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Manabu Miyamoto
Director
掲載: 2020年12月18日

CASEへの対応が必要となり、自動車用ECUの設計、開発への要求は大きく変化しました。排ガス規制、燃費などの性能アップの要求に加え、自動運転やコネクテッドなど新たに追加された機能要求への対応も必要となり、開発の負担は以前と比べものにならないほど増大しています。限られた開発リソースと予算、決められた日程でいかに開発をやりきるかが自動車メーカ、自動車部品メーカの共通の悩みとなっています。

今回ご紹介するウィニングコンビネーションは、上記の悩みに応えるソリューションであり、ECU開発メーカの開発リソースを補い、開発期間の短縮、コスト削減をサポートします。

このブログではまず、ルネサスの自動車向けウィニングコンビネーションとは何かを説明し、次にいくつかの例をご紹介します。

ウィニングコンビネーションとは?

下図は、左から右に流れるシグナルチェーンを示しています。従来、ルネサスはプロセッサ(マイコンとSoC)で強い存在感を示してきましたが、それを囲むアナログ製品のカバー範囲は限られたものでした。インターシル、IDTの買収でアナログ製品を補強することによって、シグナルチェーンを広くカバーできるようになりました。これらのアナログ製品を、マイコン、SoCと組み合わせることによって、より付加価値の高いソリューションを提供する、これがウィニングコンビネーションのコンセプトです。私たちは拡充したアナログ製品とマイコン・SoCを最適に組み合わせたリファレンスデザインやターンキーソリューションを準備しました。ウィニングコンビネーションは、お客様の開発期間の短縮、開発コストの削減や、Time to Marketに貢献します。

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自動車向けウィニングコンビネーションの一例

ではこれまでに開発したウィニングコンビネーションの一例をアプリケーション別にご紹介しましょう。いま必要としているウィニングコンビネーションを見つけて、開発の加速に是非お役立てください。

HEV/EV & 電動化

車載用バッテリマネジメントシステム(BMS) のリファレンスデザインは、マイコンと5つのセルモニタICを搭載し、電池セル最大70セルの監視と制御ができます。RH850/P1MとセルモニタIC、ISL78714の組み合わせはシステムとして機能安全ASIL-Dをサポートします。評価プラットフォームとしてGUIや基本ドライバ等のソフトウェアも用意しています。

xEV(電動車)向けインバータリファレンスキットはマイコン、ゲートドライバ、IGBT等の半導体製品だけでなく、IGBTモジュールや電流センサなど、HEV・EV向け高圧インバータに必要な部品すべてをカバーしたファレンスデザインです。モータ制御ソフトウェアに加え、モータのパラメータ取得やトルクマップ生成用ツールなども取り揃えており、簡単に開発を始めていただけます。

誘導式位置センサを利用したBLDCモータ制御:誘導式位置センサを使った12V系のBLDCモータ制御システムのリファレンスデザインです。誘導式位置センサは、従来のレゾルバや磁気センサと比較して、薄型、軽量で、磁場耐性が高く、さらにBOMコストも削減できます。このソリューションはRH850/F1KM-S1のスターターキットをご利用いただけます。

2輪車/3 輪車用トラクションモータ制御用の低電圧インバータは、48Vモータ制御アプリケーション用のリファレンスデザインです。リファレンスボードとそのハードウェア設計ファイル(回路図、レイアウトデータ)に加え、120 度通電制御、ベクトル制御、V/f 制御など、モータ制御の実装に役立つリファレンスソフトウェアを準備しています。

コネクティド & インフォテインメント

車載コックピット用電子制御ユニット (ECU)は、R-Car M3を搭載した統合コックピット用のリファレンスデザインです。PCB 回路図、レイアウトファイル、部品ライブラリ等の設計情報を含むリファレンスハードウェアと、パッケージ化したリファレンスソフトウェアをご利用頂けます。ソフトとハードを柔軟に組み合わせることができる「ホワイトボックス」をベースとしたソリューションであり、カスタマイズすることでお客様固有のニーズに対応可能です。

低コストデジタルインスツルメントクラスタは、 RH850/D1M と VSP LCD コントローラ、RAA27884xを使って、異なる解像度の各種 LCD パネルに表示可能な 2D インスツルメントクラスタグラフィックスを生成することができます。このリファレンスデザインにより、クラスタグラフィックスを単一の解像度で作れば、それをRAA27884x のスケーリングエンジンでサイズを調整するだけで各種 LCD パネルに適応させることができます。したがって、さまざまな車種で再利用でき、ソフトウェアやグラフィックスデザイン作業量を最小限に抑えることができます。

ゲートウェイ & ドメインコントロール

ドメイン制御ユニット:E/Eアーキテクチャの進化により、今まで別々だったECUは統合されてドメイン制御ユニットとよばれる一つのECUに変わりつつあります。その開発をサポートするため、当社の高性能なクロスドメインマイコンRH850/U2Aを搭載した開発プラットフォームを準備しました。ドメイン制御、ボディ、シャシー、ゲートウェイ用の様々な物理ネットワークや電源回路を搭載したリファレンスボードや、ドライバやアプリケーションソフトウェアをお使い頂けます。

シャシー & セーフティ

電動パワーステアリングシステム:シャシーアプリケーション向けのハイエンドマイコンRH850/P1M、RH850/P1M-Eと、このマイコン用に専用設計されたパワーマネジメントIC、RAA27005KFPの組合せは、システムで機能安全ASIL-Dをサポートし、外付けBOMコストを削減します。この実績ある組合せをお使いいただくことで、接続検証や評価を簡素化でき、システム開発期間を短縮できます。

この他にも、様々なウィニングコンビネーションを準備していますが、まだWebに公開されておりません。もう少々お待ちください。

車載用ウィニングコンビネーションの詳細については、こちらのルネサスのWebページからご覧いただけます。

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