比では9.1%増収、前年同期比で4.2%減収となりました。産業向け売上は、前四半期比では3.1%増収となり、前年同期比では20.5%減収となりました。ブロードベースド向け売上は、前四半期比では6.0%減収となり、前年同期比では14.2%減収となりました。産業向けおよびブロードベースド向け売上の前年同期比減収は、中国の景気減速を背景とするFA(ファクトリーオートメーション)や家電および幅広い用途向けのブロードベースド市場での需要減がその主要因です。

 第4四半期のNon-GAAPベースの売上高総利益率は40.9%となり、当社予想比では、主に売上増、費用抑制により、0.9ポイント上回りました。前四半期比では、主に在庫水準の適正化のための生産数量の減少により3.5ポイント減となり、前年同期比では7.0ポイント減となりました。

 第4四半期のNon-GAAPベースの研究開発費(R&D)は、前四半期の304億円および前年同期の343億円に対し、301億円となりました。売上高R&D比率は16.0%となりました。

 第4四半期のNon-GAAPベースの販売費および一般管理費(SG&A)は、前四半期の255億円および前年同期の324億円に対し、256億円となりました。売上高SG&A比率は13.6%となりました。

 OPEX(R&DやSG&Aなどの事業運営に必要な費用)は、成長に向けてR&Dを投じる一方で規律あるSG&Aのコントロールを強化することで、引き続き、長期財務目標である売上高R&D比率と売上高SG&A比率の合計を30%を目途に抑制を図ってまいります。

 第4四半期のNon-GAAPベースの営業利益は212億円、営業利益率は11.3%になり、前四半期のNon-GAAPベースの営業利益241億円から30億円減益となり、営業利益率は、SG&Aの抑制を図るものの生産数量の抑制により13.4%から2.1ポイント減少しました。前年同期比では、主に売上減や生産数量の抑制により、129億円(4.9ポイント)減少しました。

 第4四半期のNon-GAAPベースの親会社株主に帰属する四半期純利益は、174億円となりました。
なお、第4四半期のNon-GAAPベースの一株当たりの純利益は10.4円となりました。

 棚卸資産は第4四半期末で1,180億円となり、前四半期 の1,415億円から235億円減少しました。

 第4四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは、600億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは132億円の支出となり、その結果、フリー・キャッシュ・フローは468億円となりました。

 第4四半期の有形固定資産(生産設備)および無形固定資産の設備投資額は、44億円となりました。これは、これら資産への投資決定ベースの金額であり、キャッシュ・フロー計算書に記載の現金支出とは一致しません。

 自己資本比率は、2018年9月30日時点の53.7%に対し、2018年12月31日時点では54.1%となりました。D/Eレシオ(グロス)は、2018年12月31日時点で0.37倍となりました。

2018年度 通期の業績概要(Non-GAAPベース)

 2018年度通期の連結売上高は7,574億円、前年同期比は3.1%減収となりました。うち半導体売上高は、7,405億円となり、前年同期比で3.3%の減収となりました。自動車向け売上は、欧州排ガス規制での生産減や中国販売減により下期に減速したものの海外顧客向けが好調でした。一方で、前年にあった日系顧客向けの流通在庫積み増しの反動により、前年同期比で3.4%減収となりました。主に中国の景気減速を背景とするFA(ファクトリーオートメーション)や家電および幅広い用途向けのブロードベースド市場での需要減により、産業向け売上は、前年同期比で4.7%減収、ブロードベースド向け売上は前年同期比で0.2%減収となりました。

 2018年度通期のNon-GAAPベースの売上高総利益率は44.7%となり、前年同期比では主に減収や生産数量の抑制により2.1ポイント減となりました。

 2018年度通期のNon-GAAPベースの研究開発費(R&D)は、前年同期の1,258億円に対し、1,229億円となりました。売上高R&D比率は16.2%となりました。

