~電池残量の計測機能と充電機能を1チップに内蔵し、電池特性に応じた充電制御を実現~
2015年7月23日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:遠藤 隆雄、以下ルネサス)は、主にタブレットPCやノートPC向け1~3セルに対応したリチウムイオン電池管理IC「RAJ240500」を開発し、本日よりサンプル出荷を開始します。
 新製品は、高精度な電池残量計と充電機能を1チップに搭載し、様々な電池特性(注1)に応じた最適な充放電制御を行うことができます。そのため1回ごとの電池の使用時間を延ばし、電池の経年劣化を低減して電池を長寿命化できます。また、電池の異常状態を瞬時に検知する保護回路を内蔵しているため、高い安全性を確保します。

 新製品のサンプル価格は1,000円/個(税別)です。2015年10月から量産を開始、2016年10月には月産1,000万個の出荷を計画しております。

 タブレットPCやノートPCなどのモバイル機器では、機器の機能やデザインと同様に電池の使用時間が購入する決め手となっています。しかし従来は残量を残したまま「バッテリー残量0%」、または満充電ではないのに「充電100%」として制御して、本来電池が持っている容量を使い切れない場合がありました。

 またリチウムイオン電池は充放電を繰り返しているうちに、使用材料が劣化して残量が減っていく性質を持っています。容量を余らせた状態で制御を繰り返すうちに、充放電のサイクル寿命も短くなり電池の寿命が尽きてしまう場合があります。

 今回ルネサスは、モバイル機器向けの電池残量計ICと充電ICで培った技術を統合し、1チップ化した新製品を開発しました。この新しい電池管理ICは高精度に電池残量を計測し、きめ細かな充放電制御を可能にしました。そのため電池への負荷が軽減され、電池の長持ちや長寿命化を実現します。また本製品を使った開発を円滑にするため、サンプルコードおよび評価ツール、参考回路図を含めたソリューションとして提供いたします。

 新製品の主な特長は以下の通りです。

(1) 電池特性に応じた最適な充電制御により、1回ごとの使用時間を延ばし、電池の長寿命化が可能

 電池残量計測機能と充電機能を1チップ化したことにより、電池残量に合わせたきめ細かい充電制御が可能です。電池容量を最大限使用し、1回ごとの使用時間を延ばすことができます。また電池の充放電特性を活かした充電制御により、電池の劣化速度を抑制し長寿命化を実現します。

(2) 電池異常状態を検出し、電池を保護することにより、高い安全性を確保したシステムを実現

 電池残量計測機能と充電機能が一体のため、充電異常状態になった際に瞬時に電池を保護することが可能です。さらに大電流によるアダプタの損傷や発火を事前に抑制し、高い安全性を確保することができます。

(3) 電池管理機能を1チップ化したことにより、設計負担の軽減および小型化、システムコストダウンに貢献

 タブレットPCやノートPC向けの高効率電源アーキテクチャであるNVDC (Narrow VDC) (注2)に対応し、従来のシステムと比較して部品点数を約20%削減。部品点数削減により設計工数を低減し、コストダウンにも貢献します。

(4) フラッシュメモリを内蔵したことにより、セット、充電仕様の変更に柔軟に対応

 充電用ファームウェアや設定値をフラッシュメモリに格納し、システム仕様の変更、電池制御パラメータの変更に柔軟に対応可能です。また量産後の製造工程での、ファームウェアの変更も可能です。モデルごとの設定値をフラッシュメモリに格納し、容易にモデル展開できます。

(5) 電池残量に応じてセットの性能を最大化する高度なシステム制御技術 (DBPT)に対応

 電池残量や特性に応じた高度なシステム制御技術 (Dynamic Battery Power Technology:DBPT)(注3)に対応。この技術を活用することで、電池残量に応じた上限までセットの性能を向上させることができます。

 ルネサスは長年PCやコンパクトデジタルスチルカメラの分野で、電池残量管理ICの技術を培ってきました。この技術を応用し、タブレットPCやノートPC等のモバイル機器市場に新製品「RAJ240500」を投入します。今後も、この新しい市場に向けて積極的な拡販活動および製品投入を計画しております。

 新製品の主な仕様は別紙(135KB)をご参照ください。

 RAJ240500の製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/power-management/battery-management-systems.htmlをご覧ください。

以 上

(注1)電池特性とは、電池の容量や充放電特性、劣化度合いなどを意味します。

(注2)Narrow VDC (NVDC)とは、インテル株式会社が提案している、高効率な電源アーキテクチャです。システム負荷の入力電圧範囲を制限することで、システムの電源効率を向上することを目的としています。

(注3)Dynamic Battery Power Technology(DBPT)とは、インテル株式会社が提案している高度なシステム制御技術です。この技術は電池残量や特性などの情報を活用し、システムパフォーマンスを最大化します。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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