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Akihiro Ooshima
Akihiro Ooshima
技師
掲載: 2021年9月25日

製造業やインフラなどの現場において、センシングデータを活用したIoTシステムの導入が進んでいます。IoTを活用して大量のデータを収集し、活用することで、新たな価値を生み出すことがIoTシステムの目指すところです。IoTシステムの中で、センシングデータの収集を担うのがDAQ(データアクイジション)です。IoTシステムの進化に合わせて、DAQも、計測チャンネル数を増やしたり、産業用ネットワーク機能を追加したり、進化しています。
ところが、収集したデータの内、実際に活用されているデータは、数パーセント程度と言われています。データ活用が進まない理由の一つとして、増加するデータに対して、データ解析が追い付かないことが挙げられます。
下記の図のように従来の集中処理システムの場合、ホストMCUだけでは、デジタル信号処理に追われており、増加したデータに対して、複数のセンサ信号を比較するなどのデータ解析をする余裕がありません。データ解析が行われない事には、データ活用も進みません。

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集中処理システムと分散処理システムの違い
Fig.1 集中処理システムと分散処理システムの違い

このような課題に対して、ルネサスでは、分散処理/エッジコンピューティングに注目しています。ここで言う、分散処理/エッジコンピューティングとは、データを取得するエッジ側でデジタル信号処理まで行い、データ解析をしやすい形にすることです。エッジ側で、デジタル信号処理を行うことにより、ホストMCUはデジタル信号処理に負荷を割く必要がなくなり、より高度なデータ解析が可能となります。これにより、データ活用が進むことが期待できます。また、通信やストレージの圧迫を軽減することも可能です。

ルネサスでは、分散処理/エッジコンピューティングの一例として、記録計やアナログ入力モジュールなどDAQに関連するアプリケーションをターゲットにしたマルチチャンネル絶縁アナログ計測システムのリファレンスデザインを提供しています。本リファレンスデザインは、エッジに配置した4つのRX23E-A/1unitとホストのRX72Mから構成されています。

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System Configuration
Fig.2 システム構成

RX23E-A/1unitは、MCUと高精度AFEをワンチップ化している強みを生かして、A/D変換に加えて、デジタルフィルタ処理や物理量変換まで行っています。これによりRX72Mは、各エッジから取得したデータを比較するなど、ホストにしか出来ない高度なデータ解析をすることが可能になります。

アプリケーションによっては、計測したデータの同期性やステップ応答時間が問われることがあります。本リファレンスデザインでは、4チャンネルの同期計測が、1msec以下の誤差で可能となっています。ステップ応答時間は、データ取得周期が10msecに対して、70msecとなっています。これらの仕様は、温度や圧力などのセンサ信号を対象としたシステムであれば、十分な性能と言えます。

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Step Response
Fig.3 ステップ応答特性

ご紹介したソリューションは『RX23E-Aグループ チャンネル間絶縁アナログ計測システム アプリケーションノート』 (ドキュメント番号: R01AN5679JJ)としてウェブサイトに掲載中です。また、専用webページにてご紹介しています。ぜひご一読下さい。

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