~第一弾として、国内920MHz向けをリリース、世界で初めて2系統のアドレスの自動判別機能付きで、通信制御を容易に~
2015年11月17日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:遠藤 隆雄、以下ルネサス)は、世界で初めて2系統の通信アドレスを自動で判別可能な機能を搭載し、HEMS機器やスマートメータの開発期間短縮に貢献するWi-SUN対応機器向けサブギガ帯無線通信ソリューションを発売します。本ソリューションは、HEMS機器に必要となるスマートメータとの通信、および家庭内機器との通信の2系統に1チップで対応可能な1)無線通信LSI「RAA604S00」を核として、2)本無線通信LSI「RAA604S00」と高性能な32ビットマイコン「RX63N」との組み合わせによるWi-SUN無線ソリューション、3)「RAA604S00」内蔵の低消費電力16ビットマイコン「RL78/G1H」によるWi-SUN無線ソリューションを提供します。開発環境として、評価ボード(テセラ・テクノロジー社製)と通信制御ソフトウェア(ルネサス製)を用意しており、このたび、「RX63N」を搭載した評価ボードと通信制御ソフトウェアが、Wi-SUNアライアンス (注1)が策定するHAN(Home Area Network:家庭内ネットワーク)認証用標準器 (注2)に世界で初めて採用されました。本ソリューションを使用することにより、ユーザはすべての第三者製品との相互接続性を確保できるため、早期に、また確実にWi-SUN規格準拠のHEMS機器を開発することが可能となります。

 Wi-SUN対応の無線通信LSI「RAA604S00」は、9月 からサンプル出荷を開始し、サンプル価格は250円(税別)で、量産は2016年1月を予定しています。Wi-SUN対応低消費電力16ビットマイコン 「RL78/G1H」は、同様に9月からサンプル出荷を開始し、サンプル価格は620円(税別)で、量産は2016年4月を予定しています。32ビットマ イコンの「RX63N」は発売済であり、開発環境としての評価ボードはテセラ・テクノロジー社から発売済み、また通信ソフトウェアはルネサスから試用版の リリースを開始しており、2015年12月から正規版を発売します。

 日本では、2016年4月の電力小売の自由化開始に向けて、家庭内のエネルギー管理を行うHEMS(Home Energy Management System)機器の普及が期待されています。日本では電力会社がスマートメータ用にWi-SUN通信規格を採用したことをきっかけに、①電力メータと HEMS機器、及び②HEMS機器とHAN(家庭内ネットワーク)の通信規格として、Wi-SUNアライアンスが策定した920MHz帯の「Wi- SUN」規格の採用が進んでいます。ルネサスのWi-SUN無線ソリューションは世界で初めてWi-SUNのHAN認証を取得し、さらに無線通信LSI 「RAA604S00」と「RX63N」を搭載した評価ボードおよび通信制御ソフトウェアは相互接続試験の標準器に指定されました。

 また、HEMS機器は、この2系統の通信機能制御のために、2つの通信制御システムが必要のため、従来は全ての制御をソフトウェアで処理していました。この 場合、周囲の通信機器が増加した場合に、アドレス判別の為にソフトウェア処理の負荷が増大してしまうという課題がありました。そこで、ルネサスは2系統の 通信アドレスを自動で判別する機能を世界で初めて内蔵しました。本機能により、周囲に通信機器が増加しても、遅延なく確実に2系統の通信アドレスを判別で きます。その結果、ソフトウェア処理負荷の軽減を実現でき、誤受信等のシステムの不安定化を回避できます。

 新製品となるWi-SUN対応の無線通信LSI「RAA604S00」と、「RAA604S00」内蔵のWi-SUN対応マイコンの「RL78/G1H」 は、無線通信部の設定を変更することにより、周波数帯の異なる欧州、米国、ASEANの各地域のサブギガ帯無線通信に対応できます。

 本ソリューションの特長は以下のとおりです。

(1) ルネサスの無線ソリューションが世界で初めてWi-SUN規格HAN認証用標準器に採用

 Wi-SUN対応無線通信LSI「RAA604S00」と「RX63N」を搭載した評価ボードおよび通信制御ソフトウェアがWi-SUN規格HAN認証用 の相互接続試験の標準器に採用。本ソリューションを採用することにより、すべての第三者製品との相互接続性の確保が可能となることから、ユーザ製品の認証が容易となり、開発期間の短縮に貢献。

