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生物多様性保全の活動方針
ルネサスの事業分野である半導体は製造において大量の水や資源、エネルギーが必要であり、生物多様性がもたらす様々な生態系サービスに大きく依存しています。しかし近年、生態系サービスの健全性は、世界自然保護基金(WWF)から、「自然と生物多様性の健全性を測る指標(生きている地球指数)」が1970年からの48年間で69%低下したと報告されるなど、大幅に悪化しています*。
ルネサスはこの状況を認識し、持続可能な社会の実現に向け、地球環境の保全と人々の健やかな暮らしの調和を考えた企業活動を推進するという環境基本理念に基づき、生物多様性の保護を環境行動指針の重要な項目の一つに位置付けています。
ルネサスは、製造拠点や事業所における資源の効率的な使用や、サステナブルな製品やソリューションの提供など事業活動を通じた生物多様性の保全に貢献する活動の推進を積極的に行うことを活動方針とし、お客様のニーズに応えると同時に、生態系サービスから享受した恩恵を地域社会へ還元していきたいと考えています。
*生きている地球レポート2022 ー ネイチャー・ポジティブな社会を構築するために ー |WWFジャパン
ルネサスの生物多様性保全への取り組み
生物多様性活動タスクフォース
ルネサスはこれまで、生物多様性活動を製造拠点や事業所でそれぞれ実施してきました。今後の更なる活動の積極的な推進には、グループ全体での活動評価や情報発信が必要と考え、2022年9月に本社や拠点活動の核となるメンバーを中心としたタスクフォースを立ち上げ、生物多様性活動の評価や情報発信について検討を重ねました。
そして、本タスクフォースで検討し策定した生物多様性活動案について国内拠点のすべての環境関係メンバーで合意し、環境担当役員のレビューを経て、2022年12月からルネサス全体として生物多様性活動をスタートさせました。
ルネサスの生物多様性保全活動
2022年度の実績および2023年度以降の活動としては、以下の2点です。
- 製造拠点や事業所での生物多様性活動の見える化として、生物多様性活動の指標(国連生物多様性条約締約国会議(CBD-COP)の国際目標などを参考に作成)を設定し、「ルネサスの自社スコアブック」を作成しました。既に2022年11月から運用を開始し2022年度の活動を評価しました。今後、毎年評価を実施し、スコアアップに向けた生物多様性保全につながる活動の活性化を図ります。
- グループ全体での生物多様性活動に関する情報発信として、これらの取り組みや拠点での活動実績を毎年6/ 5 環境の日(6月の環境月間)を「生物多様性とSDGsを考える ルネサスの1日」(仮称) と設定し、社内外へ発信するべく検討準備を進めています。
ルネサスの生物多様性活動指標とスコアブックについて
ルネサスは国内の各製造拠点および事業所の生物多様性活動の評価をするため、生物多様性保全活動を「A.海洋・水質の保全」「B.土壌や自然環境の保全」「C.温暖化抑制による生態系保護」「D.地域行政との連携・本業での活動・社員意識啓発」の4つに分類しました。
そして設定した4つの分類について、具体的な活動内容を生物多様性活動指標として13項目設定し、それぞれの活動指標において4段階(活動実施の有無や行政基準など項目ごとに0から3ポイントで評価を設定)で評価可能なスコアブックを作成しました。このスコアブックを元に、各製造拠点や事業所が当該拠点の活動自己評価を、22年度実績からスタートしました。
活動分類(4分類) | 生物多様性活動指標(13項目) |
---|---|
A.海洋・水質の保全 | 海岸・河川・水源の清掃活動 |
敷地周辺清掃(水域プラスチック等汚染予防) | |
公共水域への排水対策 | |
B.土壌や自然環境の保全 | 鳥・昆虫・魚が生息できる敷地内緑地など |
植樹・間伐など敷地外での木々育成 | |
地下水涵養、森や土の保全 | |
絶滅危惧種の保護・育成 | |
C.温暖化抑制による生態系保護 | 省エネ・脱炭素社会への貢献 |
省エネ・脱炭素実現へ向けた討議開催 | |
D.地域行政との連携・本業での活動・社員意識啓発 | 地域行政との生物多様性活動の連携 |
本業(調達から廃棄工程)での貢献 | |
生物多様性についての社員意識啓発 | |
生物多様性保全を意図した職場環境の改善 |
ルネサスの生物多様性活動実績
2022年度のルネサスの生物多様性活動は製造拠点を中心に56件実施しました。
ルネサス(国内拠点) | A.海洋・水質保全 | B.土壌や自然環境の保全 | C.温暖化抑制による生態系保護 | D.地域行政との連携・本業での活動・社員意識啓発 | 計 |
---|---|---|---|---|---|
製造拠点 | 15件 | 10件 | 9件 | 11件 | 45件 |
事業所 | 3件 | 3件 | 2件 | 3件 | 11件 |
計 | 18件 | 13件 | 11件 | 14件 | 56件 |
