~産業システム用通信規格「IO-Link」のスレーブ装置に対応~
2010年11月5日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰)はこのたび、産業システムで使用される小型センサやアクチュエータ向けの通信規格「IO-Link」のスレーブ装置(デバイス)に対応した16ビットマイコン4品種を開発し、本日よりサンプル出荷を開始いたします。

 新製品は、当社の16ビットマイコン「78K0R」とIO-Linkトランシーバを、4ミリメートル(mm)×7mmの小型BGA(Ball Grid Array)パッケージに封入したもので、従来の8mm×8mm QFN(Quad Flat Package)パッケージと比べてサイズを56%削減しているのが特長で、フラッシュメモリ容量が32キロ(K)バイトの「μPD78F8040F1」、64Kバイトの「μPD78F8041F1」、96Kバイトの「μPD78F8042F1」、128Kバイトの「μPD78F8043F1」の4品種があります。

 新製品のサンプル価格は、内蔵メモリの容量により異なりますが、一例として128Kバイトのフラッシュメモリおよび7KバイトのRAMを内蔵したμPD78F8043F1が600円/個となっております。新製品の量産開始時期は2011年度第1四半期を予定しており、2012年には4品種合計で月産20万個を計画しております。

 新製品を採用すると、小型センサに使用されるM8コネクタ(外径8mm)幅のケース内にセンサ制御基板を格納できるため、コネクタの外径という従来のサイズ制限にとらわれず、小型センサを開発できるようになります。

 近年、産業機器の高性能化・高機能化が進むにつれ、オプティカルセンサ(光電センサ)、近接センサなど産業機器のセンサやアクチュエータ機器と制御機器間通信はより高度かつ複雑なものとなってきています。しかしながら、産業機器の通信規格はメーカー独自のものが多く、また、センサ機器などの状態を診断する機能やパラメータ設定する機能が不足している点が課題となっておりました。

 IO-Linkは、このような課題を解決するために、制御装置(マスタ)とセンサ・アクチュエータ等のスレーブ装置との通信用として策定された標準規格です。現存する産業ネットワークであるフィールドバスや産業イーサネット通信との親和性があり、通信ケーブルひとつでセンサ・アクチュエータのデータとそれらの設定・診断のための通信が可能で、既に存在するセンサとのインタフェースも考慮しているなど、従来のセンサ通信の高度化・複雑化に対応できるという特長を有しています。

 このような状況のもと、産業機器分野の顧客からはIO-Link機能を容易に搭載できるマイコンが求められており、当社は、マイコンとIO-Linkトランシーバを8mm×8mmのQFNに封入した製品を2009年9月に市場投入しております。新製品は、さらなる小型化ニーズに応えるべく開発されたものです。

 新製品の主な特長は以下の通りです。

(1)従来品と比べ、パッケージサイズを56%削減

小型センサの要求サイズに合致する小型パッケージを新たに開発。従来の8mm×8mmのQFNパッケージからサイズを56%削減した4mm×7mmのBGAパッケージとして製品化。また、基板実装時の配線の引き出しの容易性を考慮し、パッケージの端子はパッケージの周囲に2列配置としている。これにより、マイコンとトランシーバの1チップ化による部品点数削減に加え、小型パッケージへの封入により、狭小基板への制御回路実装が可能になる。

(2)センサ・アクチュエータ機器の高機能・高性能化を実現する16ビットマイコン「78K0R」搭載

16ビット処理20MHz動作の高性能78K0Rを搭載しているため、センサから入力されるデータ処理の高速化およびIO-Link通信のリアルタイム性向上に貢献する。

(3)様々なシステム要求に柔軟に対応するメモリ・周辺機能展開

内蔵フラッシュメモリ(ROM)/RAMは、32KB/4KBから128KB/7KBまでの4種類を展開しているため、様々なセンサ機器のプログラム規模 に柔軟に対応できる。またA/Dコンバータや各種シリアル・インタフェースを内蔵しているため各種センサとの接続が可能で、DMA(Direct Memory Access)機能の内蔵によりセンサデータ処理とIO-Link通信の処理効率化に貢献する。

(4)新製品の採用によるシステム開発を容易にするため、小型サイズの開発キットを用意

M8コネクタサイズ相当の小型センサ機器を想定し、基板サイズが6mm×30mmとなる小型センサ向け開発キットを用意。これにより、小型センサ機器の開発期間を短縮し、IO-Linkに短期間で対応させることが可能。

 新製品は、アナログ半導体技術を用いたシステムLSIを世界市場に提供することを目的として協業しているアナログ半導体大手ELMOS Semiconductors AG(本社:ドイツ・ドルトムント市)との協業により開発されたものです。また、開発キットはIO-Linkのシステム開発で実績のあるTMG-Karlsruhe(本社:ドイツ・カールスルーエ市)との協業により開発したものです。

 ルネサスは新製品がIO-Link機能の搭載を容易にするものと位置づけ、積極的な拡販活動に取り組むとともに、今後もさらなる小型化を図ったマイコンの開発を進め、さらなる製品拡充を進めてまいります。

新製品の主な仕様は、別紙をご参照下さい。

以 上

*新製品は、Silicon Storage Technology, Inc.からライセンスを受けたSuperFlash®技術を使用しています。
SuperFlash®は、米国Silicon Storage Technology, Inc.の米国、日本などの国における登録商標です。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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