~IARシステムズ製評価キット「IAR KickStart Kit」と産業イーサネット通信プロトコル・スタック(各パートナー製)により、開発期間・コストを大幅削減する開発プラットフォームを提供~
2014年6月17日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)はこのたび、産業イーサネット通信LSI「R-IN32M3シリーズ」のプラットフォーム・ソリューションの一環として、IARシステムズ株式会社(以下IARシステムズ)の評価キット「IAR KickStart Kit™」向けに、パートナー企業の様々な産業イーサネット通信のプロトコル・スタックを、新しい開発プラットフォームとして本日より順次提供することにいたしました(注)
 このプラットフォームは、ユーザーである産業機器メーカーの産業イーサネット市場への参入障壁を低くするほか、システムの開発期間短縮に貢献します。

 産業イーサネット通信技術は、いわゆるスマートファクトリと呼ばれる工場の効率化に貢献できるネットワーク技術です。しかしながら産業イーサネット市場においては複数の通信プロトコル規格(EtherCAT®やCC-Link IE®、EtherNet/IP™、PROFINETなど、以下プロトコル)が標準化されていることから、産業機器メーカーが市場から要望されるプロトコルの実装もしくは同一機器に対する複数プロトコルへの製品展開を行うにあたり、開発期間・工数の増大を招く原因となっていました。そこでルネサスは、これら複数のプロトコルにワンチップで対応するR-IN32M3シリーズを2013年1月より市場へ投入してまいりました。

 また、ルネサスは注力分野のひとつに産業分野を定めるとともに、半導体製品単体を顧客へ提供する従来の「デバイス・ソリューション」ビジネスから、評価ボードやソフトウェアもあわせて提供する「キット・ソリューション」、さらに開発環境、ミドルウェア、OS等の各種パートナー企業と連携を図る「エコシステム」の拡大によりユーザーのシステム開発を支援する「プラットフォーム・ソリューション」へビジネスモデルの変革を進めております。

 R-IN32M3シリーズは当社がフォーカスする産業分野向けの通信用LSIで、リモートI/Oやゲートウェイ、産業ドライブなどの産業機器におけるネットワーク化や市場から要望されるプロトコルへの適応力向上による顧客製品価値の向上に貢献する製品ですが、このたびIARシステムズ製評価キットに各種プロトコル・スタックを対応させることで新たなプラットフォームの提供も開始することにより、よりいっそうの開発効率の向上やビジネス機会を捉えたタイムリーな製品開発に貢献することが可能になります。

 このたび提供を開始するプラットフォームの特長は以下のとおりです。

(1) R-IN32M3シリーズに対応する評価キット「IAR KickStart Kit for R-IN32M3」

 同評価キットには開発を開始するために必要な以下のツールが同梱されているため、ユーザーは煩雑なセットアップ作業をすることなく、このキットのみですぐにシステム評価や開発を開始できる。

  • 小型で電源供給も可能なエミュレータ「I-jet™ Lite」
  • R-IN32M3-ECを搭載した、小型評価ボード(10.5cm×5.5cm)
  • 強力な統合開発環境ARM用「IAR Embedded Workbench®」の評価版

(2) プロトコル・スタック

 パートナー企業の協力のもと、IAR KickStart Kit上で各種プロトコルの通信動作を確認済みの、EtherCAT、EtherNet/IP、PROFINETといった産業イーサネットのプロトコル・スタックのサンプルを本日より順次、ルネサスのR-IN32M3製品情報Webサイトから無償でダウンロード可能。これにより、ユーザーは簡単に各種プロトコルの通信環境を確立できるため、システムの開発期間短縮を図ることができる。

 ルネサスは、今回提供するプラットフォーム・ソリューションは、産業分野にとどまらずIoT(Internet of Things)時代での重要な役割を担うことができるものと考えています。世界中に広がる豊富なエコシステムのパートナーから供給されるプロトコル・スタックと、IARシステムズのIAR KickStart Kitによる“ワンストップ”ソリューションは、当社の目指すプラットフォーム・ソリューションのひとつとして具現化したものです。

 当社は今後も、R-IN32M3シリーズを中心とする産業用通信LSIのラインアップ拡充とともにエコシステムの拡大を積極的に推進する計画です。

 各種ドキュメントやサンプル・ソフトウェア、開発環境、エコシステム・パートナー様のプロトコル・スタックのサンプルに関しては、ルネサスのR-IN32M3シリーズ製品情報Webサイトをご参照ください。
http://japan.renesas.com/R-IN32M3

 また、R-IN32M3シリーズ向けIAR KickStart Kitに関しては、IARシステムズのWebサイトをご参照ください。
www.iar.com/renesas/r-in32m3_jp

導入評価キットの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/factory-automation/multi-protocol-communication/r-in32m3-solution-kit.htmlをご覧ください。

以 上

(注)2014年6月17日時点で、EtherCAT、EtherNet/IP、PROFINETのプロトコル・スタックのサンプルを公開します(地域により公開されるプロトコルは異なります)。他のプロトコルは順次公開を予定しています。

*EtherCATは、ドイツBeckhoff Automation GmbHによりライセンスされた特許取得済み技術であり登録商標です。CC-Link IEは、CC-Link協会(CC-Link Partner Association : CLPA)の登録商標です。EtherNet/IPはODVAの商標です。IAR KickStart Kit、I-jet、IAR Embedded Workbenchは、IAR Systems AB が所有権を有する商標または登録商標です。その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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