~ディスプレイオーディオおよびIVIシステムとクラスタシステムとの統合も実現が可能~
2018年10月17日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、このたび、大型ディスプレイを使用したハイエンドな3Dグラフィックスクラスタを実現する車載情報システム用SoC (System On Chip)「R-Car E3」を開発し、本日よりサンプル出荷を開始します。

 R-Car E3は、あらゆる車種のクラスタに対するデジタル化、大型化のニーズの高まりに応えて、従来の3Dクラスタ向け「R-Car D3」の上位モデルとして、3Dグラフィックス描画性能を向上しました。クラスタ用としては最大クラスの12.3型、1920 x 720画素の大型ディスプレイにスムーズに3D表示が可能です。また、コネクテッドカーが主流となる中で、クラスタには外部環境や安全に関する情報をドライバに適切に表示するHMI(Human Machine Interface)としての役割が高まっていることから、機能安全やセキュリティ機能を強化しました。これにより、故障やサイバー攻撃にも安全に対処できる堅牢なシステムを容易に開発できるようになります。

 さらに、R-Car E3はクラスタ用としてだけでなく、ディスプレイオーディオやIVI(In Vehicle Infortainment)システムも1チップで駆動できるよう、Audio DSPなどの周辺機能を搭載しました。これにより、各々のシステムを統合することが可能になり、システムコストやスペースを大幅に削減できます。さらに、R-Car E3は、よりハイエンドな統合コクピットに適した「R-Car H3」、「R-Car M3」ならびにクラスタ用の「R-Car D3」とスケーラビリティがあるため、ソフトウェア資産の流用が可能です。ルネサスのクラスタ分野で実績のあるパートナ各社によるOSやHMIツールの提供、システムインテグレーションサポートにより、今後、統合システムやフルグラフィックス化の普及が期待されるエントリークラス車からプレミアムクラスの車まで、幅広い車種へのソフトウェアの展開や開発負荷の低減が実現可能です。

 フィアット・クライスラー・オートモービルズのElectrical Engineering部門マネージャのWilliam Asburry氏は次のように述べています。「インスツルメントクラスタは、より厳しい安全性やセキュリティ対策が求められており、表示する情報量が急速に増加し、グラフィックコンテンツはますますリッチになっています。そのため今後のクラスタには、この情報を高解像度のグラフィックスを使用して3Dおよび2Dのアニメーションで表示する機能が必須になっています。ルネサスのスケーラビリティのあるR-Car SoCとそのソフトウェア資産は、必要な機能を実現し、我々の開発を最適化するための大きな助けとなっています。」

 株式会社デンソーのコックピットシステム事業部、室長の西川良一氏は次のように述べています。「グラフィックスクラスタシステムは、状況に合わせて情報を自由に表示できるため、ドライバへ的確に情報を伝えるために、極めて有用です。今後、そのグラフィックスがますますリッチになる中で、ルネサスのR-Carはソフトウェアの資産を活かしながら車種展開が可能のため、ドライバの要望に応えられるだけでなく、開発効率化にも貢献しています。」

 日本精機株式会社の技術本部 開発統括部 統括部長 永野恵一氏は次のように述べています。「今後、自動運転やADAS機能が向上し、ドライバには必要な情報を適切なタイミングで伝える大型のフルグラフィッククラスタが主流となります。高いグラフィック機能を描画できる高性能のグラフィックエンジンが求められる一方で、サイバーセキュリティや機能安全要求といった顧客ニーズに対応できる次世代のコクピットシステムを我々はルネサスのR-Car E3を使って開発していきます。」

 新製品の量産は、2019年12月より開始し、2020年12月には合計で月産10万個を計画しております。サンプル価格は6,000円/個(税別)となっております。

 ルネサスは今後も、エントリー車からプレミアムクラスの車種に至るまで、スケーラビリティのあるソリューションをパートナと連携して提供することにより、安心・安全なモビリティ社会の早期の実現に貢献してまいります。

 新製品の主な仕様は、 別紙(268KB)をご参照ください。

以 上

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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