~USBやBluetooth対応カーオーディオ等のシステムコスト低減や小型化に貢献~
2011年9月8日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)は、このたび、カーオーディオやホームオーディオ、および産業機器等向けに、システムコスト低減や基板面積の小型化に貢献する32ビットマイコンSuperHの「SH726A」、「SH726B」(合計6品種)を製品化し、本日よりサンプル出荷を開始します。

 「SH726A」、「SH726B」は、大容量SRAMを内蔵する「SH7260シリーズ」の新製品です。従来製品に対し、(1)外付けフラッシュメモリとして、接続のピン数を低減できるシリアルタイプ(クワッドSPIフラッシュROM)に接続し、直接プログラムを実行可能な機能を追加、および、システム制御、データ処理用に機能を最適化したことにより、パッケージのピン数を低減。これによりシステムの低コスト化に貢献、(2)従来比1.5倍となる216MHz の高速動作により、Bluetooth(注1)などの負荷が大きなシステム、オーディオシステムでの音場処理の実現が可能となります。

 新製品のサンプル価格は、1個あたり「SH726A」が1,400円から、「SH726B」が1,600円からとなっており、量産は2012年5月から開始し、2製品合計で月産100万個を計画しております。

背景

 大容量SRAM内蔵「SH7260」シリーズは、カーオーディオやホームオーディオ、産業機器などの組み込み機器向けに幅広く採用されています。特にカーオーディオ市場においては、近年、新興国を中心に急速に市場が拡大しており、コスト競争力のある製品が求められています。一方、携帯型オーディオやUSBストレージなど多様なポータブルデバイスとの複数接続や、安全性重視の観点からBluetoothを用いた携帯電話のハンズフリー通話など、多様な機能が要求されており、システムの低コスト化、コネクティビティ強化などの高機能化が求められています。

 このようなニーズに対応するため、「SH726A」および「SH726B」はシステムコスト低減を可能にする1チップソリューションを製品化したものです。

特長

 新製品の主な特長は以下の通りです。

(1)パッケージの少ピン化、小型化によりシステムコストを低減

外付けフラッシュメモリとして、接続のピン数を低減できるクワッドSPIフラッシュROM(シリアルタイプ)と接続し、直接クワッドSPIフラッシュROM上のプログラムを実行可能なバスコントローラを新たに搭載。これにより、従来のパラレルNORフラッシュROMと接続する場合と比べ、リードキャッシュの搭載により同等のアクセス速度を有しながら、接続用のピン数を大幅に削減可能となりました(注2)。加えて、内蔵する機能をシステム制御、データ処理に特化することで、「SH7260シリーズ」では最小のピン数(SH726A/120pin)を実現しました。

「SH726A」ではパッケージサイズ14mm × 14mm/0.4mmピッチ品も用意しており、システムの基板実装面積の低減、および低コスト化に貢献します。

(2)高速動作等によりシステム拡張性を強化

デジタルオーディオ信号処理等の高速化を実現するため、CPUの最大動作周波数をオーディオ製品では業界最高レベルの216MHz(従来の「SH7266」から1.5倍)に高速化。これにより音楽再生(圧縮オーディオのデコード処理)に加えて、Bluetoothでのハンズフリー電話用のノイズ除去処理(エコーキャンセル/ノイズ抑制)、音場処理などの負荷が大きな機能を実現可能です。

また、「SH726B」ではUSB(Full-Speed)を2チャンネル内蔵しており、携帯型オーディオやUSBストレージなど多様化しているUSB機器の複数接続も対応可能です。

(3)開発工数の短縮

「SH7260」シリーズで量産実績のあるデジタルオーディオ向けミドルウェアを下記の通りサポートしており、ユーザの開発工数短縮に貢献します。

  • MP3, WMA, AAC等のデータをデコードするミドルウェア
  • USB, SDなどのデバイスドライバ
  • CD-ROM用のISO9660ファイルシステムやUSB/SDメモリ用のFATファイルシステム等のミドルウェア なお、これらのドライバやミドルウェアを組み合わせたデジタルオーディオ用途ソフトウェア開発キット(SDK)の提供も可能であり、システム開発工数の短縮が図れます。

なお、これらのドライバやミドルウェアを組み合わせたデジタルオーディオ用途ソフトウェア開発キット(SDK)の提供も可能であり、システム開発工数の短縮が図れます。

 新製品は、CAN(注3)インタフェースの内蔵有無の組み合わせにより、「SH726A」で4品種、「SH726B」で2品種、合計6品種を揃えています。さらに、各品種には産業用途向け、カーアクセサリー用途向けの製品があり合計12型名をラインアップしているため、機器の仕様により適したマイコンを選択可能です。なお、動作周囲温度はすべて-40~+85℃です。

 またパッケージは、「SH726A」は120ピンQFP(0.5mmピッチと0.4mmピッチ)、「SH726B」は144ピンQFP(0.5mmピッチ)の鉛フリーパッケージを採用しています。

 今後、「SH7260」シリーズ」で展開してきた大容量RAM内蔵製品の展開を継続し、引き続き市場ニーズにタイムリーに対応していきます。

新製品の仕様は、別紙をご参照下さい。

以 上

(注1) Bluetooth:携帯情報機器などの機器間接続に使われる短距離無線通信技術。パソコンのマウスやキーボードの無線接続などに使われている。

(注2) 外付けクワッドSPIフラッシュROM(接続信号線;6本)上にあるプログラムを、内蔵SRAMに転送することなく直接実行可能なバスコントローラを新たに搭載いたしました。パラレルNORフラッシュROM(32MB/16ビットバスの場合で接続信号線;43本)を使用する場合と比べ、リードキャッシュの搭載により同等のアクセス速度を有しながら、使用するピン数を大幅削減が可能になりました。

(注3) CAN(Controller Area Network):独Robert Bosch GmbHが提唱している車載用のネットワーク仕様。

*SuperH™は、ルネサス エレクトロニクス株式会社の商標です。Bluetooth、Bluetoothのワードマークは、Bluetooth SIG, Inc.が所有する商標です。

その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

この記事をシェアする