2022年度の各拠点における主な活動事例
A.海洋・水質の保全
熊本市はその水道水の100%を地下水で賄う日本でも稀な「地下水都市」です。その熊本市に位置する川尻工場では、定期的な美化活動を実施し、清らかで豊かな水資源の保全に取り組んでいます。
C.温暖化抑制による生態系保護
川尻工場は「ノーマイカー通勤ウィーク」を実施しています。毎月社員へ参加を呼びかけ、その参加人数とCO2削減量を集計し、継続的なCO2の排出削減に取り組んでいます。
2022年は延べ121人が参加し、削減量は583Kg-CO2となりました。
B.土壌や自然環境の保全
D.地域行政との連携・本業での活動・社員意識啓発
川尻工場ではくまもと地下水財団の「ウォーターオフセット」事業に参画しています。
ウォーターオフセット事業は、熊本の豊かな地下水を守ると同時に、農業を支え、地元の作物を購入・消費する地産地消の取り組みでもあります。
川尻工場では社員の涵養米の購入や、食堂運営会社の協力のもと、社員食堂のお米の一部を涵養米で提供する活動を進めています。
B.土壌や自然環境の保全
D.地域行政との連携・本業での活動・社員意識啓発
ツクシイバラ(筑紫薔薇)は南九州独特のノイバラの一種で、錦工場が位置する錦町の町花です。元来、河川敷等に群生しますが、環境変化等の影響でその数は減少し、2004年に絶滅危惧Ⅱ類に登録されました。
錦工場では生物多様性保全活動としてツクシイバラを工場敷地で育成。毎年5~6月には美しい花を咲かせ、地域の皆様にも喜ばれています。
C.温暖化抑制による生態系保護
錦工場では毎年グリーンカーテンを設置しています。日射による熱エネルギーを遮り、室内温度の上昇を抑制することで、節電活動を推進しています。
A.海洋・水質の保全
大分工場の程近くには瀬戸内海最大の干潟「中津干潟」があります。中津干潟は国内随一の生物多様性を誇り、更にカブトガニやアオギス等の希少種も多く生息しています。
大分工場は「NPO法人水辺に遊ぶ会」が主催するビーチクリーンに長年にわたり参加し、生物多様性の保全に努めています。
A.海洋・水質の保全
那珂工場は北関東屈指の清流「那珂川」の近傍に位置しています。那珂川は中流域ではアユの遡上、海水が混じる河口付近は人気の釣り場となるほど様々な魚種が生息する多様性豊かな河川です。
那珂工場では工場周辺の清掃活動を毎月実施。2022年はコロナの影響等により一時自粛しましたが、延べ300人弱の社員が参加し、地域の環境保全に努めています。
A.海洋・水質の保全
西条工場では、連合愛媛東予地域協議会と連携し年1回開催の西条市クリーンウォークに労使で参加しています。2022年は、新型コロナの影響により規模は縮小しましたが29名が参加し、清掃活動を実施。
地域の方々と交流を深めながら、お遍路にふさわしい美しい街づくりに貢献しています。
D.地域行政との連携・本業での活動・社員意識啓発
本社地区では今まで廃棄処分していた事業所内の半導体トレイ・マガジン・リールの回収を開始しました。同時に梱包用緩衝材として使用していたプラスチックの回収も始め、廃棄プラスチックの削減・再利用に努めています。
D.地域行政との連携・本業での活動・社員意識啓発
本社地区を始め各拠点においても、環境教育や社内情報発信を通じて、定期的に社員の意識啓発活動を行っています。
ルネサスの2022年度の生物多様性活動評価
評価の初年度となった2022年度は、各拠点の生物多様性活動の自己評価の平均値において、「海洋・水質の保全」および「温暖化抑制による生態系保護」に比べ、「土壌や自然環境の保全」「地域行政との連携・本業での活動・社員意識啓発」の評価が下回る結果となりました。
また拠点ごとの比較においては、「ノーマイカー通勤ウィーク」や、社員食堂での涵養米提供などを実施している川尻工場が最高評価となりました。加えて、10年以上にわたり絶滅危惧種「ツクシイバラ」の育成に取り組んでいる錦工場も高評価となりました。
今後も生物多様性活動の見える化と、取り組みや活動ノウハウの情報共有を進め、ルネサス全体として生物多様性保全への貢献に努めます。
SDGsへの貢献
ルネサスグループの生物多様性保全活動への対応に向けた取り組みは、以下のSustainable Development Goalsに貢献しています。
11.6 2030年までに大気の質および一般並びにその他の廃棄物に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人あたりの環境上の悪影響を軽減する。
12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
14.1 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。
15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
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