2010年12月8日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、本社:東京都千代田区、以下ルネサス)と米国の有力なソフトウェア開発企業Green Hills Software, Inc(社長:ダン・オダウド、本社:米国カリフォルニア州、以下GHS)はこのたび、リアルタイム制御に適したCPU仮想化技術に対応する基本ソフトウェアおよびソフトウェア開発環境の共同開発に合意いたしました。

 この共同開発により、ルネサスは、多様な制御処理をリアルタイムで高速に実行する仮想化ソフトウェアの効率的な動作およびソフトウェア開発環境のユーザビリティ向上に必要な付加機能の開発を行い、V850をCPUとするマイコンへ導入します。またGHSは、既存のV850対応のコンパイラ、デバッガなどを含む統合開発環境「MULTIR(マルチ)」を、複数のアプリケーションを独立かつ同時に同一のCPU上で動作させることができる同社製のリアルタイムOS「INTEGRITYR(インテグリティ)」などの仮想化対応ソフトウェアに対応させる移植を行います。

 今回開発するソフトウェア開発環境では、V850が導入する仮想化技術に最適化されたコンパクトかつ高速実行可能な命令コードの生成、およびIEC 61508(注)などの規格準拠で実績のあるINTEGRITYをはじめとする仮想化ソフトウェアとの組み合わせにより、機能安全に必要なシステム/ソフトウェアの開発手法および機能安全を満足するシステムの実現手法を効率良くサポートします。また、将来的にはISO26262機能安全規格対応など、セキュリティをサポートする機能への取り組みも行っていく予定です。

 ルネサスは、産業機器や車載システムなどリアルタイム制御が重視される分野において多様な制御処理を高速かつ複合的に実行するため、ひとつのCPUで複数のシステム制御を相互干渉なく実行可能な仮想化技術をV850向けに開発しております。
 一方GHSは、仮想化ソフトウェアを含む基本ソフトウェアやソフトウェア開発環境を提供しており、仮想化環境での設計容易化に貢献しています。

 このような状況のもと、ルネサスは、仮想化技術を効率よく利用するためには基本ソフトウェアを含むソフトウェア開発環境の充実が重要と考え、仮想化ソフトウェアおよびソフトウェア開発環境開発企業として著名であり、1994年以来、V850のソフトウェア開発環境の強化において協業関係にあるGHSを、またGHSは制御系CPUにおいて革新的かつ高い品質の半導体製品を提供することで著名なルネサスをそれぞれ評価し、今回の共同開発を決めました。

 

 共同開発の成果となるソフトウェア開発環境はGHSから販売されているMULTI(V850版)の一機能として、提供される予定です。

以 上

GHSの会社概要

 Green Hills Software, Inc.は最大規模の独立系組み込みソフトウェア開発企業として1982年に設立しました。2008年にはリアルタイムOS「INTEGRITY-178B」が、NIAP(National Information Assurance Partnership composed of NSA & NIST)によりEAL6+ High Robustnessという、ソフトウェアの中では最も高いセキュリティレベルをもつOSとして、世界で初めてかつ唯一認定されました。当社のオープンアーキテクチャは組み込みソフトウェアの統合開発環境に最適なため、セキュリティと高い信頼性を、軍事、航空電子工学、医療、産業、自動車、ネットワーク、民生その他様々なアプリケーションへ提供します。当社は、カリフォルニア州サンタバーバラに本社が、イギリスに欧州支社があります。

 

 当社については公式サイト www.ghs.com をご参照ください。

(注1)IEC(国際電気標準会議)が制定した、コンピュータ・ソフトウェアを含む電気・電子・プログラマブル電子の機能安全に関する国際規格。

*Green Hills、Green Hills社のロゴ、MULTI、INTEGRITYはGreen Hills Software, Inc. の米国およびその他の国における商標または登録商標です。本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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