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Daisuke Kondo
近藤大介
主任技師
掲載: 2021年6月3日

みなさん、こんにちは。ルネサスエレクトロニクスの近藤大介と申します。パワーデバイスの技術マーケティングを担当し、現在ドイツ/デュッセルドルフにてお客さまの新規設計開発サポート、および量産技術サポートをしています。

これまで、本ブログにてパワーデバイス製品をリレー方式で紹介してきました。前回は、xEVパワートレイン向けの車載IGBTの取り組みについて紹介しましたが(まだ読んでいなかったり見逃した方はこちらから)、今回はそのxEV市場が近年特に活発なドイツから、現地の声と我々の取り組みをお届けします。

100年に一度と言われるクルマ業界の変動のうち、電動化(Electrification)に貢献しているのがパワー半導体です。ではこれから迎える爆発的なランプアップに対し、お客様(OEM/Tier1/Tier2)が期待していること、そしてルネサスのパワーデバイスで差異化支援が出来ることは何でしょうか?

お客様の期待1: “低損失な” ”壊れない” クルマ作り!

  • 低損失:電力変換スイッチ素子における低損失(=高効率)デバイスの適用は、バッテリーに蓄電された電力の保持性能、つまり必要なバッテリーサイズ或いは最大航続距離の優劣に直結します。
  • 高信頼性:モジュールメーカの腕の見せ所である高信頼性・高放熱性といった特長を最大限に活かすためには、インターフェースにあたるメカニカル仕様(表面/裏面金属仕様)の繊細な最適化設計が必須です。
  • 高破壊耐量:100kWクラスといった大電力の変換・制御における安全破壊耐量設計は、未だシステムと組み合わせた最適化を試行錯誤している段階で、パワー半導体の知識・経験なくしては対応が難しい課題です。
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パワー半導体の価値

ルネサスの対応1: 低損失・高破壊耐量パワーデバイス

電力損失・信頼性・破壊耐量といったニーズに対し、複雑なパラメータのトレードオフで成り立つパワー半導体設計は深い経験・ノウハウが必要とされます。ルネサスでは損失特性・破壊耐量を両立させた設計が特長であり、お客様のモジュール/インバータ設計において高い評価を頂き、広くご採用頂いています。この辺りの詳細については次回、車載IGBT製品紹介として設計者の視点から本ブログで紹介させて頂く予定ですので、ぜひご期待下さい。

お客様の期待2: 爆発的な需要拡大への対応

爆発的な拡大が予測されている電動車需要に追従するために、供給経路確保・安定生産の観点からも半導体サプライヤの価値/期待が高まりつつある点も注視すべき点です。リスクヘッジ/BCM(Business Continuous Management)の観点からパワー半導体のマルチサプライヤ方針が主流になりつつあります。また同時に、年間数十万台~数百万台の車両生産といったランプアップを目の前にして安定生産サポートも重視されてきています。

上流工程でのスクリーニング強化(サプライヤ側での潜在不良の最小化)、不具合発生時のサポート・及びロット追跡能力(Traceability)の確保、などがこれまで以上に付加価値として認められる傾向にあります。このように従来の価格・性能・品質と並んで、安定供給・安定生産サポートが新たな重要購買決定要因(KBF)となりつつあります。ここでは一例としてお客様からの評判も高いスクリーニング技術のイメージをご紹介いたします。

ルネサスの対応2:潜在不良除去で大規模量産をサポート!

ウェハテストでの潜在不良スクリーニング技術も先行しています(図2)。パワー半導体における動特性の潜在不良除去には非常に高い技術・ノウハウを要します。一方で、組みあがったモジュール状態で不良が発生した場合、チップの数十倍のスクラップコストが生じてしまうため、こちらもお客様にとっての大きな付加価値として認められています。

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ルネサス半導体の優位性 潜在不良除外

今回は欧州お客様へのサポート状況の一例をご紹介致しましたが、どの地域のお客様にも同様のサポートを実施しています。ルネサスのパワーデバイスに興味を持たれた方はぜひお問い合わせください。

なおパワーデバイス製品のリレー紹介は今後も配信しますので、乞うご期待下さい!

次回は車載IGBT製品のご紹介を予定しています。お楽しみに!

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