~Auto PFM、バッテリバックアップなど新機能内蔵により、マイコン、SoCの電源設計の手間を更に削減~
2014年8月19日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、このたび、産業、OA、民生、ネットワーク、スマートグリッド等の分野に向けて待機時に更なる省電力化が必要なシステムや、停電時にバックアップが必要なシステム向けに、低消費電力モードやバッテリバックアップ機能を内蔵しDC12Vからの降圧に対応した電源ICを製品化しました。

 当社ではマイコン、SoC等とトータルでシステムの低消費電力化、小型化をより簡単に実現頂けるように電源設計工数を軽減できる、複数電源系統を容易に制御できるといった特長を有する電源ICを「かんたん電源IC」の愛称で製品化しております。

 新製品はDC/DCコンバータの出力数/出力電圧の違いとバッテリバックアップ機能内蔵の有無により「RAA23012Xシリーズ」、「RAA23013Xシリーズ」、「RAA23022Xシリーズ」、「RAA23023Xシリーズ」の4シリーズ各3品種の計12品種で本日よりサンプル出荷を開始いたします。

 新製品は、(1) システムが待機時に省電力モードに入った際、独自の新規技術「Auto PFMモード」による低消費電力モードにより、DC/DCコンバータ1チャネルあたり僅か100μAまで自動的に消費電流を抑えられるため、待機時から通常動作時までの広い電流領域で高効率を実現できる、(2) システムの入力電源が遮断された際、新規に内蔵したバッテリバックアップ機能により従来必要とされたダイオード2個を削減できるため、システムの構築コスト20%削減および小型化に貢献できる(RAA23012XシリーズとRAA23022Xシリーズのみ)、(3) 2つのDC/DCコンバータの1パッケージ化により電源部の部品点数を半減できるため、システムの構築コスト25%低減や小型化に貢献できる(RAA23022XシリーズとRAA23023Xシリーズのみ)等の特長を有しております。

 新製品のパッケージは、高放熱タイプのHTSSOP20ピン、HTTSOP16ピン、HLSOP8ピンパッケージを採用しており、パッケージ裏面の大半を占めるダイパッドにより、放熱性の高い実装が可能です。

 サンプル価格はRAA23012Xシリーズが85円、RAA23013Xシリーズが65円、RAA23022Xシリーズが140円、RAA23023Xシリーズが120円となっております。新製品の量産は本年10月から開始し、2015年4月には月産150万個を生産する計画です。

 近年、システムの省電力化や小型化に伴い、その電源部にも低消費電力化や小型化が求められています。低消費電力対策の一般的な手法はマイコンの待機時に必要な機能のみを動作させる低消費電力モードを内蔵することですが、マイコンと異なり電源部ではそのような対応が行われることはあまりみられません。

 小型化に向けては、停電時でも電源供給する必要のあるSRAMやサブマイコン等のデバイスに対して一般的にダイオード2個でバッテリバックアップ回路を構成するため小型化が図りにくく、また、2種類以上の電圧が必要なシステムでは複数の単出力の電源ICや電子部品を用いて構成する場合が多いため小型化が困難、という課題がありました。

 本日よりサンプル出荷を開始する製品は、2012年10月より市場投入を開始した、DC5Vからの降圧に対応する「RAA23021Xシリーズ」(2チャネル出力)、「RAA23040Xシリーズ」(4チャネル出力)に続く第2弾製品となります。

 新製品の主な特長は以下のとおりです。

(1) Auto PFMモード機能内蔵により、待機時の大幅な低消費電力化を実現

 このたび新規に開発した、自己の消費電流を100μAに低減するAuto PFMモード機能を内蔵しているため、従来のDC/DCコンバータで構成した場合と比べ、消費電力削減が可能。このため、マイコン、SoC等とシステムトータルでの待機時消費電力を低減できる。例えば当社マイコン「RX630」のディープソフトウェアスタンバイモード時に新製品が低消費電力モードで動作した場合、システム全体の消費電力を60%以上削減可能となる。

(2) バッテリバックアップ機能内蔵により、システム構築の低コスト化、小型化に貢献(RAA23012XシリーズとRAA23022Xシリーズのみ)

 システムの電源が遮断された際、常時電源印加する必要のあるデバイスの電源をDC/DC出力からバッテリに切り替えるバッテリバックアップ回路を内蔵しているため、従来電流保持目的で使用されるダイオード2個を削減できる。また、当社マイコン「RL78/G1Xシリーズ」やSRAMのバックアップ回路構成例および動作事例を当社社外WEBより無償で公開する(9月末予定)。これにより、ユーザーの開発効率の大幅向上に貢献する。

(3) DC/DCコンバータの1パッケージ化等によりシステムの低コスト化や小型化に貢献(RAA23022XシリーズとRAA23023Xシリーズのみ)

 新製品は、出力パワーMOSFET、位相補償部品、負荷容量の放電用回路を1パッケージ化している。特にRAA23022xシリーズ、RAA23023xシリーズは2つのDC/DCコンバータを1パッケージ化しており、これにより電源IC周辺の部品点数を当社比で半減できるため、システムの大幅なコスト低減、小型化を図れる。

 ルネサスは、電源を含めたシステム全体の開発支援のため、新製品単体の評価ボードだけでなく当社マイコンやSoCならびに新製品を搭載した評価ボードの提供の他、回路図、推奨部品、ボードパターン等情報を本日より当社社外WEBで順次公開する。これにより、マイコンやSoCと本製品を組み合わせた事前評価や、ボードパターン等の情報を簡単にWEBから入手可能なため、大幅にユーザーの評価・開発期間の短縮に貢献する。

 ルネサスは現在、DC24Vからの降圧に対応する「RAA23014Xシリーズ」(1チャネル出力、バッテリバックアップ機能内蔵)、「RAA23015Xシリーズ」(1チャネル出力)を開発中です。

 量産中である5V降圧品の主な市場は日本向けスマートメータや産業用制御装置等ですが、新製品の12V降圧品は欧州やシンガポールに向けたスマートメータ、複合機、POSシステムのハンディターミナル等、24V降圧品は監視カメラ、アミューズメント機器、家電等をターゲット市場と見込んでおり、当社はこれらの市場に向けて電源ソリューションを展開する計画です。

 新製品のバッテリバックアップ回路構成例、新製品を搭載した評価ボード、回路図、推奨部品、ボードパターン等の情報は以下URLからご覧になれます。
http://japan.renesas.com/kantan

 また新製品の主な仕様は、 別紙をご参照ください。

 なおルネサスは、本年9月2日にザ・プリンス パークタワー東京(東京都港区)で開催するプライベート展「Renesas DevCon Japan 2014」で、新製品をご紹介する予定です。

 同プライベート展は、当社が国内では初めて開催するもので、ルネサス幹部による基調講演およびルネサスの最新技術をご紹介するソリューションセミナー/ソリューション展示/ワークショップで構成されています。以下のWebページで事前登録の上、ご来場いただけます。
http://www.renesas.com/ja/about/events/2014/devcon-jpn/report.html

以 上

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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