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Kenley
Engineer
掲載: 2020年9月19日

みなさん、こんにちは。ルネサスエレクトロニクスのKenleyと申します。パワーデバイスを担当し、お客さまの技術サポートをしています。現在、本ブログにてパワーデバイス製品をリレー方式で紹介しています。前回はスタータージェネレーター、アイドリングストップシステム, 電動ターボなどのモーター駆動用車載MOSFETの製品及び開発情報について紹介しました。まだ読んでいなかったり見逃した方はこちらから。

今回は私の担当製品である車載IGBTです。

車載IGBTはxEVの心臓部であるパワートレインのインバータ部に使用されています。
xEV (Inverter)ついて、まだ読んでいなかったり見逃した方はこちらから。

ルネサスIGBTはウエハやチップ形態で提供しているためパワーモジュールに内蔵されたその製品は普段目に触れることがありません。しかしxEVの需要増加と共に採用実績が伸びており、実はルネサスIGBTが搭載されたxEVが街中を多く走っているのです。

なぜ多くのお客様で採用頂けているのでしょうか?ルネサス車載IGBTには大きく3つの特長があり、今回はその内容について紹介します。

特長1:幅広い耐圧ラインアップ

一般的なxEVのインバータ電圧は400V前後であり、そこに使用するIGBT耐圧としては650~750Vで競合他社も多くのラインアップを持っています。それに対し近年インバータ電圧の高電圧化が進んでおり、一部高級モデルやインバータの可変電圧方式を採用したモデルでは800Vで動作させる動きがあります。

この高電圧化には「充電時間が短くなる」や「電流が抑えられるため配線が細くなりモーター軽量化が可能」等のメリットがあります。その他のファクターも含めて、システム電圧や必要となるIGBT耐圧も変わってきますが、800Vのような高電圧化も今後のトレンドの一つとなる可能性があります。

この様にお客様のトレンドをいち早く把握しご要望に応じた製品を開発しており、800Vシステムでも必要とされる1200V品をいち早く開発/量産化しました。

【車載デバイス・ターゲットエリア】

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特長2:ソリューション対応可能な付加価値機能

インバータ回路でIGBTはオンオフ動作によってDCをACに変換していますが、お客様要望によってはIGBTチップに温度検知ダイオードや電流検出可能なサブIGBTを内蔵する事を求められます。これは従来パワーモジュール内部のサーミスタで検出していた温度を直接IGBTチップで確認する事ができ、またDESAT回路で検出していた過電流をサブIGBTで直接電流検出する事が可能となります。ルネサスのゲートドライバICとの組み合わせでこの様な制御が可能となり、従来のオンオフ動作の単機能パワーモジュールが温度や電流をモニターしたソリューション対応可能な付加価値を持つことができ、安全/信頼を重視する車載用途ではお客様に好評を頂いています。

【ソリューション提案】

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特長3:お客様要望に対応したベアチップ製品サポート

ウエハやチップ供給品はお客様で組立てを行うため、実装条件によってチップ表面のメタライズや納入形態などで個別の要望/指定をいただきます。そのような個別要望に対しても可能な範囲で対応行いお客様が使いやすい製品となる様に心がけています。

今後もお客様のニーズ開発に合わせ、最適にご使用いただける製品をリリースしてまいります。ルネサスの車載IGBTにぜひご期待ください。

本リレー紹介では基礎的な導入部分の内容でしたが各製品にはさらに様々な特長や使用ノウハウがあります。興味を持たれた方はぜひお問い合わせください。
なおパワーデバイス製品のリレー紹介は今後も配信しますので、乞うご期待下さい!

また、車載用製品も引継ぎ紹介しますので、お楽しみに!

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