 2018年度通期のNon-GAAPベースの販売費および一般管理費(SG&A)は、前年同期の1,115億円に対し、1,050億円となりました。売上高SG&A比率は13.9%となりました。

 OPEX(R&DやSG&Aなどの事業運営に必要な費用)は、成長に向けてR&Dに投じる一方で規律あるSG&Aのコントロールを継続しています。

 2018年度通期のNon-GAAPベースの営業利益(率)は1,106億円(14.6%)になり、前年同期のNon-GAAPベースの営業利益(率)1,281億円(16.4%)から175億円(1.8ポイント)減少しました。規律あるOPEX運営を継続したものの、売上総利益率の低下などにより減益となりました。

 2018年度通期のNon-GAAPベースの親会社株主に帰属する純利益は、923億円となりました。
なお、2018年度通期のNon-GAAPベースの一株当たりの純利益は55.4円となりました。

 2018年度通期の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,642億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは613億円の支出となり、その結果、フリー・キャッシュ・フローは1,028億円となりました。

 2018年度通期の有形固定資産(生産設備)および無形固定資産の設備投資額は、176億円となりました。これは、これら資産への投資決定ベースの金額であり、キャッシュ・フロー計算書に記載の現金支出とは一致しません。

2019年度 第1四半期の見通し

 2018年12月期の有価証券報告書における連結財務諸表より、国際財務報告基準(IFRS)を任意適用することを決定しております。さらに、2019年12月期第1四半期の業績予想については、業績予想の開示方法をレンジ形式に変更することに加え、当社グループの恒常的な経営成績の理解を促進する有用な情報を提供するために、財務会計上の数値(GAAP)から企業買収などに関係した非経常項目やその他一過性の利益や損失を特定の調整項目として控除もしくは調整した「Non-GAAPベース」にて売上高・半導体売上高・売上高総利益率・売上高営業利益率を開示することといたしました。このため、日本基準を適用していた2018年12月期第1四半期並びに第4四半期の実績値に対する増減率は記載しておりません。

 Non-GAAPベースの半導体売上高については、2019年度第1四半期は、1,460億円~1,540億円を見込みます。

 Non-GAAPベースの売上高総利益率、売上高営業利益率については、中間値のみの開示とし、それぞれ39%、4.5%を見込みます。

 為替前提については、第1四半期は、1米ドル109円、1ユーロ124円としています。

 なお、日本会計基準での前四半期比・前年同期比につきましては、当社ウェブサイトに掲載のプレゼンテーション資料(1.07MB)のP19をご参照ください。

以 上

(ご参考)

連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書については、本日発表の「2018年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(708KB)」をご参照ください。

Japan GAAP(日本会計基準)とNon-GAAP間の調整項目については別紙(294KB)をご参照ください。

全文PDF: ルネサス、2018年度 通期の業績を発表(487KB)

(将来予測に関する注意)

本資料に記載されているルネサス エレクトロニクスグループの計画、戦略および業績見通しは、現時点で入手可能な情報に基づきルネサス エレクトロニクスグループが判断しており、潜在的なリスクや不確実性が含まれております。そのため、実際の業績等は、様々な要因により、これら見通し等とは大きく異なる結果となりうることをあらかじめご承知願います。実際の業績等に影響を与えうる重要な要因としては、(1)ルネサス エレクトロニクスグループの事業領域を取り巻く日本、北米、アジア、欧州等の経済情勢、(2)市場におけるルネサス エレクトロニクスのグループ製品、サービスに対する需要動向や競争激化による価格下落圧力、(3)激しい競争にさらされた市場においてルネサス エレクトロニクスグループが引き続き顧客に受け入れられる製品、サービスを供給し続けていくことができる能力、(4)為替レート(特に米ドルと円との為替レート)の変動等がありますが、これら以外にも様々な要因がありえます。また、世界経済の悪化、世界の金融情勢の悪化、国内外の株式市場の低迷等により、実際の業績等が当初の見通しと異なる結果となる可能性もあります。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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