~エアコン普及機モデルに最適化。IH調理器やモータ用に加え第7世代IGBTのコア技術を展開~
2015年11月16日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:遠藤 隆雄、以下ルネサス)は、エアコンのPFC (Power Factor Correction:力率改善回路) 向けのパワー半導体として、電力効率向上に貢献する第7世代IGBT (Insulated Gate Bipolar Transistor) 技術を用いことにより、業界最小レベルの電力損失を実現する、新製品「RJP65T54DPM-E0」を発売します。新製品は特に、エアコン普及機モデルに広く用いられている部分スイッチング方式 (注1) のPFC用途に最適化したことにより、電力損失の指標であるVce(sat)を1.35Vまで低減しました。この業界最小レベルの低損失性能により、エアコンの電力効率の向上に貢献します。サンプル出荷を本日より開始し、サンプル価格は300円/個 (税別) です。量産は2016年3月より開始し、2017年3月には月産30万個を計画しております。

 なお、本新製品の発売により、電力損失が極めて少ないルネサスの第7世代IGBTは、エアコンのほか、すでに発売しているIH調理器やモータ・インバータなど、各用途に最適化した製品群を展開しており、用途に応じて選択可能です。

 現在、エアコン機器には、トップランナー方式に代表されるように厳 しい省エネ規制が設けられています。さらに周辺機器へのノイズの影響の低減、および電力の有効活用を目的に、厳しい高調波規制も設けられており、高調波規 制に対しては、 PFC回路で高調波を抑制しています。PFC回路では高電圧・大電流のスイッチングが必要なためIGBTが使用されますが、部分スイッチング方式のPFC では、損失の大半をIGBTの電力損失が占めるため、電力損失の少ないIGBTが必要となります。

 ルネサスは、この部分スイッチ方式の分野で多数の実績を誇り、これまでに蓄積した低損失IGBTの設計ノウハウ、および高効率化を図れる薄ウエハの技術を使 用して、第7世代IGBTを開発しました。この技術を、エアコンに用いられるPFC回路のアプリケーション要求に最適化したことにより、新製品 「RJP65T54DPM-E0」は、1)業界最小レベルの電力損失を実現しました。これにより、PFC回路の電力損失を大幅に削減することが可能とな り、エアコンの電力効率を向上します。また、2)低放射ノイズ特性を実現し、通常必要なノイズ低減フィルタなどの簡素化も可能です。さらに、3)絶縁型で かつ放熱効率が高いパッケージ(TO-3PF) を採用しており、従来必要であった放熱シートを削減することにより、システムコストの低減にも貢献します。

 本製品の主な特長は以下のとおりです。

(1) エアコンの部分スイッチング方式のPFCに最適な、業界最小レベルの電力損失

 低損失IGBTの設計ノウハウ、および高効率化を図れる薄ウエハの技術を使用した第7世代IGBTの技術をベースに、エアコンのPFC回路に最適化したこ とにより、低飽和電圧Vce(sat)は1.35Vと業界最小レベルの低損失を実現。従来、部分スイッチング方式PFCでは、PFC回路の電力損失の大半 をIGBTの電力損失が占めていましましたが、新製品によりPFC回路の電力損失を大幅に削減可能。

(2) スイッチング時の低放射ノイズ特性を実現

 スイッチング時に発生するノイズが少なく、スイッチング時のEMI(Electro-Magnetic Interference:電磁妨害)の抑制に貢献。また、通常必要なノイズ低減フィルタなどの簡素化も可能。

(3) 絶縁型で放熱効率の優れるTO-3PFパッケージを採用

 絶縁型フルモールドパッケージを採用することで、使用するヒートシンクとの間の絶縁シートが不要になり、絶縁信頼性向上とセットの組立てが容易。また、本製品は高温動作における市場ニーズに答えて、高温な175℃にも対応。

 今回の部分スイッチング方式PFC用途以外にも、フルスイッチング 方式PFCと呼ばれる力率改善回路向けに当社の第7世代IGBT技術を用いた製品を3製品 (RJP65T43DPM-00、RJH65T46DPQ-A0、 RJH65T47DPQ-A0) 展開済みです。

 さらに、ルネサスは、IH調理器や、モータ・インバータ用等の各種アプリケーションに最適化したIGBTを製品展開しており、さらにマイコンと組み合わせた各種ソリューションも合わせて提供していきます。

 ルネサスは、IGBTを家電および産業用途の重要部品と位置づけており、今後も新製品を積極的に開発してまいります。

 詳しい仕様は 別紙(103KB) のとおりです。

以 上

(注1)部分スイッチング方式とは、IGBTを一定期間オンさせて入力インダクタンスに強制的に電流を流すことで力率を改善させるPFCの一方式。

*本リリース中の製品名やサービス名は 全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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