(2) 世界初、2系統の通信アドレスを自動判別する機能を搭載、開発期間の短縮や通信の安定化に貢献

 Wi-SUN対応無線通信用LSI「RAA604S00」は、2系統の通信アドレスを自動で判別する機能を1チップに内蔵したことにより、ソフトウェアに よる判別処理の必要がなく、開発の負荷を軽減。また、今後サブギガ帯無線通信機器が増加し、通信が混雑した通信状況下でも、遅滞なく判別できることから、 システムの不安定化を回避可能。さらに、Wi-SUN通信の受信電流は6.1mA、待ち受け時電流は5.8mA (typ. Vcc=3.3V)の低消費電力のため、バッテリを利用した製品の電池寿命の長期化、電池容量の小型化に貢献。

(3) Wi-SUN通信LSIと32ビットマイコン「RX63N」を組み合わせるタイプ、およびWi-SUN内蔵の16ビットマイコン「RL78/G1H」の2つのソリューションを用意

 Wi-SUN対応の無線通信用LSI「RAA604S00」と32ビットマイコン「RX63N」とを組み合わせた高機能ソリューション、Wi-SUN通信機能を内蔵した低消費電力16ビットマイコン「RL78/G1H」を使用する2つのソリューションを用意。「RX63N」と組み合わせたソリューションは、標準通信規格であるWi-SUNアライアンス国際無線通信規格「Wi-SUN Profile for ECHONET Lite(注3)」のHAN (家庭内ネットワーク)向けのプロファイル認証と、HEMSコントローラとスマートメータ間向けのプロファイル認証の両方を取得済み。PHY層、MAC層、ネットワーク層(6LoWPAN、IPv6)、セキュリティ認証(PANA)を実現しているため、ECHONET Liteに対応するシステムを早期に実現可能。また、「RL78/G1H」を使用するソリューションについても、2016年1月までに認証を取得する予定。開発環境として、32ビットマイコン「RX63N」に無線通信用LSI「RAA604S00」を外付けした評価ボード、16ビットマイコン「RL78/G1H」用評価ボードを、テセラ・テクノロジー社から提供。これにルネサスが提供する通信ソフトウェアを組み合わせることで、認証取得や開発期間の短縮が可能。

 ルネサスは、本サブギガ帯無線通信ソリューション以外にも、BLE(Bluetooth® Low Energy)ソリューションなど、短距離無線通信ソリューションの強化に取り組んでいます。さらに、メータやHEMS機器向けには、PLC(Power Line Communication、電力線通信)にも積極的に取り組んでいます。ルネサスは今後とも通信分野において、ソリューションを拡充してまいります。

以 上

新製品の主な仕様は別紙(121KB)をご参照ください。

Wi-SUN無線ソリューションの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/solutions/proposal/subghz.htmlをご覧ください。

(注1)Wi-SUNアライアンスとは、サブギガ帯(日本では920MHz帯)を使用する無線通信規格を策定する国際的な業界団体。その規格は物理層(PHY層)にIEEE802.15.4g規格を利用した相互接続を有した規格で、スマートメータとHEMS(Home Energy Management System)を中心に、いわゆるスマートハウスにおける通信手段として利用が広がっている。

(注2)HAN認証用標準器とは、相互接続試験を行う際に使用するための、Wi-SUNアライアンスが認定した機器。つまり、Wi-SUN認証規格に準拠するには、すべてのメーカが、ルネサスの無線ソリューションとの接続試験を行う必要がある。

(注3)「Wi-SUN Profile for ECHONET Lite」とはIEEE802.15.4g規格をベースにWi-SUNアライアンスが規格化したECHONET Lite用無線通信仕様のこと。

*Wi-SUN is a registered trademark of Wi-SUN Alliance, Inc., Renesas is licensed to use this trademark.

*Bluetooth®は米国Bluetooth SIG, Inc.の登録商標です。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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